セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続きができましたです。


第42話

時は少し前に遡り…。

 

ブリオン寮近くの林の入り口付近で双眼鏡を用い、送別会中のブリオン寮の中を覗き見る人影があった。

 

「クッソ!!じれってぇなぁ〜。そのままの勢いで告るなりすりゃあ丸く収まるってのによ〜」

 

ドゥラメンテの友人であるエドモンドは、その様子を見て舌打ちしそうになりながらそうこぼす。

 

「まぁいいんじゃないか?ホラ、ああして手も握ってるし。コレも立派な進歩だろう?」

 

あははと軽く笑いながらそう言うのはシャディク。

どうやら彼もドゥラメンテとセセリアの進展が気になるらしい。

 

「い〜や!!ファーストネーム呼びは最低限だ!!でなきゃアイツ、今度は大親友の次は超親友だ!!とか言いかねねぇからな」

「あぁ〜…」

 

そんな様子のエドモンドに、シャディクはなにやら納得した様子で声を漏らす。

 

「ったく…くだらねぇ…」

 

そして、木に寄りかかるように座っているのは現ホルダーにして、ジェターク寮の寮長を務めるグエル・ジェターク。

 

…が、ここにいると言うことは、まぁそういうことだろう。

 

「仕方ねぇ…ダメ押しにアレをするか…」

 

エドモンドはゴソゴソと地べたに置いたカバンをまさぐると、それを着るように同行者達に促す。

二人共…とくにグエルは…渋ってはいたものの、結局彼らはソレに着替えることとなった。

 

「…で、アレってなんなんだ?」

「なぁに、決まってんだろ?少しばかりちょっかいかけんだよ」

 

そう言うエドモンドは、どこかイタズラを思いついた子どものような表情を浮かべるのだった。

 

 

「オォウ!!オメェラァ!!」

 

「…む?」

 

突然現れた全身タイツに覆面姿という珍奇な格好をした数名の人影に、ドゥラメンとセセリアの二名は囲まれる形となってしまった。

 

「えっ?ちょっ、誰?」

「セセリア。少し落ち着こうか」

 

ドゥラメンテは、困惑するセセリアを庇うように前に出る。

 

「オウオウ、そこのお二人さんお熱いねぇ〜!!」

「ちぃっとオレらも仲間に入れてくれや」

「そうそう。別に変なことはしないからさ?」

 

「セセリア、目を閉じてハロの電源スイッチを二連続で押してもらえるか!?」

「えっ?あっ、うん…」

 

セセリアはドゥラメンテに言われた通りに、目を閉じながらカチカチっと二度押す。

 

「ハロハロ〜♪」

 

「このちびハロにはいくつかの機能がついていてな。その一つとして、三秒以内に電源スイッチを二連続で押すと…」

「押すと?」

「簡易閃光弾になる」

 

カッ………!!

 

「うぉ、眩しっ!!」

「えっちょっ、コレ聞いてないんだけど?」

「ぐうっ…流石にドゥラメンテ。油断ならねぇか…」

 

突然の閃光に、不審者一行が怯んだ隙を見て、ドゥラメンテはセセリアを抱きかかえながら駆け出し、近くにあった学園のスクーターに自身の生徒手帳をセットし、セセリアを後部座席に乗せるとそのまま発進する。

 

「にしても….まさかあんな機能まであったとはね…」

「ハロハロ〜♪」

 

背後からドゥラメンテにつかまりながら、セセリアはそう呟く。

 

「フッ…セセリアを守るためにな。まぁ、その分エネルギーも使うから、そう何度も使えないんだが…ともあれ、人体に害のある光量では無いから、その点は安心して欲しい」

「…なんでよりによって、アイツらを心配するような物言いなのよ」

 

ギュッと、セセリアがドゥラメンテの腰に回した腕に力が籠る。

 

「アンタだって危なかったかも知れないのに…もし、何かあってからじゃ遅いんだけど?」

 

その不安を、安心させるような声色で、ドゥラメンテは振り返らずに答える。

 

「フッ…簡単なことだ」

「簡単なこと?」

「それでセセリアを悲しませたり、罪悪感を覚えさせてしまうと、それはオレの苦しみでもあるからな」

「…ホント、お人好し…」

「ハッハッハ!!だが、セセリアを守りたいと思うこの気持ちに嘘偽りはない!!」

「…そう。ま、でも咄嗟の機転は…カッコよかった…けど…」

「フッ…お褒めにあずかり光栄の至り」

 

そんなことを、スクーターに乗りながら二人は繰り返していた。

 

セセリア得意の毒舌も、なぜか今は出てこない。

不意に、空の色を見るが…そろそろ本格的に暗くなるのがわかった。

 

訳のわからない連中に囲まれ、思わずスクーターを走らせたが…どう言うわけか、その連中が追ってくる気配はない。

ブリオン寮は地図を見る限り先ほど来た方角であり、このまま戻ってもきっと門限には間に合わないだろう。

 

「ねぇ…今晩アンタの部屋に泊まってもいい?」

「いや、そこは女子部屋に…」

「ヘタレ」

「うっ…いや、しかし…そう言うことは卒業後でも…」

 

久々に出た短くも鋭い毒舌に、ドゥラメンテは珍しく狼狽えた。

 

…明日、忘れ物を取りにブリオン寮までいっしょに歩いて向かうのもいいかもしれない。

ついでに、あのときの言葉の続きを聞き出すのも良いだろう。

 

「ありがと、ドゥラメンテ…」

 

セセリアはドゥラメンテの背中に寄りかかり、安堵した様子でそう小さくこぼしたのだった。

 

なお、結局あの三人はブリオン寮で一晩世話になったとかなんとか。

 




ちびハロ ドゥラメンテがセセリアへのプレゼントとして作ったもの。

色はルビーのような赤。

ドゥラメンテが初心者なことと制作期間の問題か、形は多少歪だがロウジのフォローによって無事稼働。

光る。
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