セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続きができましたです。


第54話

先日の薔薇園の手伝い以来、どう言うわけかセセリアはドゥラメンテとの距離感を以前に増して詰めるようになっていた。

 

周囲に親しさをアピールするためか、それとも他の女子生徒への牽制なのか、あるいはそれ以外の理由があるのか、それはセセリア本人のみぞ知るところだが。

 

ある日の放課後、ドゥラメンテはテスト前の仕上げのため、セセリアに図書室で勉強を見てもらっていた。

 

「むむ…やはりここは…」

「そ〜そ〜、分かってきたじゃ〜ん。それじゃ次は〜…」

「おいお前!!」

 

図書室の椅子を近づけて生徒手帳を挟んで寄り添いながら勉強をしていると、背後から突然に声をかけられる。

 

「なぁに〜?見ての通りアタシらは勉強中なんだけど〜?」

 

後ろを見ると、怒り顔のひとりの男子生徒がいた。

見た目は金髪碧眼。

なかなかに整った容貌に見えるが、どうにも気が立っているようだ。

 

「お前!!セセリアさんに無理やり土いじりをさせたらしいな!!」

 

唐突な要領を得ない言葉に、二人はキョトンとした顔になる。

 

「させた…というより、セセリアから申し出てくれてな。いやぁあの時は本当に助かった!!」

「ねぇ〜?」

「はぁ!?聞いてた話と違うぞ!!下手な嘘をつくんじゃ…」

 

剣呑な雰囲気を感じ取ったドゥラメンテは、立ち上がるとセセリアを守るように男子生徒の前に出る。

 

「だが、こうしてセセリア本人がそれを否定する言葉を言っているだろう?キミにその話をしていたのだろう人物と、他ならぬ張本人…いったいどちらの言葉に真実味があると思うね?」

 

攻撃的な発言を繰り返す生徒からセセリアを守るためか、いつに無く威圧的な雰囲気を醸すドゥラメンテに、相手は気圧される。

 

そもそもこう言ったいちゃもんの類は、別に今に始まった事ではないが…それでも、セセリアのいない所でつけられることがほとんどで、最近はめっきり減っている。

ましてや本人の前でやるなどという愚策は今回が初だ。

 

聞いた話によほどのショックを受けたからか、それともドゥラメンテからセセリアを掠め取るチャンスと思ったのか…。

本人の様子を見れば、まぁ察せると言うものだが。

 

「うぐ…それは」

「そもそも、一体誰からその話を?ここに来たのも単なる事実確認のためというわけでは無いのだろう?」

 

先ほどの、ほとんど決めつけるような口調。

噂の出本となる人物はそれだけ口が上手いのか、それとも単純に目の前の人物がその人物と個人的に親しい間柄なのか…。

 

「あ〜!!そう言えば〜」

 

思い出したとでも言うかのように、図書館に似つかわしく無い声の大きさでセセリアは言う。

 

「うん?セセリア、どうかしたのか?」

 

振り向くドゥラメンテの問いかけに、セセリアはイタズラっぽく笑う。

 

「ついこの前〜、アタシらが草むしりしてたところの近くに〜コレがあったんだけど〜」

 

彼女は制服のポケットから小さい何かを取り出すと、見せびらかすように男子生徒の視線の前に持っていく。

 

「うん?それは確か、過日の決闘で受け取った…」

「ま〜ぱっと見するとただのアンプルなんだけど〜、ここをこうやってひねると〜…」

 

セセリアは手にしたソレをパカっと開くと、中からはガーデニングには似つかわしくない小型のチップや基盤…それから最新の小型内蔵型電池まで見えていた。

 

「ね〜?」

 

ニッコリと笑うセセリアだが、その目は全く笑っていない。

 

「な…なんだそれ?来たメールにはそんなこと…」

「なにって〜盗聴器でしょ〜?」

 

『盗聴器』というワードが放課後の図書室に響くと、図書館内のどこかからガタタッ…と音が聞こえる。

 

「な〜んでこんなオイタしちゃうのかなぁ〜?ねぇ、なんでだと思う〜?」

「え?お…俺?」

 

突然セセリアに話を振られて、困惑した様子の男子生徒。

しかし、盗聴器といういかにもな品を目にして、頭に登っていた血が戻ったことで訪れた罪悪感からか、私見を述べる。

 

「そ…それは…その…二人はいつも一緒にいて…仲は良いけど、あくまでも友達としてのそれなのかなぁ…とか…それなら、決闘とか関係なく…お。お付き合いできないかなぁ…なんて…」

 

セセリアはその回答に満足したのかウンウンと頷く。

 

「要するに〜、アタシ達がまだ付き合ってないのが問題ってこと〜?」

「あ、まぁ…はい…」

 

すっかり意気消沈した様子の男子生徒。

しかしそんな彼をよそに、セセリアは嬉々とした様子でドゥラメンテの方を向く。

 

「そっかそっか〜それじゃ…アタシら付き合っちゃおっか〜?」

 

冗談めかした言い方ではあるが、その目は真剣そのもの。

 

ドゥラメンテはそんなセセリアの視線に若干押され気味になりながらも、しかし一度はプロポーズまでしたからか、そこまでの動揺は無く…。

 

「う、うん?まぁ、そうだな。こうして実害が出そうになった以上、そのままというわけにもいかないか。では、後日正式な場を整えて…」

「も〜!!そう言う堅苦しいのはいいから〜!!」

 

そう話す二人に、第三者達は完全に蚊帳の外なのだった。

 

 

その日の晩。

 

とある寮の一室。

そこにはあの図書室から必死になって逃げ出した生徒が布団にくるまっていた。

 

「クソっ!!まさかあの二人、本当に付き合うことになるなんて…」

 

生徒は今回の噂を流布しようとした張本人であり、件の薔薇園に盗聴器を贈った張本人でもある。

 

とにかく、今は寝て英気を養おう。

付き合ったなら付き合ったで今度は違う不満や心配が出てくる。

そこをつけばいい。

そう思って手元の電気を消そうとしたその時だった。

 

ピロンっ…。

 

彼の生徒手帳から、無機質な電子音がひとつ鳴る。

 

「ん?こんな時間にメール?」

 

発信者は…unknownつまりは不明。

 

「なんだぁ?イタズラか?」

 

怪訝に思った彼は、そのメールを開く。

 

そして…その内容は、とある写真フォルダと…

 

『今回は見逃す。次は無い』

 

そう、短い一文があった。

 

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