セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続きができましてございます〜。


第30話

ドゥラメンテ・シックールとセセリア・ドートの仲が、なかなか進展しないことに、グエル・ジェタークは疑問を抱いていた。

 

「あの二人…あんなに距離感が近くて、何でくっつかねぇんだ?」

 

手応えはあった。

後押しもして、いい感じにもなった。

しかし、そこから先にはまるで透明な壁が目の前にあるかの如く進まなかった。

グエルとて、恋愛経験が多い方では無いし不器用なのはなんとなく自覚はしているが…。

そんな恋愛下手を自覚するグエルであってすら、この二人はうぶと言うか、頑なと言うか…昨今では珍しいくらいに身持ちが固かった。

 

思い切って聞いてみようにも弟のラウダからは釘を刺され、取り巻きのフェルシーには「先輩に女心はまだ早いと思うっす…」と、伏せ目がちに言われ…。

 

尊敬する父親からの司令をこなせない己の不甲斐なさからか、どうしたものかと思っていたら、腹の虫が鳴り…諸用で取り巻きもいないので、たまたま近場にあった学食に立ち寄ることとした。

 

「おや?グエル殿ではないか!!」

 

グエルが珍しく食券を持って列に並んでいると、背後から一人の男子生徒に声をかけられる。

最近聞き慣れた声に、グエルは特に驚くでも無く振り返る。

 

「ドゥラメンテか…ひとりか?」

 

ドゥラメンテがいると言うことはセセリアもいると思い、多少の皮肉を覚悟していたからか、グエルは思いの外気の抜けた言葉を漏らす。

 

「ええ。何でもセセリアは息抜きにと誘われたらしい女子会とやらのため、寮内の女子生徒諸氏に捕まったとか…」

 

そう言って、生徒手帳を見せるドゥラメンテ。

なるほど。確かにそんなことが書いてある。

それに納得したのかグエルはひとつ頷いた。

 

「そうか…それじゃあせっかくだ。一緒に昼メシ食うか?」

 

微笑ましそうに生徒手帳を眺めるドゥラメンテに、ちょうどいいと思ったグエルは相席を希望する。

目的は当然、ドゥラメンテとセセリアとの関係進展のための情報収集だ。

決して後輩の言葉にムキになったからでは断じてない。はずだ。

 

「ああ。構わないとも」

 

あっさりと相席の許可が当人から出たので、適当に空いている席に着き、話に興じる。

 

「そう言えばグエル殿、また決闘で勝利されたそうで」

「ああ。まぁ当然だがな」

 

特に嬉しそうでも無さそうに、味気なくそう答えるグエル。

 

「フッ…その自信と裏打ちとなる実力…身が引き締まる思いだな」

「そうかい」

 

その後も、自分のところの寮ではアレが流行っているだの、こういう出来事があっただのといった内容が語られる。

こう言った話題が尽きないのは素直にすごいとは思う。

 

一方、グエルは生来の不器用さの故か、色々と話題を模索するも、ヘンに慣れないことをしても却って気を使わせてしまいかねないと判断したのか、ドゥラメンテの話題が切れた隙を見て単刀直入に本題に入る。

 

「で?そっちはセセリアとはどうなんだよ?」

「うん?特に変わりは無いが…」

「マジか…そろそろ変化が欲しくなったりはしねぇのか?」

 

そう問われると、ドゥラメンテはいつものように前髪をかきあげる所作をすると…。

 

「フッ…なぁに、焦って距離を詰めようとして肝心のセセリアが苦しむことにはなって欲しく無いのでね…」

「ほぉん…そういうモンか?」

「そうですとも。少なくとも、オレは今のセセリアとの距離感はとても心地よく感じているよ」

 

ナチュラルに惚気続けられるのもグエルには厳しいが…。

かと言って、必要以上に世辞を言えるほどグエルは器用な人間では無い。

とっくのとうに食事は済み、頃合いを見て立ち去ることとしたグエル。

 

「そう言やぁ、お前ってセセリアに…」

 

ふと、グエルは思ったことを口にした。

 

そしてその晩、セセリアは…。

 

「ねぇねぇ、セセリアってドゥラメンテくんとどう?」

「ど…どうって…特に変化は…」

 

ブリオン寮の大部屋にて、パジャマ姿の同級生達に囲まれるように問いかけられるセセリア。

 

「えぇ〜?ウッソぉ〜!?」

「もしかして嫌いなの!?だったらアタシにちょーだい!!」

「あげないわよっ!!」

 

さしものセセリアも怒涛の質問攻めにタジタジと言った様子だ。

 

「それで…なんで未だに少女コミックの関係から抜け出せないのよ?しかもまだ名前呼びもしてあげてないって話じゃない?」

「うっ…」

 

その言葉に図星をつかれたからか、セセリアは突然もじもじし出したかと思うと…ポソポソと喋り出す。

 

「その…一回デートに行くようになってから、結構頻繁に出掛けるようになって…」

「うんうん」

「だから…また何か変化があったら、またグイグイ行くようになっちゃいそうで…」

「ほーほー」

「仮に…名前呼びなんてしちゃった日には、自分がどうなっちゃうかわからなくって…もし、それではしたないなんて思われたら…」

 

気がつけば、同室の女子達の視線はセセリアに釘付けとなっていた。

 

「な…なによ…?」

 

セセリアは恐る恐ると言った顔で周囲を見回す。

 

「うわぁ〜…」

「名前呼びからそこまで妄想するなんて…」

「やらし〜んだ〜♪」

「やっ…やらしっ…!!」

 

その晩は耳年増と化した同級生達に、完全に揶揄われることとなったセセリアなのだった。

 

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