セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
ドゥラメンテの祖父であるシックール卿は火星中の人々からの尊敬と、畏敬を集める優れた手腕の商人であり、また今日までベネリットグループ内での足場の確保を盤石とした立役者でもある。
古きも新しきも同等に検討し、必要ならばどちらも用いるなどと言った柔軟性もある。
レアメタルの交渉もまた、彼無くしては足元を見られていただろうことを鑑みても、その手腕がいかに優れているかがわかるだろう。
ある日、そんな偉大なる祖父から、アスティカシア高等専門学園にいる孫、ドゥラメンテへの連絡があった。
「オイオイ…ホントにオレも同席していいのかよ?」
「なぁに、むしろ我が友は是非とも祖父に紹介したいと思っていたところ!!何を恥じることがあろうか!!」
そうして…約束の時刻になり、生徒手帳が着信を知らせる音と共に震える。
ドゥラメンテはそれを嬉しそうに手に取り、通話ボタンを押した。
「ヤッホー♪ドゥラくぅん。おじーちゃんだよ〜♪」
「ノリが軽いなぁおい!!」
同席したエドモンドが早速ツッコミを入れる。
が、それを言われた当人は気にした風でも無い。
「お祖父様!!こちらは我が心の友エドモンドだ!!」
「あ、ども…エドモンド・パリスです….」
「ほうほう!!キミがあの…話は聞いているよ」
ニコニコと応じる祖父に、一瞬エドモンドはなんとなく隣の友人が重なって見えた。
彫りの深い顔立ちは確かにドゥラメンテに似た面影があり、若くして結婚したのか蓄えられた顎髭は未だ白さを知らないかの如く艶やかで、優しい目つきはドゥラメンテに瓜二つだ。
「話は息子夫婦から聞いたよ〜。ドゥラくん惚れた子がいるんだって?ヒューヒュー!!」
年甲斐も無く冷やかす祖父に、ドゥラメンテは満面の笑顔で「はいっ!!」と元気よく頷く。
「うんうん。良いことだねぇ、いやぁ〜私たちの青春を思い出すなぁ〜」
「あの…反対とかは…」
エドモンドの問いかけに、シックール卿は笑顔で答える。
「するわけ無いじゃないか〜。可愛い孫だからね。まぁ確かに一部スペーシアンに反感持ってる人らがいるのは事実だし、時として彼らの意向も配慮する必要はあるんだけど…大抵みんなこう言えば納得してくれる」
「そ…そんな魔法のような言葉があるものなんですか?」
エドモンドはゴクリ…と固唾を飲んで質問する。
それにドゥラメンテの祖父は笑みを浮かべて、言葉を続ける。
「ああ、あるとも。それは…」
「そ…それは?」
心なしか画面に顔を近づけて答えを待つ。
それにドゥラメンテの祖父はふっふっふ…と笑うと…。
その言葉を口にした。
「恋愛は別だよねっ!!」
「ですよねぇ…」
「いやぁ〜、まさかこうして孫と恋バナが出来るなんて!!おじーちゃん感激!!」
「オイ…頑固なのか緩いのかわかんねぇなコイツら」
恋愛は別…実の孫がそれだけ心を許した相手には寛容ということなのか、それとも相手であるセセリアをブリオン社ごと取り込む気満々なのか…。
まぁ、そこは可愛い孫の友人とは言え、部外者のエドモンドが言及したところでのらりくらりとかわされるだけだろう。
「というか…最初に思ったんですけど、なんでそんなに若々しいんですか?」
その言葉を待ってましたと言わんばかりにドゥラメンテの祖父は額に手を当て決め顔を端末のカメラに向ける。
「フッ…そんなもの、常に奥さんに恋しているかに決まっていよう!!いやぁ、ワシらの出会いは忘れもしないあの夏の日の……」
「あぁ〜…」
なんと言うか、言動の端々に血のつながりを感じるエドモンド。
頑固なマルシャンとは何だったのか。
コイツらただの恋愛脳なのか?
それともこれも何らかの策の一環なのか?
エドモンドは思わず頭を抱える。
そんなカオスな状況に…再び一石を投じる事態が発生する。
「ねぇその…シャディク先輩にチケットをもらって…えっと…良ければ今度の休日にリゾートコロニーに遊びに…べっ、別に嫌ならその…」
それは、勇気を振り絞ってわざわざ寮にまでドゥラメンテを誘いに来た想い人、セセリア本人なのだった。
ドゥラメンテくんのおじーちゃん登場。
こういう一見おちゃらけてるけど実力者的なキャラ好き…。
今後再登場するかなぁ…。