セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
ドゥラメンテとセセリアが正式に交際をはじめて、すぐにその事実は学園中の生徒の知るところとなった。
とは言え、ドゥラメンテもセセリアも、別にわざわざ自分から吹聴するようなたちで無いのは明らかであるのだが…。
「セセリア、今回も無事に勝ったぞ」
「は〜いはい。ちゃんと見てたから知ってます〜」
このように決闘委員会のラウンジ内でも、周囲の人目を憚らずにいちゃついているのが一因だろう。
二人の距離感も以前に増して近く、今は三分足らずで決闘に勝利したドゥラメンテがソファに腰掛けるセセリアに膝枕をされている状態だ。
「ま〜たそうやって甘えちゃって〜…そ〜んなにアタシの膝がいいんだ〜?」
頭を撫でつつ、顔を覗き込みながら、セセリアが問いかける。
「まぁ、そうだな。ここ以上に心地よい場所というのもそうは無いだろう」
「……すけべ」
「なっ…いや、あの、そういう疾しいことは…その…」
慌てふためくドゥラメンテに、セセリアはクスリと笑う。
「クスッ…冗談だってば、ば〜か」
「む、最近のセセリアは何やら手厳しいなぁ…」
揶揄われていたことに気がついた様子で眉根を寄せ、困ったようにドゥラメンテは笑う。
それを見て、何かを思いついたのか、セセリアは少々ばかり意地の悪い笑みを浮かべる。
「なら、も〜っと厳しくしてあげよっか〜?」
「フッ…望むところ」
その言葉に、今度はセセリアが驚いた表情を浮かべる。
「も〜、そこは勘弁して欲しいって言うところでしょ〜?」
「なに、厳しくしてくるセセリアもまた、可憐だと思ってな」
「あ〜そ〜ですか〜」
予想した反応ではなくて、むくれた顔でプイとそっぽを向くセセリアだが、膝枕を止めないあたりどうやら本気で怒っているわけではないのだろう。
そして先述した通り、ここは決闘委員会のラウンジなわけで…。
「前々から早くくっつけとは思ってたが…」
「まさかあのセセリアが自分から膝枕をするとはねぇ〜…」
少々遠巻きに見守っているのは、まぁ当然と言うべきか御三家のグエル・ジェタークと、シャディク・ゼネリの両名だ。
なお、同じく御三家のエラン・ケレスはいつもの如く我関せずと黙って読書をしている。
「にしても…本当に動き出すと早えなぁ、アイツらは」
驚き半分、呆れ半分と言ったふうにグエルは言う。
「まぁ、心の中に堰き止めていた思いが、そのまま二人を動かしてるなら、まぁ分からないでもないけどね」
「あ〜…」
思い当たる節があるようで、グエルはシャディクの言葉に納得したような声を漏らす。
二人とも、見ていながら何故止めないのか。
まぁ、理由は幾つかあるが…。
まず、止めるような野暮をして、セセリアに睨まれたくはないということ。
ドゥラメンテの影響なのか多少は丸くなったが、それでも毒舌の切れ味は全く衰えていない。
次に場はともかくとして、時は弁えているから別に問題はないと言うのも大きい。
既に今日の授業及び、全決闘の日程は終えており、各々好きに行動しているのだから、そういちいち目くじらを立てる必要もないだろうということ。
そうして、日が暮れる頃までひとしきりいちゃついた後、ドゥラメンテはセセリアをエスコートしつつブリオン寮まで送り届ける。
「おお、そう言えば購買部に新しい商品が入ったらしい」
「そ〜?じゃあ寄ってこっか〜」
道中で寄り道をしつつ、他愛無い世間話に花を咲かせ、気がつけばブリオン寮の前に着いていた。
「では、セセリア。また明日」
「は〜いはい。アンタもね〜」
セセリアが笑顔を出てを振り、ドゥラメンテもそれに答えていると、やがて寮の入り口の自動ドアが無機質な音を出して閉まる。
ドゥラメンテは不意に笑うと
「フッ…後でエドモンドに礼を言わなければな」
そう言って、そのまま来た道を戻り、鼻歌まじりに自身の寮へと向かうのだった。