セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
「すまないセセリア。先日は本当にみっともないところを見せた…恥ずかしながら、実はオレは小さい頃からちゅ…アレだけはどうにも苦手でなぁ…」
セセリアの向かいの席に座り、シュンとした様子のドゥラメンテ。
いつもとは違う様子の彼に、セセリアもため息をひとつ。
「も〜…気にしすぎだってば〜。誰にだって苦手なものくらいあるでしょ〜?」
幸い、健康診断の一件はブリオン寮一同がセセリアのためにもと胸の内に秘めてくれることを確約してくれたので、外部に漏れることはないだろう。
だがそれでも、ドゥラメンテの落ち込みようは側から見ても分かりやすかった。
「むぅ…だがしかし…」
「ドゥラメンテ」
優しくそう声をかけるセセリアは机の上のドゥラメンテの手にそっと自身の手を重ねると、目を合わせて改めて短く
「気にしすぎ」
そう改めて告げる。
「セセリア…」
「かく言うアタシにだって苦手なものくらいあるし〜…こう言っちゃうのもなんだけど〜今回の件で、アンタに失望するどころかむしろ…嬉しかったっていうか、安心したんだからね〜?」
「あ、安心した…?」
ドゥラメンテはその言葉に首を傾げる。
「そ〜。アンタにだって得意なこと以外にもちゃんと苦手なものがあって、できないことがあって〜…ホントに当たり前のことなんだけど、そこもひっくるめてのアンタなんだからさ〜」
「セセリア…」
「って言うか〜、それくらいで嫌われるとか思ったわけ〜?みくびらないでよね〜?」
いつかと逆の立場になったことに、照れるやら恥ずかしいやらなドゥラメンテ。
セセリアは、そんな彼にむくれながらも更に言葉を続ける。
「だから、なんでもかんでも抱え込まないで。大抵のモノは二人で背負えるって、そう言ってくれたのは他でもないアンタでしょ〜?」
ガラにも無いことをしたと思ったのか、セセリアは気まずそうにプイとそっぽを向く。
「フッ…そうだな。いつまでも落ち込んでいるのは流石に美しくない…」
「フフッ…それじゃ、気を取り直してデートでもする?」
「そうだな。では、部屋で映画でも見ようか」
「お部屋デートか〜…まぁ、アリね〜」
「そうか。それならすぐにでも行こうか」
言うなり、ドゥラメンテが先に席を立ち、セセリアの方を向くや、紳士的に手を差し出す。
「さぁ、行こうか」
笑顔でそう言うドゥラメンテは、もういつもの調子を取り戻しており、セセリアは安心した様子でその手を取る。
そのままの流れでセセリアはドゥラメンテに腕を絡め、その際に驚いたドゥラメンテもまた、振り払うようなこともない。
そして、いざ部屋でハロに手伝ってもらい、映画鑑賞をした二人なのだったが…。
「で?なんでセセリア嬢がブリオン寮に帰ってねーんだよ?」
ドゥラメンテと同室のエドモンドが、ベッドで布団にくるまるセセリアを見て、唖然とする。
「いや、たまたまオススメの映画がホラーものでな…それもかなり怖い部類で…セセリア自身ホラーが苦手だとか…」
「も〜…こうなったらドゥラメンテの部屋に泊めてもらうしか…」
チラチラとドゥラメンテの方を見つつ、そう言うセセリア。
心なしか、その目には恐怖以外の感情が宿っているようにも見えないこともない。
そちらを見るや、ドゥラメンテはエドモンドの方を向き…。
「だ、そうだが…」
「オイ」
ホラーだと分かったなら、その時点で他の映画にすればいいだろうだとか、そもそも映画一本見たところで、まだ暗くなる時間じゃ無かったろうだとか…ツッコミどころだらけのドゥラメンテの言葉に、エドモンドはとうとうツッコミを入れることに。
「ちぇ〜…」
「うん?大丈夫か、セセリア?」
「あ〜うん。大丈夫だって〜」
「ったく…」
結局、セセリアは夕飯を食べた後ブリオン寮に送り届けられることとなったのだった。