セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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珍しく筆が進んで二連投〜。


第59話

その日、アスティカシア高等専門学園の食堂で、同席したエドモンドと、たまたま同席したニカが純粋な疑問を投げかける。

 

「なー、最近見るからにセセリア嬢と一緒の時間がますます増えたけどよー。マジで疲れねーの?」

「あ、それわたしも思ったよ。いつも仲良いけど、大変じゃ無いかなぁって…」

「む?疲れるどころか、むしろ元気をもらっているし…なんなら、毎日どんどん好きになるが?」

「あ、そーかい」

「ご、ご馳走様…?」

 

ドゥラメンテからのその言葉に、エドモンドとニカの両者は見るからにほっとした様子だ。

 

「良い機会を与えてもらった。ありがとう友たちよ」

 

というか、セセリアとの関係の進展に背中を押したのは他ならぬエドモンドだ。

それが、性急すぎたのかもと言う思いは、まぁ彼の心中に少なからずあったのかも知れない。

ニカは後から知ったクチだが、それでも嬉しそうに笑っている。

 

「そっか、よかったねぇ二人とも…」

「それで、当のセセリア嬢はどうしたんだ?」

 

ドゥラメンテの隣を見つつ、エドモンドは追加の質問をする。

 

「うん?なんでも、御父君から連絡が来たとか…」

 

その言葉に、二人は何かを察したような表情を浮かべる。

 

「へぇ〜、まぁ大体予想はつくがよー…」

「う〜ん…穏便に済むといいけどねぇ〜…」

 

その後は、セセリアを心配するような話題で持ちきりな三人なのだった。

 

 

「それで〜?わざわざこうして連絡までしてくるとか、普段は忙しい忙しいってほったらかしの娘に…どう言う風の吹き回しなんですかねぇ〜?」

 

ブリオン寮の自室にて椅子に座り、爪を手入れをしながらそんなことを言うセセリア。

とは言え…生徒手帳の画面に映る父親の言いたいことはだいたい分かる。

大方、父の部下の誰かが学園を通して父に2人の仲に関する連絡を入れたのだろう。

それ自体、別段驚くことでも無いが。

 

成り上がり者であるマルシャンとの恋仲は、残念ながらスペーシアン的に歓迎されるものではない。

それこそ、アーシアンより多少マシ程度の認識だろうし…自分含めここの生徒たちは、その内ベネリットグループ内での政略結婚の駒に使われるのだって珍しく無い。

 

現にこの学園のお姫様こと、ミオリネ・レンブランが正しくトロフィーとして道具扱いを受けているのだ。

 

セセリアなどはなおさら、似たような扱いを受けたとしても特段驚く事ようなことでもない。

 

少なくとも、以前までの彼女ならば…今のようにドゥラメンテと恋仲になっているなどと言う状況はあり得ないと鼻で笑っていただろうし、道具扱いに関しても、ある程度は受け入れていただろう。

 

学生のうちの恋愛も、あくまで結婚までのお遊び程度と割り切っている生徒も多いだろうし、セセリアもきっとそのうちの一人だった。

 

だが今は…。

 

「セセリア。実はお前の恋人に関して、大切な話がある」

「……っ!!」

 

その言葉に、セセリアはピクっと反応する。

大方、婚約者が決まったから恋人と別れるようにだとか、そんな話かと推測する。

 

見慣れた顔の映った生徒手帳をキッと睨むように見つめると、セセリアは一言毅然と言い放つ。

 

「…ドゥラメンテとは、別れねーから」

「お前がいきなり本題に切り込むとはな…いつもの聞こえよがしの嫌味や皮肉で相手から話を切り上げさせる癖は治ったのか?」

 

呆れがちにそう返す父に、「誰のせいで…」と小さくこぼすと、セセリアは続ける。

 

「なんでもいいでしょ〜?ともかくアタシは…」

「その話なのだがな…」

 

父親はセセリアの言葉を遮って、一拍おく。

御三家ほどでは無いにせよ。ブリオン社もまた大企業。

何かするなら、それこそ厄介では済まないだろう。

セセリアは固唾を飲んで、実父の次の言葉を待ち……

 

「我々ブリオン社は…マルシャンを受け入れようと思う」

「……は?」

「お前とシックールくんとの仲を祝福すると、そう言ったのだ」

 

セセリアがその意味を理解した瞬間、室内からガタンっ!!と大きな音がしたかと思えば、彼女は猛ダッシュで、自室から居なくなっていた。

 

「まったく…あの思い切りの良さは一体誰に似たのか…」

 

呆れるように、しかし若干嬉しそうに、そうこぼす父の言葉は、誰の耳に届くでも無く室内に響くのだった。




HGのデミトレーナー…二つ目買おうか悩み中…。


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