セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
「それでまた、あの時のセセリアが本当にかわいらしくてなぁ…」
「…オメー最近口開くたびにセセリア嬢のことばっかだよなー」
惚気を聞きつつ、呆れたように言うエドモンドに、ドゥラメンテはサラサラの髪をかきあげつつ答える。
「フッ…オレはただ、セセリアを愛してやまないだけだ」
「そーかい。それじゃーこんなイベントにも参加してみればいいんじゃねーか?」
そう言って、エドモンドは生徒手帳を少し操作して画面を見せる。
「これはっ…!!」
そして、それを見たドゥラメンテは目から鱗と言わんばかりの表情をする。
その直後にセセリアに連絡を入れて了承をもらい、サプライズということで船を使ってとあるプラントに到着した二人なのだったが…。
「…と、言うわけでセセリア、早速どのドレスがいいのか共に見て回ろうか?」
「えっ?ちょっ…急にそんな…」
「む?しかし、イベントに参加すると快諾してくれたのはセセリアでは…」
手を差し伸べつつ小首を傾げるドゥラメンテ。
「そ、それは…確かにそうなんだけど…」
セセリアは恥ずかしそうに周囲をキョロキョロと見回す。
まぁ、その反応も当然と言えば当然だろう。
何せ今回のイベントというのは………。
「だからって、その…まさかジューンブライドのブライダルイベントに参加するなんて思っても無かったから〜…」
「セセリアは嫌か?それならこのまま帰っても…」
「べっ…別に〜?ちょ〜っと面食らっただけで、嫌だなんて一度も言ってませんけど〜?」
申し訳なさそうにするドゥラメンテに、慌てた様子でセセリアはそう返す。
「そうか。それなら嬉しい。今回のデートも良い思い出にしよう」
ドゥラメンテはそう言って嬉しそうにセセリアの手を取る。
「も〜…たま〜にこうやって強引になるんだから〜…まぁイヤじゃないけど…」
ジューンブライド…かつて欧州で讃えられた結婚や出産を司る女神の守護するとされる月が六月であったということから、その彼女にあやかろうということで広まったとする話もある。
他にも農業の兼ね合いだとか、単純に一番良い季節だったからなどという説もあるが、まあいずれにせよ…それだけ話に事欠かないくらいに、昔から六月に結婚をするカップルが多かったのは確かなのだろう。
広いホールには各メーカーのスタッフが品のいいスーツを着て待機しており、ちょっとした質問にも丁寧に応じている。
ドゥラメンテもそれに倣ってセセリアの手を優しく引き、近くのブースに向かう。
「すまない。彼女に似合うものを見繕ってもらいないだろうか」
「かしこまりました。それでは、女性の方は…」
注文にスタッフが返答すると、セセリアを女性スタッフと共に別室に一度連れていく。
やがて採寸を終えたのだろうセセリアと共にメジャーを持ったスタッフがやってくると、端末に表示されたドレスからセセリアに似合いそうなドレスをピックアップしてもらう。
「ふむ…色はこんなにあるのか…セセリア、何か気になるものは…」
「う〜ん…そうね〜…」
定番かつ王道の白の他にも黒、青、オレンジ、ピンク…といったカラーリングがあり、どれもそれぞれ意味があるという。
「ほう…これは…」
「へ〜…こんなアレンジもあるんだ〜…」
丈も長くしたり短かったり、スリットが入っていたりと様々な工夫がこらされていた。
その日は二人ともかなり悩んだ結果、最終候補に残ったおよそ二十着から六着のドレスを試して、それを見たドゥラメンテはとても満足そうな表情をしている。
やがてドゥラメンテとセセリアの両名は休憩スペースで適当に飲み物を頼み、感想会と洒落込む。
「フッ…やはりセセリアはどの色も似合うな」
「も〜…嫁入り前にウエディングドレスを着させるとか〜…」
自分でそう言って何か思いついた様子のセセリアは、いつものいたずらっ子の表情に戻る。
「これはもう…責任とってドゥラメンテにアタシを貰ってもらわないとねぇ〜」
隣を歩くドゥラメンテに、セセリアはからかうようにそう言うのだが…。
「当然、オレは最初からセセリアと結婚するつもりしか無いが」
「う…うん…よろしく…」
やはり、肝心なところでのカウンターの強さは健在なドゥラメンテなのだった。
ジューンブライド的なお話が書きたかっただけというね。