セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
その日、ドゥラメンテはとあるリゾートプラントのレンガ作りのような古風な街並みにある、ひとつのカフェテリアにて自身の注文したコーヒーを飲みつつ寛いでいた。
向かいの席には、もう一人分のコーヒーと、つい先ほど来たガトーショコラがある。
彼は半分ほど減ったコーヒーの入ったカップの傍で、身だしなみにと取り出した手鏡に映る自身の姿に酔いしれている。
「フッ…オレの美しさは今日もとどまるところを知らないな。嗚呼…これもセセリアのおかげか…」
ドゥラメンテとセセリアの二人が正式に付き合っていることが知れ渡った影響なのか、最近ドゥラメンテが決闘を受けることも付き合う以前より減り、セセリアは決闘委員会の仕事を以前に増して頑張っている。
もちろんそれを支えるのもドゥラメンテの役目であり、今日も多忙な彼女のガス抜きのためにと企画したデートの最中だ。
「フフッ…ちゃんと香水つけて来てくれたんだね〜」
学園内の待ち合わせ場所で、そう言ったセセリアはニコニコと微笑んでいた。
「ああ、セセリアがオレのために用意してくれたものだからな」
そう答えると、セセリアは満足げに頷いたのだった。
ドゥラメンテはそんなことを思い出しつつ、視界にの端セセリアが映るなり手鏡をしまい、花摘みから戻って来たセセリアと話に興じる。
「あ、頼んだの来てたんだ〜」
「ああ、つい先ほどな」
席につくなり、セセリアはフォークでケーキを切り分け、先端に刺すとそれを向かいに座るドゥラメンテへと向ける。
「はい。あ〜ん♪」
「む?いいのか?」
「いいからいいから〜」
しばらくしても、フォークを下ろす気配の無いセセリアを見て、若干遠慮がちにドゥラメンテがケーキにパクつくと、セセリアは頬杖をついてクスクスと楽しそうに笑う。
「美味し〜い?」
「フッ…ああ。セセリアのおかげでね」
人目を憚らずそう言うことをするのは、慣れなのかなんなのか…。
「そう言えば〜…ま〜た寮のみんなにからかわれたんだよね〜」
ウンザリしたような言葉とは裏腹に、満更でも無さそうな表情のセセリア。
そんなセセリアの様子を察したかのように、ドゥラメンテは嬉しそうに答える。
「ハッハッハ!!まぁ寮の皆も嬉しいのだろうさ」
「も〜…またそうやって、ドゥラメンテは甘いんだから〜」
「フッ…セセリアの友人だからな。蔑ろには出来まい?」
「あ〜はいはい、そ〜ですか〜」
その後もリラックスした様子で二人は色々と会話がはずむ。
決闘委員会でのこと、親とのこと、その他もろもろを話しており、互いに注文したものが無くなると、街歩きにシフトする。
「しかし、なかなか趣がある街並みだ」
「ね〜。結構有名な観光名所を模してるらしいし〜。割とたくさん買っちゃった〜」
「フッ…では、こちらで持とうか」
「ありがと〜」
ドゥラメンテはセセリアの荷物を持つが、セセリアの提案でたまたま目に入った噴水の近くのベンチで休む。
「今日は良い息抜きになったかな?」
「そうね〜。誰かさんもまた決闘委員会のラウンジに来てくれても良いんだけどね〜?」
「ハッハッハ!!遊びには行っているだろう?それに、オレが受ける決闘が減ったということは、それだけオレとセセリアの仲が周知されている証拠でもある。喜ばしいことだ」
「そうだけど〜…」
どうにも不満げなセセリアに、ドゥラメンテは笑う。
「では、近いうちにまたラウンジに遊びに行こう。それならいいかな?」
「…絶対だからね〜」
やがてデートも終わり、満足げな表情で寮の自室に戻ったドゥラメンテ。
そこに、ちょうどシャワー上がりなのだろう、タオルを首にかけたエドモンドがやって来る。
「よー。ん?なんか嗅いだことのない香水の匂いしてんなぁ…どんなのつけてんだ?」
純粋な興味から投げかけられる質問に、ドゥラメンテは行動でもって答えた。
「む?ああコレだが。そんなに珍しいものなのか?」
ドゥラメンテは制服のポケットから先日セセリアから渡された香水瓶を取り出す。
「それ、アレだろ。瓶の形からして有名所の限定品だろ?新作出る度に品切れ続出で、この学園に通うような生徒のツテでもなかなか買えねーって話の…よく手に入ったな」
感心したようにそう言うエドモンドに、ドゥラメンテはキョトンとした表情を向ける。
「む?そうなのか。コレは先日薔薇園の手伝いをしてくれた折、セセリアがくれたものなのだが…」
その言葉に、厳密には彼の恋人の名前が出た瞬間に、エドモンドは何かを察したように声をもらす。
「あ〜〜ちなみに…香水渡された時、なんか言ってたか?」
「そう言えば、確か猫よけにだとか」
エドモンドはその答えになるほど、とひとつ頷く。
「しかし、不思議だな…」
「不思議?何がだよ?」
香水を眺めつつ、ドゥラメンテは続ける。
「いや…オレが猫アレルギー持ちなことを、いつ知ったのかなと…」
「オメーは…いや、もう…そのままでいろ?な?」
何故だか生暖かい視線を向けられ、小さく首を傾げるドゥラメンテなのだった。
デート回でした。はい。