セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
「なぁ、ホントに良かったのか?」
食堂から寮に戻って昼休憩の残り時間、談話室の机を挟んでゆったりとしていたドゥラメンテにエドモンドは問いかける。
「うん?何がだ?」
問われたドゥラメンテは、生徒手帳から顔を上げ、エドモンドに視線を移す。
「あのニカって女子のことだよ。あの子、聞いたとこじゃあ、これまでさんざん嫌がらせされてんのに、特にやり返しも言い返しもしねーでいっつもニコニコしてて、何考えてるかわかんねーって有名だぜ?風の噂じゃあ、どっかのスパイだからことを荒立ててないってだけで…」
もちろん、エドモンドとてそんな突拍子もない話を鵜呑みにはしていない。
が、それ以上にドゥラメンテは少々人懐こいところがある。
だからこそ心配しての今回の発言だし、ドゥラメンテ側としてもそのくらいはわかる。
「フッ…だがあの応答、そして真摯に相手の話を聞こうとする姿勢…少なくとも善良ではあるさ」
ドゥラメンテはファサッ…と前髪をたなびかせてそう答える。
「なんでそう言い切れんだよ?それだって演技の可能性あんだろ?」
「フッ…簡単なことさ…それは…」
「それは?」
生徒手帳を机に置き、ドゥラメンテはいつになく真剣さの籠もった瞳で、真っ直ぐに親友を見遣る。
「オレとセセリア嬢の恋路を笑わずに聞いてくれたからな」
「…あ〜〜、そうだった。お前ってそう言うやつだった…」
エドモンドは眼鏡を外して、呆れた様子で目元を抑える。
が、それもまた慣れたこと。
「だが、その警告には感謝しよう。友よ」
いつも通りにカッコつけな様子でそんなことを言う友人に、エドモンドはハァ…とひと息溜め息をこぼす。
「ったく…なんだってこんなヤツとつるむようになっちまったのかねぇ…」
「ハッハッハ!!そう照れるな!!」
「へーへー…」
最早反論するのも馬鹿らしく感じたらしい。
気の抜けた返答をするエドモンド。
「だが…どうしても彼女への不信感や不安を拭えないと言うのなら…」
ドゥラメンテはバサっと上着を脱ぎ、シャツに手をかける。
「このオレの!!美しさに免じてッ!!見逃してやってもらえないだろうかッ!!」
「だ〜!!脱ぐなって!!悪かった!!オレが悪かったから!!」
焦った様子で止めるエドモンド。
何せ他の生徒の目がどこにあるのかわからない。
ドゥラメンテはこんなでも見た目は良い。
いわゆる美形であるのは客観的事実だ。
故に、こう言った奇行ですらも好意的に受け取られかねない生徒がいないでもないのだ。
特にこの寮では、ドゥラメンテはヒーローの如く語られている。
それと言うのも…この寮の備品やら何やらはほとんどドゥラメンテが主にセセリア関係で手を変え品を変え条件を変えて挑まれた決闘で勝ち得たモノだからだ。
「んまぁ〜!!ドゥラメンテ様〜♪」
「今日もお美しい〜!!」
「目線いただけませんか〜!?」
決めポーズで声の聞こえた方向を向くドゥラメンテ。
「いやホント…何でコイツと関わっちまったんだろうなぁ…」
そうこぼしつつ、遠い目をするエドモンドであった。
次回、デートなるか?