セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
とある日のブリオン寮。
そこに、嵐の如き来客がやって来たのは、ある種必然であった。
「たっ…頼む!!匿ってくれぇ!!」
そう言って、ブリオン寮の入り口を叩くのは、ドゥラメンテ・シックール。
それに気づいた生徒達が、扉を開けて中へ入れる。
とりあえず談話室へと通されたドゥラメンテは、そのままセセリアが呼ばれるのを待つことに。
「あれ?珍しいじゃ〜ん」
「セセリア〜!!アンタの彼くんが助け求めて来てるよ〜!!」
「はぁ〜?どういうことよ〜?」
ワイワイと、文字通り女子生徒達に背中を押される形でやって来たのはドゥラメンテにとって最愛の相手であるセセリア・ドート。
最初こそあまり素直じゃない反応を示していた彼女であったが、いざドゥラメンテの様子を見るなり、思わず声をかける。
「って…ちょっと!?いったいどうしたのよ〜!?」
「お、おお…セセリア…頼む!!今日一日だけでもいい!!理由を聞かずに匿ってくれ!!」
普段の余裕ある態度が嘘のように青ざめた表情で頭を下げるドゥラメンテ。
そんな様子の彼を見て、かわいそうに思ったのだろう。
ブリオン寮の皆が、その懇願に頷きかけたその時だった。
ガッシとドゥラメンテの背後から、何者かの腕が伸びる。
一同は一瞬ぎょっとするが…その人物を見て、声を上げることはなかった。
何故なら…。
「はーい確保ー」
「ったく、手間ァ取らせやがって」
「ひぃ!!エドモンドにグエル殿!?」
そう。背後にいた二人は、彼の友人であるエドモンドと、決闘委員会として交流のあるホルダー、グエル・ジェタークだったからだ。
「え、ちょ?何やってんすか?」
「何って、健康診断だよ」
「コイツ、血液検査って聞いた途端顔色変えて逃げ出してなぁ〜…」
「えぇ〜…」
先ほどの発言から、何事かと思っていただけに、理由が分かってマジかと言う目を向けるブリオン寮生達。
「フッ…情けないのは自覚している…。故にッ!!それを承知の上で頼みたいッ!!セセリア!!」
ドゥラメンテはグエルに襟首を掴まれた状態で
自身の恋人にがばりと頭を下げる。
「匿ってくれ!!この通り!!」
が、しかし…。
「は〜い、それじゃーちゃきちゃき連れてっちゃってくださいね〜」
事情を知ったセセリアは、むしろ後ろの二人に協力する姿勢を見せた。
「セセリアぁぁ〜…」
捨てられた子犬のような目をするドゥラメンテを見て、セセリアはため息をひとつ。
「ったく…健康診断くらいちゃんと受けなさいよ。もしアンタになんかあったら…悲しむだけじゃ済まない人がいるんだからね〜…ばか」
それが一体誰を指しているのか…それは口調からして聞くまでもないだろう。
その言葉にハッとしたドゥラメンテは、グエルに支えられつつ立ち上がる。
「そ、そうか…いやすまない。つい…。二人も、世話をかけた…」
「ったく…アタシが着いてってあげるから、しゃんとしてよね〜」
そう言われて、ドゥラメンテは先ほどまでとは打って変わって明るい顔をする。
「そ、そうか!!いや、ありがたい!!」
「チョロいなおい」
「白衣とマスクとゴム手袋の三点セットを見ただけで逃げ出すドゥラメンテが…」
そう言って、己を奮い立てたドゥラメンテだったが、それでも苦手なものは苦手なようで…。
「せ…セセリア、頼む…手を…手を握ってもらえるか…」
プルプルと震えつつ、セセリアの方へと手を差し出す。
「も〜、しょーがないんだから〜」
その後、固く目を瞑ったドゥラメンテは採血が終わるまで、ずっとセセリアの手を握っていた。
そして、その後のブリオン寮の一室にて…。
「にしても…あの王子様が注射が苦手だったなんて、意外だったね〜」
「ね〜?」
「セセリアも〜…幻滅しないであげてね〜?誰にだって苦手なものはあるって〜」
そうフォローを入れる友人達に、セセリアは俯きつつ答える。
「幻滅って…意外だとは思ったけど、別にそこまではしてないって〜…でも…」
「でも?」
「注射が苦手って、子供っぽくて可愛いなぁって…」
「え?」
ハッとなったセセリアは、わたわたとして先ほどの発言を否定する。
「いっ…いや、なんでも…」
「ほ〜ほ〜」
「こうやって、新しいイチャつきが生まれるんですね〜」
なお、その後はとやはり言うべきか、いつもの質問フェイズへと移行したのだった…。
フルメカニクスのエアリアル…高い…。