セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
「…首尾はどうだ?」
とある寮の一室にて、眼鏡をかけた人影が、集まった他の人影に問いかける。
「いい感じですね」
「うん…セセリア先輩も、割と露骨に引っ付くようにもなって来たし…」
「同じ寮の女子への牽制なのか、それとも単に無意識にやってんのか〜…どっちにせよ、コレは進展アリ判定でいいんじゃね?」
「オレは色恋はサッパリだが…側から見りゃあ、カップルってのはあんなモンじゃねぇのか?」
「ハハハ、まさかあのセセリアがあそこまで大胆になるとはねぇ…」
ハロ好きそうな声と、キープくんを侍らせていそうな女子の声、そして何やら偉そうな声、そして腹黒そうな声の主はすでに合格点を獲得したものと見なすようだが…。
「いや…まだだ」
眼鏡をかけた人影はまだひと押し欲しいようで…周囲の視線が彼に集まる。
「…ファーストネーム呼びはあくまで指標。そこで、二人の距離を無理なく縮める手段がある。それは…」
「それは…?」
人影は眼鏡をクイっと上げると
「プレゼント交換だ」
そう、得意げに答えたのだった。
◇
とある休日。
ドゥラメンテはブリオン寮の一室にて、後輩であるロウジ・チャンテに教わる形で、何やら工作を行っていた。
「ふむぅ…オレも手先の器用さには少々自信があったのだが…これは存外難しいな…」
ドゥラメンテの手元には工具と剥き出しの基盤と…そして、ロウジが普段抱きかかえているモノよりも、少し小さめのハロの外殻と思しき丸みを帯びたフォルムの部品類が小箱にまとめてあった。
「…でも、初心者でここまでできる人はそうはいないと思いますけど」
「ハッハッハ!!ロウジ殿は褒め上手だな!!」
「いえ…別に…」
後ろで工程を見守っていたロウジは拗ねたようにぷいと顔を背ける。
「でも…何か記念になるようなものをあげたいって聞いたときはいい案だと思いましたけど…。なんでハロなんです?」
ファサッ…と前髪をかきあげ、ドゥラメンテはその質問に答える。
「フッ…簡単なことだ」
「かんたん?」
ロウジは何のことかと首を傾げる。
「セセリアが…小さなハロを持っているのを見るのは、どこか癒される…そんな気がするからだ。まぁ要はオレのためでもあるのさ」
少し開き直ったような物言いに、ロウジは薄く、困ったように笑う。
「はぁ…そういうものですか…」
まぁ、ハロはあのサイズでは意外とスペースも取るし、セセリア的にも邪魔になってしまうだろう。
どちらかと言えば邪魔にならないサイズで、それこそ自室の机にでも置いて、たまに話しかけるような、日頃の疲れに癒しを与える存在となってくれればと…そんなささやかな願いを込めてのこと。
当然サプライズプレゼントのため、セセリア本人はこの場にはいない。
と言うよりも、彼女は諸用で出ており、なにやら大事な用事があるそうだ。
この時間も、そんな小さな隙間時間を見つけては、少しずつ手間暇かけてやっと後少しで完成というところにまで漕ぎ着けたところ。
だからこそ、出来上がりの感動もひとしおだろう。
「よしっ…あとはこの外殻を、内部パーツを傷つけぬようゆっくりと…はまった!!」
「…一応の期限内には出来ましたね」
「うむ。確か…名目上はあと四日だったか」
二人の仲の進展は、かつてないくらいに進みつつあった。
…これまでがゆっくり過ぎたと言われればそれまでだが。
一方、その頃のセセリアは…。
「お客様、コチラ男性向けの最新商品でございますが…」
「あ〜…コレじゃない…コレもギラギラしてて違うなぁ…コレは〜…ちょっと堅っ苦しくてアイツのイメージには合わない気がするし〜。あぁ〜…もう、全っっ然決まんない〜…」
とある高級ショップにて、案内されたショーケースの商品をかじりつくように吟味していたのだった。