セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
でも、せっかくだからあげちゃう!!
グラスレー寮の一室。
そこでは、シャディク・ゼネリとその側近達が集まっていた。
「で?どうなのよ火星の王子サマは?」
定位置のソファに横になりながら、レネ・コスタは自分達のリーダーであるシャディクに問う。
「ああ、彼に関しては特に裏は無さそうだ」
シャディクは端末でドゥラメンテの情報を見つつ、そう返す。
マルシャン達はベネリットグループ内で、恐らくは一番の旨味である戦争シェアリングに一枚噛めない代わりに、自分たちのレアメタルの利権はドゥラメンテの祖父の活躍もあって死守した過去がある。
それによって他のスペーシアン企業もある程度の溜飲は下りたようだし、地球でのマルシャンの利権の拡大はほとんど不可能となった。
が、それでもグループ内で成果を上げているあたり、火星のレアメタルをはじめとした宝石や金属類は、スペーシアンにとってかなり魅力的なのだろう。
彼らにとって、アーシアンでは無くスペーシアンが主な顧客なら、地球云々はそれほど重要でも無いとの判断かも知れない。
「そうか。それで彼は…」
「いや、彼は計画には巻き込めないさ」
シャディクは珍しくサビーナの言葉を途中で遮ってそう返す。
それにサビーナは一瞬驚いた表情を作るが、すぐに元の凛と引き締まった表情に戻る。
「ドゥラメンテの目的はあくまでもセセリアとの結婚と、何より彼女を守ることだ。普段の彼の言動から鑑みてもそれに偽りは無いように思える。確かにパイロット技術こそ目を見張るものがあるが、だからと言って下手に刺激さえしなければ、計画に支障はないと踏んでる。パイロット科に来たのも、あくまで火星の防衛強化のためと見る方が自然じゃないのかな?」
セセリア、という名が出た事で思い出したのか、レネ・コスタは「あぁ〜…」と合点がいったような声を漏らす。
確かに気まぐれに応援こそしたが、まさかこの短期間であそこまでいくとは思っていなかったのがレネとしては印象的だったようだ。
「確かに、見てるこっちが恥ずかしくなってくるくらいグイグイアプローチに行ってたし、最近なんか基本べったりで傍目から見てもお互いお熱だもんねぇ〜?どこかの誰かさんにも見習ってもらいたいくらい…」
「レネ」
それを聞いて、ヨガのポーズをしていたエナオ・ジャズが目を細めて短く、しかし鋭く咎める。
「は〜いはい…チッ…わぁってるっての…」
マルシャン…アーシアンにもスペーシアンにもなりきれない半端者。
しかし、この学園の生徒達は彼がマルシャンであることよりも、ドゥラメンテであることを望んだ。
荒れた星の未来を背負う悲劇の王子様であるよりも、ナルシストになるくらいには己の容姿に自信があって、かと言って他者を貶めることも無く、どこか人懐こくて、時としてアーシアンにさえ敬意を払う…そんな彼をこの学園はどういうわけか受け入れていた。
「羨ましいね…本当に」
シャディクが呟いたその言葉は、いったい彼の何に対してなのか。
それに込められたものは本当に羨望だけなのか。
それが分かるのは、他ならぬシャディク本人だけなのだった。
短めだけど…まぁ、幕間のお話ってことで…。
本編みたいなシリアス方面には行かないと思うので…まぁエッセンス程度に。