セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続き出来ました〜。


第3話

「セセリア嬢!!何故逃げるのだ!!」

 

美麗なる走法にて逃げるセセリアを追いかけるのはドゥラメンテ・シックール。

 

「何だっていいでしょ!?アタシは決闘委員会の仕事で忙しいの!!」

 

振り返り、叫ぶように返すセセリア。

 

「む?それは妙だな。今日は特に決闘の予定は無いはずだが?」

 

そうだった。コイツ、何故かシャディクと仲がいいんだった。

 

「セセリア嬢のイニシャルはS!!そしてオレは火星人(マルシャン)!!SとMは相性がいいと聞いた!!」

「誰に!?っていうか、そういうのは人前で言うことじゃあないでしょバカ!!」

 

それなら二人きりならいいのか?というツッコミはこの際置いておく。

 

「誰に!?と聞かれればシャディク殿にだが!!」

「あんにゃろう…」

 

御三家のハイスペック腹黒優男を思い出して、セセリアは内心舌打ちする。

 

「とにかく!!今回はただコレを受け取って頂きたいだけで…」

 

懐から差し出されるのは丁寧な包装がされた小さな箱。

 

「ダメ!!そんなもの渡されたら…アタシ死んじゃう!!」

「はっはっは!!セセリア嬢は面白いことを仰る!!」

「アタシは全ッ然!!面白く無い!!」

 

普段のセセリアから見られないほど珍しく、顔を真っ赤にして狼狽え、逃げ回る彼女の噂はしばらくの間生徒の間で語り草になったと言う。

 

さて、何故このような追いかけっこが始まったのか…その原因はちょうど一週間ほど前にまで遡る。

 

「プレゼント…ですか」

「ああ」

 

セセリア目当てに通い詰め、半ば常連と化していた決闘委員会の部屋にて出された紅茶を飲みつつ、ドゥラメンテはシャディクよりそんな提案を受ける。

当然、目当ての人物であるセセリアは運悪く不在である。

 

「フッ…しかしシャディク殿、以前も申し上げたようにモノで釣るようなマネは…」

「まぁソレはな。流石に毎回だとする方もされる方も手間だろうさ。オレが言えた義理じゃあないが、節操なしだと思われたくないのもまぁ分かる。だが…誕生日プレゼントなら別だろう?むしろチャンスだ…ちょうど来週の今日だったか」

 

紅茶を飲みつつ、髪をかきあげていた手がピクっと反応する。

 

「ほほう…それで、セセリア嬢の好みの贈り物はご存知で?」

 

期待を込めた眼差しと、何度も練習したのだろう角度でシャディク見つめるドゥラメンテ。

 

「うぅ〜ん…かく言うオレもセセリアとは距離感あるから込み入った事は分からないが…だが、そうだな。実家の強みを活かすのはどうだ?」

「実家の…」

 

形の良いアゴをふわりと包むように撫でながら、ドゥラメンテ悩ましげに思案する。

 

「特にこの宇宙にひとつしかない贈り物をすればちょっとは気にしてくれるんじゃあないかな。例えば…キミの手製の品とか。確かキミ結構手先は器用だったよな?」

「なるほど…名案ですな!!」

「想いのこもった品を贈られるのは嬉しいものだからね」

 

お茶請けのクッキーを齧りながらシャディクはそう言う。

 

「ありがとうございます。しかし、今更疑問なのですが、シャディク殿は何故オレの恋路の応援を?」

 

思い出したように質問をする。

 

「キミの実家にはオレの女たちも世話になってるし、セセリアがキミとくっついてちょっとでも丸くなってくれればいいかなってね」

「フム…となればやはり手作りが一番…一週間の期限でできるモノといえば…ブローチなどがせいぜいか…」

「いいんじゃあないか?こちらで用意するものは…っと、これ以上は余計なお世話だったか?」

「いや、そのお心遣いはありがたい。お気持ちだけ頂戴しよう。では失礼する!!」

 

寮の自室にもどった彼は端末を使い、アクセサリー部門の代表に取り次ぐ。

 

「オレだ。今すぐ学園に取り寄せて欲しいものがある。道具の一式はあるから、素材だけあればいい」

 

そうしてドゥラメンテが休日返上して出来上がった品は…長さ10cmほどの金細工の蝶に、小さな、しかし貴重な宝石がふんだんに、しかしけばけばしくならない程度にはめ込まれた文字通り珠玉の逸品。

 

捕まえようとするとヒラリヒラリと身をかわす可憐な蝶の如き女性にと想いと祈りを込めた宇宙にふたつとないものだ。

値をつけるとするなら、多分安い船なら三隻は買える…が、それは言わぬが華だろう。

 

恩着せがましいのはドゥラメンテの美学に反するし、こういうのはさりげなく渡すものだ。

誕生日の件はそれこそシャディクに聞いたと言えばいい。

計画は完璧…な、はずだったのだが…。

廊下で目が合った瞬間、再び逃げられてしまったのだ。

 

「セセリア嬢〜!!受け取ってもらえればオレはそれで満足なのだ!!返礼は要らぬゆえ!!受け取ってもらえると嬉しい〜〜!!」

 

「で、いつまで隠れてるの?」

 

決闘委員会所属の整備科、ロウジ・チャンテが無人の教室の机の下に隠れたセセリアに声をかける。

 

「だって、まだイヤリングも返せてもないのに誕生日プレゼントなんてもらっちゃったら…もう心臓が破裂しそうよ…」

 

か細い声でそんなことを言うセセリア。

 

「ふぅん…めんどくさい性格してるね」

「アタシだって自分がこんな臆病だったなんて、驚いてるわよ!!」

 

後日、同じ寮のロウジ伝いに部屋に届けられたブローチを、セセリアはイヤリングと一緒に持ち歩くことになったとかならなかったとか。




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