セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
さて、やはりと言うべきか驚くべきことと言うべきか…。
セセリアがドゥラメンテをファーストネームで呼ぶようになってからと言うものの、二人の仲はどうやら以前よりも更にいい方へと転がっていったようだ。
「む?セセリアからのメールか」
「最近増えたよなぁ〜、大変じゃーねぇの?」
「フッ…このくらいならば、オレはむしろ嬉しいさ」
「…まぁ、オメーはそういう奴だよなぁ…」
生徒手帳のメールで連絡し合うのも以前より増えたし、時折二人で勉強会の名目で一緒に居るところを、複数の寮の生徒達が目撃している。
つい先日などは流行りの映画を見たらしく、食堂で談義に花を咲かせていたという。
とある日の決闘の時などは…。
荒野をモチーフにした戦闘区域にて、ドゥラメンテの駆るディランザがモニターに映る。
上空に表示される名はもちろん、ドゥラメンテのものであり…。
「セセリア〜!!勝ったぞ〜!!」
そう無邪気にコクピットで叫ぶドゥラメンテに、決闘を見ていた生徒達から歓声が上がったのだが…。
「…アイツはアタシのために戦ってるってのに、なぁ〜んで他の女子までキャーキャー騒いでんですかね〜…」
セセリアは決闘委員会のいつものソファに腰掛けて、モニターを見ながらそうぼやく。
その表情は誰がどう見ても不機嫌そのものだ。
「………」
隣に座る同じ寮のロウジですら、触らぬ神に祟りなしと言わんばかりに、いつもより距離を開けては沈黙してしまっている。
…とは言え、ドゥラメンテの想い人はセセリアであると本人が明言している以上、彼には所謂厄介ファンの類は、少なくとも表向きはついていない。
セセリアの言うキャーキャーと言うのも、どちらかと言えばドゥラメンテとセセリアとの仲を祝福したり、応援するニュアンスが強いのだが…まぁそれはそれ。
噂の種とされている以上、文句の一つも言いたくなると言うものだろう。
「まぁ、いいんじゃないかな?こうやって勝利の歓声を浴びるのも、言ってみれば人気者の宿命みたいなモノだろう?」
それを分かってか、向かいのソファに座るシャディクが苦笑しつつ、そうフォローを入れるが…。
「…頭で理解するのと、気持ちで納得するのは別なんです〜…」
セセリアはそう言ってむくれながら、ぷいと顔を背ける。
まぁ、自分のために相手が頑張ってくれているのは嬉しいし、それが今回の勝利のように、良い結果につながったのならば誇らしい気持ちにもなる。
だが、それが他者に…特に同性に賞賛されるのを見るのは面白く無い。
まぁ、よくある複雑な乙女心という奴だろう。
その様子を見て、何かを感じたのだろうちびハロがぴょいんとセセリアの膝の上から降りるなり、ぴょんぴょんとセセリアの周りを飛び跳ねる。
「セセリア!!ヤキモチ!!ヤキモチ!!」
「なっ…べっ別に、そんなんじゃ…」
「ははは、ちびハロはよく分かってるみたいじゃないか?」
ちびハロのおかげで、若干ラウンジ内の空気が軽くなった頃…。
「セセリア、これから食事でもどうかな?」
先ほどの決闘の勝者であるドゥラメンテが直接やって来て、さりげなしに食事にいつもの人懐こい笑顔で誘う。
「あ、うん…」
差し出された手を取り立ち上がると、セセリアはそのまま、ちびハロと共にドゥラメンテと廊下に向かう。
…なお、残された二人は、なにやら雑談しているようで…。
「ホント、変わったなぁ…」
「アレで、告白もまだなんですけどね」
「えっ?アレで?」
シャディクはロウジのその言葉に、驚きに目を見開いていたのだった。
ヤキモチセセリアさんを書きたかった次第。