セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
ドゥラメンテたちの所属する寮は木々に囲まれる形で建てられてており、その中庭には、ドゥラメンテ達が手塩にかけて育てた薔薇園がある。
「フッ…やはり花は人の心に安らぎを与えてくれる…そうだろう?」
「はいっス!!ドゥラメンテパイセン!!」
「おかわり良いですか!?」
「フッ…無論だとも」
そんな薔薇園の中心にある、嫌味ない程度に飾り立てられた東屋で、他の生徒たちと共にお茶を飲んでいるのは、ドゥラメンテ・シックールと、その友人エドモンド。
先輩も後輩も、ほぼほぼ無礼講と言った風に楽しんでいる。
今日は週末の楽しみの日。
最近ドゥラメンテがセセリアとのデートや決闘でいなかった分、普段よりも豪華にやっていた。
「オメー、自慢げな割にセセリア嬢にここ案内しねぇのな」
ティーカップに口をつけつつ、素朴な疑問を投げかけるエドモンド。
それに、ドゥラメンテは困ったような笑顔を浮かべる。
「いやなに…確かにここは我が自慢の庭だが…あくまでもオレ自身の趣味だ。花が美しくとも、趣味の押し付けは美しくないと思ってね。それに…」
「それに?」
エドモンドからの更なる質問に、ドゥラメンテはわいわいとお茶会に興じる生徒達を振り向きながらに答える。
「彼らから楽しみを奪ってしまうのも酷な話というものだろう?」
このお茶会は、ドゥラメンテが造園趣味の後輩に教えてもらって一から作り上げた場所。
そこを自身とセセリアのためだけに一時明けろと言うのはあんまりな話だと言う。
何より、最近はドゥラメンテ自身、週末は留守にすることも多く、他生徒に任せっきりと言う負い目もあったのだろう。
「このローズヒップも、彼らがいたからこそ、こうして愛らしく実ることができている。ここは火星ではないが…オレにとって第二の故郷とも呼べる場所なんだよ」
ドゥラメンテは優しく微笑みながらそう答える。
そんな大切な場所を、本人達の許しもなく利用するような真似はしたくないと。
だが…だからこそ、彼の後輩達はそのわずかな違和感にも気がついていた。
そんな生徒の一人が、ドゥラメンテに歩み寄ってくる。
「むぐむぐ…ドゥラメンテパイセン!!だったら…」
「うん?どうかしたのかピエール?クッキーのおかわりでも?」
「それはいただきます!!じゃなくって…」
後輩は一瞬目を輝かせていたが、すぐにまじめの雰囲気に戻る。
「そんなに大事なら、なおのこと!!このお庭のこと、セセリア嬢に紹介してあげて欲しいっス!!」
子犬のように思っていた後輩が、何やら真剣な表情でそんなことを言ってくる。
ドゥラメンテはそれに驚き、「だが…」と口篭る。
「確かに!!自分たちにとってセセリア嬢は他人っス!!でも、そうであると同時に…」
「オレらの大好きな、ドゥラメンテパイセンの想い人なんスから…」
「だ、そうだぞ?」
「………」
そのいきなり降りた許可に、珍しくフリーズするドゥラメンテ。
「しっ…しかし…他の生徒達は…」
「アタイは良いと思いま〜す」
「オレも〜」
「ウチもいいと思うけど」
お茶を飲みつつ、呑気にそう続ける他の生徒達。
「君たち…」
「だってよ。で?オメーはどうしたいんだよ?」
「そ…それはもちろん。出来ることなら…見て欲しいとも」
「それは自慢のためにか?」
「それも…正直ある」
「あるんかいッ!!」
ピシッとツッコミを入れるエドモンド。
「だが!!オレが自慢したいのは、この庭のことだけではなく…」
「では無く?」
「この寮のッ!!自慢の学徒達をッ!!是非とも紹介したいッ!!」
ついに本音をぶっちゃけるドゥラメンテ。
それに今度は周囲が驚きに包まれることとなり…。
「うん…まぁ、オメーはそう言うやつだよなぁ…」
「いやまぁ…パイセンがヘンに真面目な人なのは分かってたっスけど…」
エドモンドはじめ、他生徒達は「やっぱりな」と言った風だ。
「ではッ!!早速次のお茶会にはセセリアを誘ってだな…」
「行動早えぇなぁオイ!!」
名分を得れば即動く。
まさにいつものドゥラメンテ・シックールがそこにはいた。
「…取り敢えず、当日は二人っきりにしてあげるよう手配するっスね」
「…頼んだ」
それを、生暖かく見守る寮生達もまたいつものことと、慣れた様子であった。
そう言えば寮の描写、室内しか無かったなぁと思って書いてみましたです。はい。