セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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できたので投下です〜。


第49話

「はぁ〜…」

 

ブリオン寮の談話室に、とある女生徒ため息がひとつこぼれる。

 

その主の名はセセリア・ドート。

 

一年生の実習も増えて、ものは試しと決闘をやりたがる生徒が多いせいか…決闘委員会の仕事が多忙で、最近はドゥラメンテとろくにデート出来ていない女子生徒だ。

また、最近こう言ったため息が増えてきた人物でもある。

 

「どうしたの?」

「あぁ、ロウジ…」

 

声をかけたのは、同じ寮の後輩だ。

 

「珍しいね。声をかけるまで気づかないなんて」

 

いつもの如く、ハロを抱きかかえながら向かいの席に座る。

どうやら話を聞くつもりのようだ。

 

「うん…」

「何か悩みでもあるの?」

 

シンプルな、しかし心遣いのこもった質問に、セセリアは少し躊躇いがちに口を開く。

 

「アタシって、ちょろいのかな〜って思ってさ〜…」

「?なんでそう思うの?」

「実は〜…ついこの間…ちょ〜っとしたイタズラ心と言うか〜、まぁ、ドゥラメンテを驚かせようかなぁ〜なぁんて気まぐれに思って〜、ドゥラメンテ本人にはアポ取らずに向こうの寮に行ったんだけどさ〜…」

「うん」

 

どうやらセセリアは、普段やり込められているちょっとした可愛い仕返しに、ドゥラメンテを少しばかり揶揄ってやろうと彼らの寮へと向かったらしい。

 

それに対して、返す言葉こそ短いが、ロウジはきちんと話を聞いている。

 

「その時〜、その、不意に会話してる声が聞こえてさ〜」

「会話って…どんな?」

 

少なくとも、目の前の彼女の様子からひどい陰口じみたことを聞いたわけではなさそうだが…。

 

「えっと〜…」

 

セセリアはそんなロウジを相手に、少し前の過去を思い出しつつ、ぽつりと語り出した。

 

 

ドゥラメンテの寮の生徒達に訳を話して彼の部屋まで案内してもらい、いざ立ち入ろうと思った矢先のことだった。

 

「で?セセリア嬢とは最近どうなんよ?」

 

その言葉に、セセリアはぴたりと動きを止め、悪いとは思いつつ、聞き耳を立てることに。

…別に普段自分のいないところで、彼が自分のことを何と言っているのか気になったわけではない…はずだ。

 

「む?いや、最近は決闘委員会の仕事で忙しいらしくてな…まぁ、そう言う時期らしいが…だが、そうやって頑張る彼女もまた素敵だと思うよ、オレは」

 

会話の相手は大抵いつも一緒にいる友人の、確かエドモンドという男子生徒だ。

 

「まぁた惚気やがって…にしても、話に聞くだけでも決闘委員会の大変さが分かるなって今更ながら思うが…セセリア嬢も忙しいだろうに、それに加えて真面目に学業にも打ち込んで、オメーとデートもしてよ。オレじゃー到底真似できねーな」

「フッ…だが、それがセセリアという女性だ」

 

髪をかきあげながら、格好をつけてそう言っているのが目に見える。

そう思うと、無意識に少しばかりニヤけてしまう。

 

「…こう言っちゃあ何だがよ、不満とかねぇのか?」

 

その言葉を聞いた時、セセリアは少しばかりドキリとした。

決闘委員会は普段から基本的に忙しい。

 

ドゥラメンテとのデートやらも、その合間を縫って行われるため、一般の生徒よりは少ない方だろう。最近は特に。

 

かと言って、シャディクやグエルに任せきりというのも、何のために委員会に所属しているのかと言う疑問にもつながるためできる限り避けたい。

 

結果、ドゥラメンテに不満を覚えられてはいないか…。

心の中にあったそんな一抹の不安が、セセリアの胸に去来しそうになった、そんな時だった。

 

「フッ…少なくとも、オレはセセリアが決闘委員会で良かったと思っているさ。そうで無かったら、おそらくあの出会いもなかっただろうしな」

「……ふぅ〜」

 

セセリアは扉の前で依然沈黙して、しかし今度は小さく安堵の息を漏らす。

 

が、それと同時に過去の己へのグッジョブとも何やってんのとも言えない感情が込み上げて来るのがわかる。

 

…まぁ、だからと言って今更何をどう出来るわけでもないのだが。

 

「それに…セセリアは決闘委員会に相応しい、正しいプライドと責任感を持った人だとオレは思うよ」

 

その言葉を聞いて、セセリアは逃げるように彼らの寮を後にしたのだった。

 

 

「……って、言うのを聞いちゃいまして〜はぁ…」

 

恐らく帰る際に寮生の何人かには見られたろうが…まぁ、告げ口をするような人物ではないことを信じるより他ないだろう。

 

「…まぁ、良かったんじゃない?」

 

ロウジはそんな先輩に向かって、精一杯のフォローの言葉を投げかける。

 

彼が少しチラリと扉の方を見遣ったのに、セセリアはまったく気づいていない。

 

「まっ、まぁ?アイツがアタシに惚れてる事なんて、わかりきってましたけど〜?」

 

妙にうわずった声で、精一杯にそう言うセセリアを、扉の向こうで生暖かい目で見守るブリオン寮の一同なのだった。

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