セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
「どうしようコレ…」
地球寮の自室にて、ニカ・ナナウラは困惑していた。
目の前に広げられるのはドゥラメンテ・シックールを名乗る生徒のブロマイド。
彼の故郷ではすぐに売り切れる…と言うことは、あまり出回っていないのは確かなのだろう。
もしかしたら本当に希少価値のあるモノなのかも…。
このまま持っていてもアレだし、仮に本当に価値のあるモノならば、いっそのこと本当に売って寮の設備のための資金にしてしまおうか…。
「いやいやいや!!せっかくのご厚意を無碍にするのは流石に…」
そんな考えが頭をよぎるも、被りを振ってその考えをかき消す。
「あっ、そろそろご飯食べに行かないと…」
その日、ニカは授業の都合で他の地球寮生達とは別に、少し遅めの昼食を取るため学食に赴く。
アーシアンゆえにか向けられるいつもの好奇の目にももう慣れた様子のニカであったが、そんな彼女に話しかける声があった。
「おや、そこに居るのはいつかの御仁…」
「え?」
聞き覚えのある声に振り返ると、そこには食事の乗ったトレーを持つ二人の男子生徒が立っていた。
「オイ、誰だよこの子。めっちゃ困惑してんじゃん」
「うむ!!彼女には以前世話になってな!!名は…ハッハッハ!!オレとしたことが自己紹介もしていなかったな!!」
「へー…お前、セセリア嬢以外の女子に興味ないと思ってたわ」
「いや何、謝礼を渡した相手くらいは覚えているさ。それとオレは浮気などしないぞ?」
「そもそも、まだ付き合ってもねーけどな」
「うむ!!まだ!!な!!」
ひとまず軽口をたたき終えると、以前会ったことのある方の男子生徒は優雅な手つきでファサッ…と髪をかきあげ、その名を名乗る。
片手にトレーを持っていても、それなりに様になっているのが憎らしい。
「では改めて…オレはドゥラメンテ・シックール…所属はパイロット科だ。よろしく。そしてこちらが…」
「同じくパイロット科のエドモンド・パリス…コイツとはちょっとした腐れ縁でな。ついさっきメシにしようってんでココに来たんだよ」
隣のメガネをかけた男子生徒も名乗り終え、自然とニカが名乗る番になる。
「そうなんだ…あっ、わたしはニカ、ニカ・ナナウラだよ。よろしくね?」
困ったような笑顔で名乗ると、ドゥラメンテは嬉しそうに笑顔を向ける。
「そうかニカ嬢!!ちょうど良い。今、我々も食事を取ろうと思っていたのだ。よければ一緒にどうか?」
「えっ…?」
その問いかけに、ニカは困惑する。
それと言うのも、スペーシアン至上主義者が生徒の過半数を占めるこの学園で、残念ながらアーシアンは正直良い顔をされない。
そんな自分達を食事にわざわざ誘う?
訳がわからず間の抜けた声が漏れる。
「ハッハッハ!!素っ頓狂な声を出して如何した?」
「えっ?でもわたし…あの…アーシアンなんだけど…」
「うん?それがどうかしたのか?」
「へっ?」
ニカとしては、自分に関わるとドゥラメンテもからかわれてしまう。
そう思ってやんわりと断ろうとしていたのだが、当のドゥラメンテはかなり予想外の反応を示した。
「アスティカシアの運営を行うベネリットグループはあくまでも実力主義を標榜しているだろう?そこにアーシアンもスペーシアンもあるまいよ。それに、貴女のメカニックとしての腕前の程はよく聞いている。むしろ優秀なのだからもっと胸を張っても良かろうて!!」
「だってよ。コイツ、こんなでも結構強いから文句ある奴は大体決闘で黙らせてるしな。そんな気にしなくていいぞ」
「フッ…それもこれも全てはセセリア嬢との輝かしい未来のために…ついては、同性のニカ嬢のご助言をいただきたく…」
その言葉にエドモンドは何やら得心が言ったようだ。
「あぁ、要するにセセリア嬢に次のアタックをするためにどうするかってので女の子の意見を聞きたかったのか」
「まぁ、かいつまんで言えばそうなるな!!」
「えっ…?え〜っと?」
「つまりは、コイツの恋愛相談に乗ってくれってことだよ。それだけで十分な見返りだから、それ以外何かして欲しいとかは無いから気にしなくて良いさ」
未だに困惑しきりのニカに、エドモンドはそう説明する。
なんやかんや人のいいニカはカウンターで注文したトレーを手に、そのまま三人で食堂の空いた席につくと、そのまま本当に彼の恋愛相談に乗ることとなったのだった。
なお…。
「なんで他寮の女子と仲良さそうにしてんのよ…」
楽しそうに話していたのをたまたまセセリアに見られ、不機嫌になる彼女のご機嫌取りに周囲が奔走したのは余談である。
ニカ姉再登場。