セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続きができましたです。


第31話

「ふぅむ…」

 

寮内を掃除しながら、ドゥラメンテは考えを巡らせていた。

 

「おいおい。あんま考え事に耽りすぎんなよ〜、万が一怪我したらどうすんだ?」

「フッ…その時は安心して我が友に甘えるとも」

 

その言葉に、ドゥラメンテの友人たるエドモンドはハァ…と呆れたようにため息をつき…。

 

「…いや、そもそも怪我しないようにしろってんだよ」

 

そうブツクサ言いつつも、ドゥラメンテを手伝っている。

 

とは言え…部屋それ自体は丁寧に使われているからか、基本的には綺麗なもので、ドゥラメンテがたまにベッドの下の埃などを掃除機片手に吸い取るくらいのものなのだが。

 

「なんだよ。そんなにジェターク兄に言われたことが気になってんのか?」

 

ぶっきらぼうに、しかし確かな心配を込められた言葉に、ドゥラメンテは頷く。

 

「うむ…確かに、これまで一度も名前呼びされたことが無い…と、グエル殿に言われて…それが少々気になってなぁ…いや、別にセセリアを急かすつもりは毛頭無いのだが…」

「それで、落ち着かずにこうやって掃除に勤しんでるってか?」

「フッ…無論それもあるが…何より、オレのいる空間は常に美しく無くては部屋が不憫でなッ!!」

 

いつもの調子でそんなことを言うドゥラメンテ。

どうやら強がりでは無いようだ。

と言うか、ドゥラメンテは感情が割と露骨に顔に出る。

 

仮に芝居めいた事が出来たとしても、それはセセリアの前で多少カッコつけ癖があるくらいだろう。

 

むしろセセリアと同居なんてしようものなら三日以内にはボロが出るのでは無かろうか。

…ナルシストは割と素だが。

 

「だがまぁ…セセリア嬢は別にオメーに対して心理的に壁作ろうってんじゃあねーように見えるが…」

 

むしろ、あの言動は第三者が見れば、分かりやすく照れ隠しなのだが。

それを言うほどエドモンドも無粋では無い。

 

「フッ…だがな、エドモンドよ」

「なんだよ?」

「変わるなら…二人一緒にだ。これは譲れん」

 

頭にバンダナを巻き、片手に小型掃除機を持ちながらドゥラメンテはそう言い切る。

 

あくまでも二人一緒に、と言う彼の時にスタンスの故か、そもそもドゥラメンテの恋愛観は側から見れば少々特殊に映るのだろう。

 

だが、ドゥラメンテ…と言うよりはマルシャンにとって、恋愛とは謂わば二人三脚のようなもの。

常に相手に寄り添い、助け、或いは助けられるもの。

 

言うなれば、ゴールの決められた長距離を全力疾走しては止まり、相手に合わせて休んだら再び全力疾走しては止まり…と言った感じだ。

 

動く時はそれこそ疾風迅雷といったふうに凄まじいが、動かない時はそれこそ岩の大樹の如くビクともしない。

 

プロポーズ騒ぎの時の行動力と、今のセセリアのタイミングを待って優しく寄り添う姿は見ていて歯痒くも微笑ましい。

 

距離感の取り方もさながら熟年夫婦のそれであり、かと言って恋愛上手かと言われればそうでも無く、肝心なところでヘタレたりと、ところどころでボロが出るのもしばしば。

 

……そして、それがセセリアの母性本能をこれでもかとくすぐるのかもしれない。

 

「…ま、けどよ。たまにゃあ強引に行くってのもアリなんじゃあねぇの?」

「ふむぅ…そういうものか?」

「ま、あくまでもオレ個人の一意見としてだけどなぁ…」

 

その言葉に、ドゥラメンテは人懐こく笑う。

 

「そうか…ありがとうエドモンドよ!!」

「だぁぁ!!もう、こんなことでいちいち礼言ってんじゃぁねぇよ!!」

「ふがっ…!!」

 

放り投げられた雑巾が駆け寄ろうとしたドゥラメンテの整った顔面にクリーンヒットする。

 

「ったく…そのまんまシャワー浴びちまえ!!汗もかいただろうしよ!!」

「うむぅ…そう早口で捲し立て無くとも…」

 

そう言って、ドゥラメンテは着替えを持ってシャワールームに向かうのだった。

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