セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
時系列とか、そういうのはあんまり考えてないです。はい。
「では、グエル殿が…決闘で敗北を喫したと?」
すでに数人が自寮へと帰っていた決闘委員会のラウンジにて、信じられないと言わんばかりに反応するのは、つい先ほどラウンジに遊びに来たドゥラメンテ・シックール。
それだけグエルの実力は他を隔絶していたし、現に彼の駆るディランザは怒涛の二十七連勝を重ねてきた。
それを打ち破るなど、ドゥラメンテと言えどにわかには信じ難い。
ドゥラメンテの問いかけに答えるラウダの表情もまた苦々しげだ。
「ああ。だが、奴が使っていたのは恐らくGUND-ARM…言わば禁じられた兵器の可能性が高い。それならあんな決闘無効だ。そうに決まってる」
ラウダは話し相手のドゥラメンテと言うよりは自分に言い聞かせるような、そんなことを言いつつ前髪をいじって、目に見えて苛立っている。
普段冷静な彼がそんな反応を示すだけでも、それだけの異常事態なのだろうことがわかる。
「グエル殿…」
対するドゥラメンテは後悔するように歯噛みしている。
聞けば、今回の決闘の発端は怒ったグエルがミオリネの温室で暴れたからだとか。
それに割って入ったのが、たまたま温室に迷い込んだ編入生…スレッタ・マーキュリーというたぬきっぽい水星出身の生徒らしい。
そこまでグエルが思い悩んでいたとは…そしてドゥラメンテは、はからずもその当事者の両方と接点があったことからも、歯痒さを隠せない様子だ。
それと言うのも、ドゥラメンテは今朝方ミオリネの温室の手伝いをしてきたばかりなのだ。
「別にドゥラメンテは何も悪く無いでしょ〜?」
そんなドゥラメンテの悩みを見抜いたのか、ソファで腰掛けていたセセリアは彼にそう話しかける。
「セセリア、しかし…」
「も〜…決闘は宣誓にもある通り、結果のみが真実…今回の負けに関しても、完全に頭に血が登ってたうえに油断してたグエル先輩が悪いんでしょ〜?」
そう言ったセセリアは立ち上がり、ドゥラメンテに腕を絡めると、彼を連れてさっさとラウンジを後にしてしまった。
そしてブリオン寮の談話室にて、例の決闘の映像を見るドゥラメンテは驚きと、そして感嘆の声を上げる。
「しかし、この兵装…まるで生きているかのようだ…」
「ね〜。ウチで真似しようとしても絶対難しいし〜」
ドゥラメンテから見て正面のソファで用意したお茶菓子を摘みつつ、そんなことを言うセセリア。
「ハッハッハ!!そもそもブリオン社のモビルスーツは扱いやすさと汎用性の高さが売りだろう?見た所あの兵装は機体ともども一点もののようだし…まぁ中には血眼になって技術を取り入れようとする企業も出るかもしれないが…」
そもそも合計十機程あって、軌道も複雑でバラバラに動く兵装を、あそこまで精密で精緻で正確な操作ができる方がおかしい。
パイロットの腕が凄まじいのか、それとも他にシステム面で何かタネがあるのか…いずれにせよ、コレに勝つには確かに一筋縄ではいかないだろう。
「あんなのが量産されてたら、それこそ商売上がったりだっての。そもそもホントに噂のGUND-ARMだったとして…乗ったら呪いで死ぬって言われてるような機体に好き好んで乗りたがる物好きの方が少ないでしょ〜?あんまり気にしすぎない方がいいと思うけどね〜」
そこまで言うと、セセリアはチョイチョイと手招きする。
小首を傾げるドゥラメンテだったが、恋人からの要請に断りを入れるという選択肢は彼には無い。
そして、ソファに腰掛けようとすると、突然セセリアに引っ張られる。
「もがっ…せ…セセリア?」
気がつけば、ドゥラメンテはセセリアに抱きすくめられていた。
「アンタはよくやってるって〜の。それに…オトモダチだからって、何でもかんでもやってやる義理も無いでしょ〜?」
そう言われて、ドゥラメンテから無駄に強張っていた力が抜けていく。
「…ありがとう、セセリア」
「べつにぃ?お礼を言われるようなことはしてないけど〜?」
セセリアはクッキーを齧りつつそっぽを向く。
そして、後日ドゥラメンテはホルダーとなったスレッタに決闘を挑むのだが…。
その結果はご想像の通りである。
この二人は本編でも変わらずいちゃついてそうだなぁと…。