セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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ちょっと目を離してたらかなり伸びててびっくりしました。


第55話

その日、ドゥラメンテは珍しいことにエドモンドに相談事を持ちかけていた。

薔薇園の東屋で、紅茶と茶菓子に舌鼓を打ちつつ…少し落ち着いた頃合いを見計らって、何やらドゥラメンテから本題を切り出す。

 

「最近、セセリアが何やら積極的にひっついてくるのだが…」

「オイ、開口一番惚気かよこのヤロー」

 

エドモンドはそんなことかと言わんばかりにあい変わらずの毒舌を炸裂させる。

 

「む?いや、まぁ確かにそれもあるが…」

「あるのかよ!!っつーか、それの何が不満なんだ?」

 

ツッコミを入れられたドゥラメンテは、しかしそれに動じるでもなくエドモンドをまっすぐに見据えて答えを返す。

 

「不満というよりは…以前は割と恥ずかしがり屋な所のあったセセリアが、ここの薔薇園の手伝いをしてくれた日を境にかなり近くてな…さらにはあれ以来手伝いもよくしに来てくれて…正直言って嬉しいし、助けられているのはあるが…ただ、彼女が無理をしていないかだけが心配でなぁ…」

 

そして、エドモンドは思い当たる節を探り、納得したかのように頷く。

 

「あ〜…なるほど、このチャンスを活かしたってわけか…強かというか、健気というか…彼女なりに踏み出したのかねぇ〜…」

「チャンス?」

「いや、こっちの話…で?オメーはセセリア嬢と付き合う気自体はあんだろ?なら、今更何を悩んでんだよ?」

 

恐らくは先日の話に聞いた図書館での盗聴器事件を機に、ドゥラメンテがセセリアと未だにくっついていないことによって(恋愛的に)不利益が生じるこの状況を活かして、今回突っ込んできた生徒のみならず、周囲にいた生徒達にも、ドゥラメンテとセセリアが付き合うことが確定事項であろうことをアピールした。

 

距離が普段より更に近いのもおそらくその作戦の一環。

希望的観測による半信半疑やら面白半分に盛り上がっていた生徒が、一気に事実だと認識を改めることとなる。

 

それに…多少抜けているところのあるドゥラメンテのためにも、しっかりと手綱を握ろうという考えなのだろうと、エドモンドは推察していた。

 

「まぁ確かにセセリアのことはすぐにでも結婚したいくらい大好きだが…」

「そこまで思ってんならもうくっつけや」

 

エドモンドから鋭い指摘が飛ぶ。

 

「しかし…突然関係が変化してはかえってギクシャクしそうでなぁ…」

「オメーって奴は…」

 

要するに、いつもの日和り癖が出たというわけだ。

普段はグイグイいくし、本心から口説き文句も言う。あちらから来られるのも満更でも無いが、それはそれとして大事なことには時間をかけたい。

以前、レネに尻を叩かれてからは多少マシになったが…。

 

見慣れた友人の様子に、エドモンドはため息をひとつこぼすと一言。

 

「別に付き合うことになってもよー、態度変える必要もねーんじゃねーの?」

 

ぶっきらぼうなその言葉に、ドゥラメンテはパッと顔を上げる。

 

「うん?そういうものなのか?」

「そりゃーな。関係の変化ったって、最初は違和感があったとしても時間と共に馴染んでくモンだろ。まぁ恋仲についてどうこう言えるほど、オレも経験豊富って訳でもねーけどよぉ」

 

エドモンドは紅茶を一口飲んでから、ふぅと一息つく。

 

というかそもそもの話、ドゥラメンテの言うところの親友だの大親友などといった関係性はほぼほぼ建前のようなもので、少なくとも周囲からの扱いとしては事実上のカップルも同然。

 

そもそも人前であれだけいちゃついて、デートも何回もしておいて、よくもまぁまだ付き合ってませんだなどとのたまえたモノだ。

 

「ハァ…」

 

目の前の少しばかり抜けているところのある友人に、エドモンドはこれ見よがしにため息をこぼす。

 

「エドモンド?」

 

キョトンとした表情で小首を傾げるのを見るのももう何度目か。

 

「それで?もう告白の準備ってのは整ってんのか?」

「む?それはもう、すぐにでも出来るが…」

 

本当に準備はしていたのか。

まぁ、本人に準備がどうこう言っていたらしいし、その辺は律儀に守るのはいい意味で彼らしい。

 

「じゃあ…つべこべ言わずに言ってこいや!!女に恥かかすモンじゃねーだろ!!」

 

そう言うなり、エドモンドはバンっとテーブルを叩く。

 

「次の休みに改めて告って来い!!返事もらうまで帰ってくんじゃねーぞ!!いいな!?」

 

一方的にそう言って、エドモンドはドゥラメンテの返事を待たずに薔薇園を後にしたのだった。

 

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