セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続きができました〜。

そういやあの試験やってないな〜って思い、書いてみた次第ですはい。


第50話

 

アスティカシア高等専門学校のとあるクラスの一室。

 

そこに二つの人影があった。

どうやら生徒手帳を手に、何かしらの映像を見ているようだが…。

 

「そこだ!!行け!!」

「頼むって、4.8倍〜!!」

 

どうやら、何かの賭け事をしているようだ。

 

「うわ、クッソ!!コイツまた勝ってんじゃん」

「マジぃぃ〜?ってことは…ウチらまた負けってことじゃんムッカつくぅぅ〜!!」

 

方やがっくりと肩を落とし、方やドタドタと地団駄を踏んでいる。

やがて、一方が落ち着いた頃合いを見て、もう一方が声をかける。

 

「……やる?」

「やるかぁ…」

 

そう言う二人は先ほどまでとは違い、嫌な笑みを浮かべていた。

 

「イタズラコンビ?」

「ああ…パイロット科の連中はどの学年もほとほと困ってるらしいぜ?オレはまだ被害にあってねーけど」

 

食堂で食事を食べつつそんな話をしているのは、ドゥラメンテとその友人エドモンド。

怪訝な顔をするドゥラメンテに、エドモンドは言葉を続ける。

 

「なんでも…本人達に気に入らないことがあったり、むしゃくしゃしたら相手が誰でも構わないらしくってよぉ。それこそ学年もスペーシアンもアーシアンもカンケーねーんだとよ」

 

そう言うなり、エドモンドは生徒手帳でその生徒らしき人影の写った映像をドゥラメンテに見せる。

 

「分かってんのは、ダイゴウ寮のカメラに映ってたっつーこの背格好的にたぶん女子ってことと…後は髪の色か。そのカメラも途中からツギハギ編集された映像に差し代わってて顔までは映ってねーうえに、被害者の試験用のデミトレーナーのメインカメラには、遅効性の塗料がわざわざ塗布されてたって話さ」

「ふむぅ…いかに相手が気に食わないとは言え、人様に必要以上に迷惑をかけるのはなぁ…」

 

ドゥラメンテは困り顔を浮かべる。

 

「…ま、何はともあれ、オレらに出来ることっていやぁドックの警備を厳しくすることと、事前のチェックをサボらず何度も繰り返すくれぇか…教師連中に泣きついたところで、そのくらい自分でやれって言われてお終いだろーしよぉ…」

 

とは言え、そこまで悪質で周到な悪戯をする生徒がわざわざ「自分たちがやりました」などと名乗り出る訳もない。

 

先述の対策だってされているだろうことを鑑みて、それでも被害が出ていることから手を替え品を替えやっているのかもしれない。

だが、気休めでもやらないよりはマシだろう。

 

「まぁ、そうだな。そのくらいしか無いか…」

 

そして数日後。

 

ドゥラメンテは、年に何度か行われる試験のために同じ寮のメカニック科である後輩ピエールと、同学年のメーヴェに協力を頼んだ。

 

「久しいな。相棒」

 

ドゥラメンテは懐かしのデミトレーナーのコクピットに乗って試験区域にまで向かい、スタート位置で順番待ちをしていた。

エドモンドとの話を踏まえここ数日、そして前日の晩の就寝前にも確認したが、特に異常は見受けられなかった。

 

その場には多くのパイロット科の生徒と教員がおり、皆淡々と課題をこなしていく。

 

今回の試験ですることは主に二つ。

 

ひとつ目はメインカメラ以外のセンサー類をオフにした状態で観測主、及びスポッターの指示に従いつつ地雷(試験用のため、踏んでも煙が出るだけで本当に爆発はしない)を交わして、制限時間内に腕部パーツを交換し、的を撃つ。

ターゲットのセンサーが反応すればそこで合格。

 

複雑な操作も特にはいらない、基本的にパイロット科の授業をきちんと聞いて、実践出来ているのなら誰でもクリアできるレベルのテストだ。

 

「フッ…寮の代表として、美しくクリアして見せよう」

「ドゥラっち、やる気満々だねぇ。油断は禁物だけど」

「だ…大丈夫っス!!ドゥラメンテパイセンならラクショーっス!!」

 

ドゥラメンテは通信でメーヴェとピエールと雑談を交わすほどに余裕のある姿勢で取り組んでおり、そうこうしている間に彼の番に。

 

開始のブザーが鳴ると同時に、駆け出すドゥラメンテの駆るデミトレーナー。

 

「はい、そこ右に20ねー」

「了解した!!」

「次、左に30〜」

 

試験は順調に進み…。

 

そして、ついにその時が訪れた。

 

「む…?」

「どしたの?急に立ち止まって…」

「な…なんかトラブルっスか?」

 

いきなりドゥラメンテの乗るデミトレーナーのモニターが真っ暗になった。

 

普通の生徒ならばパニックになるだろう状況にあって…しかし、ドゥラメンテは冷静だった。

 

「ほう…これはつまるところ…」

 

寧ろ…。

 

「学園からの課題と見たッ!!」

 

かつてない出来事に燃えてすらいた。

 

「なるほどな…実戦では予想外の出来事は当たり前。それを課すためのサプライズ試練!!」

 

流石にポジティブ&天然が過ぎるが。

というか、つい先日のエドモンドとの会話はテンションのせいか頭から抜け落ちているようだ。

 

「だが…オレとて元々はデミトレーナー乗りだった男。試験区域の地形、デミトレーナーの歩幅や重心、それから割り出せる現在位置と、スタート地点からの距離、その他もろもろ…既に頭に入っている…故に」

「ドゥラっち?」

「何でもないさメーヴェ。さぁ、試験を続けようか」

 

その声はどこか楽しそうな様子で…。

 

「ハッハッハ!!次は!!」

「ヨシ来た。斜面抜けて左に15」

 

何故かクリアまでしていたのだった。

 

閑話休題。

 

少し離れたところで見物している人物が二人。

格好からして、恐らくはメカニック科の生徒か。

 

イタズラを仕掛けた張本人二人は予想した通りの出来事が起こらなかったせいか舌打ちしていた。

 

「ちょっとちょっと!!ありえねーんだけど!!」

「ねぇ、ちゃんとスプレーした!?」

「したっつーの!!何なら普段より念入りに!!」

 

想定外の出来事に二人とも焦り、イラついていたのだろう。

その証拠に周囲の視線が集まっていることもほとんど気になっていない様子。

やがて、二人の口論が少々白熱しそうになった時のことだった。

 

「へ〜、何をスプレーしたって〜?」

 

どこからとも無く聞き覚えのあるような無いような女子生徒の声が聞こえて来た。

 

「はぁ!?誰だよ!?」

「そんなん遅効性塗料に決まって…」

 

声の主に向かい、吠えてから二人は顔を青ざめさせる。

 

何故なら…。

 

「ふ〜ん?その話、ちょ〜っと詳しく…聞かせてくれる〜?」

 

その相手は今回ちょっかいをかけた生徒の(未来の)恋人として有名な、決闘委員会のひとり、セセリア・ドートだったのだから。

 




メーヴェくん。
メカニック科所属。

外見の特徴はくすんだ金髪と碧眼。
いわゆる三白眼で、基本眠そうな表情をしている。

不真面目でも勉強はできるタイプ。
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