セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
ここはブリオン寮のセセリアの自室。
そこではセセリアとその恋人であるドゥラメンテが二人きりでいちゃついていた。
しかし、その様子が…特にセセリアが…些か普段とは異なるところもあり…。
「しかしセセリア。一体何故、その…インナー姿で密着しているのだ?」
ソファの隣に座る自身の恋人に、目のやり場に困ると言外に言うかのように目を逸らそうとするドゥラメンテの顔を、セセリアは手で押さえて、しかし優しく自分の方へと向ける。
「ダ〜メ。今はちゃ〜んと目を見て、お話ししましょうね〜?」
いつになく積極的な恋人にドゥラメンテは若干の困惑もあったが、それでも次第に慣れたのか、それとも彼女の心中の不安を直感したのか、セセリアをそっと抱きしめる。
「大丈夫だセセリア。何度も言うがオレはセセリア一筋だ」
「…分かってる。でも、この前の放送を聞いてちょっとでもドゥラメンテの心が離れたらって考えたら…それだけで…不安で…ね〜」
セセリアは間違いなく聡い女性だし、ドゥラメンテへの心からの信頼もある。
何より自身が大事にされているのは実感として言われるまでもなくわかっている。
それでも…いや、だからこそ、その大切にしてくれる相手の心が離れるのは耐え難い。
ドゥラメンテ本人は決して彼女を捨てたりはしない。その信頼はある。
だからこそ…脇から掻っ攫われるんじゃないかと気が気じゃ無いのだろう。
それこそ、即物的に繋ぎ止めたいと思ってしまうほどに。
「心配せずとも、オレはセセリア以外の女に靡いたりはしないさ」
わかりきっていた答えだが…だからこそ、セセリアは嬉しそうに微笑む。
「フフッ…なら、なおさらちゃんと今アタシを見て、覚えて…焼き付けて。アンタの人生の隣に、その心をとらえて離さないただ一人いる女を」
セセリアは自分がここまで嫉妬深く、また執念深かったとは知らなかったし、ここまで真剣な恋をするだなんて想像もしていなかった。
同じ寮の噂話でいわゆる重い女の話を聞いても、なんでそこまで一人の男に夢中になれるのかなんて理解できなかったし、曲がりなりにもベネリットグループの人間がそこまで一人に入れ上げるのはどうなのかと、どうしたって冷めた目で見ていたのも純然たる事実。
「…そうだな。恥ずかしがり屋のセセリアが、こうも勇気を出してくれたのだ。その通りにしなければ、失礼だろうな」
こうして、己の本心を見透かすような発言に、ドキリとするのも何度目か。
「も〜…そういうのは、分かってても言わないものでしょ〜…」
…尤もそれも含めて、惚れ込んでいる訳だが。
「いけなぁい…」
どうにも過日の父との会話から、どうにも随所で自分を抑えられない。
例の放送の件だって、別にあそこまで威圧的に釘を刺すつもりもなかった。
いつもより近距離で、いつもと同じように談笑しつつ、セセリアはまぁいいかと結論づける。
いざとなればドゥラメンテに責任をとってもらうだけのことだ。
元より、言い寄ってきたのはあちらからだし。
コレはただ、その確認と、未来の予約というだけのこと。
決して間違いでは無いし、間違いにさせない。
香水の匂いが鼻腔をくすぐる。
それに、セセリアはつい口元を緩めて歓喜の表情を浮かべる。
「…ねぇ」
「うん?どうした?セセリア」
不意にまとわりつくような視線を、ドゥラメンテへと向けると…。
「あの時のやり直し、今やる〜?」
セセリアは悪戯っぽい目で、艶やかな仕草で…そして真剣な口調で、そうこぼしていた。
セセリアさんがちょっと積極的になった的なお話。