セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
「はぁ?シャディクをお前のとこの薔薇園に呼んで欲しい?」
グエル・ジェタークはドゥラメンテからの唐突な頼みに疑問符を浮かべる。
「うむ。ちょうど良いことを思いついてな。オレもエラン殿とセセリアに声をかける故、グエル殿もどうかなと」
「いや、別に構わねぇがよ…。何だって急に…」
そうグエルが言うや、ドゥラメンテは立ち上がり…。
「それは追々説明するさ。では任せたッ!!」
そのまま決闘委員会のラウンジを後にするのだった。
「オイ…って、もういなくなっちまいやがった」
とは言え…これもドゥラメンテの心象を良くする好機。
それに、あの変わり者が何をするのか気にならないと言えば嘘になる。
グエルはそのままウキウキした様子のドゥラメンテを見送るなり、シャディクにメールを送信した。
そして、数日後の夕刻…。
ドゥラメンテの寮の薔薇園の東屋には、シャディクとグエル、そしてセセリアと…呼んだ張本人であるドゥラメンテがいた。
なお、ドゥラメンテが声をかけたエラン、そしてセセリアに呼ばれたロウジは諸用があるとのことで来ていなかった。
「フッ…お集まりいただき感謝の念に堪えないッ!!」
ホストであるドゥラメンテは、改まった様子で一同に声をかける。
「今宵はかつてタナバタと呼ばれた日…とある夫婦が一年に一度、天の川を越えて会える日とされていたそうだ」
「へぇ〜…それで、わざわざ紙まで用意してるとか、凝り性だね」
シャディクはテーブルに紅茶やクッキーの脇に置かれたそれを見てニコニコと言う。
「ちなみに…タナバタに関して、こんな話があるらしい」
聞けば…この行事のことの発端はとある真面目な働き者の男が妻を得たことに浮かれて、働かなくなってしまったのが始まりだとか…。
「何よそいつら。浮かれすぎでしょ〜…」
説明を受けたセセリアは呆れ顔を浮かべ、他二人もまたあぁ〜…と言った表情だ。
「フッ…そうだな。オレも美人の妻を得て怠けぬよう気をつけねばと、肝に銘じようッ!!」
露骨にセセリアの方を見つつドゥラメンテはそう宣言するや、場には和やかな笑い声が。
「もっ…も〜!!そんな、妻だなんて気が早すぎでしょ〜……」
ドゥラメンテが自分のことを言っているのが分かっているのだろう。
そんなことを言いつつも、セセリアは満更でも無いのかテレテレとしている。
改めて、出会った当初に比べて、かなり対応が丸くなったのが呼ばれた二人には分かる。
…が、依然として切れ味の鋭い彼女の皮肉の対象にされたく無いのか、敢えて指摘はしないようだが。
「それで…一体何の用だ?今更茶をしようってんで、そこまで勿体ぶるお前でも無いだろ」
その質問に、ドゥラメンテは待ってましたと言わんばかりに返答する。
「フッ…実を言うとだな。今日は星に願いをかける日らしいのだ」
芝居がかった…しかしどこか真剣な物言いに、シャディクはなるほどとひとつ頷く。
「はは、ドゥラメンテらしいね」
「いやまぁ、実はオレ自身も詳しくは知らないのだがな。何でも願いを書いたものを植物に結んで託すのだとか。故に…この薔薇園がちょうどいいかなと」
「も〜…要はただの思いつき〜?」
「む、嫌だったか?」
「イヤだったら来てないでしょ〜?」
そう言いつつ、セセリアはドゥラメンテの隣に座りつつ、無意識にいちゃつきはじめる。
「フッ…では、準備のできた者からこの筆ペンでタンザクに各々の願いを書いて、このハロの差し出すカゴの中に入れてほしい。飾りつけるゆえな。ああ、恥ずかしいなら裏向きでも結構だ。代わりに別のモノを飾る。それにこう言ったことは…ヘンに発表するよりも、想いを込めて書く…と言う行為にこそ意味があるのだろうしな」
「…ちなみに、キミの寮の生徒達は?」
「うむ。既に書いてあり…そして了承を得て飾ってあるともッ!!」
そう言って、ドゥラメンテが指差す先にはタンザクの飾りつけられて美しく咲く薔薇の花が。
「本当はササ?とかいう別の植物に飾るらしいのだが、ここは薔薇園ゆえな。薔薇を飾り立てる形となった」
やっていることは子どもじみたことであるが、しかしいざ書くとなると皆考える素振りを見せて、紅茶を飲みつつ、お茶菓子をつまみつつ…サラサラと書き出す。
その表情は普段とは打って変わって、年相応のソレであり…やがて書き上がったそれをハロが回収して、その後は寮の門限までお茶会と洒落込んでいた。
やがて、お開きとなり、片付けを済ませ自室に向かうドゥラメンテを、呼び止める声があった。
「で〜?ドゥラメンテ、ホントは何が目的だったの〜?」
背後から腕に抱きつくセセリアに、ドゥラメンテはバレたかと笑顔を浮かべる。
「…皆で色々とやりたかったのは本当だ。だが、グエル殿といいシャディク殿といい…何と言うかその、色々と溜め込んだり、したいことを我慢しているような気がしてなぁ…二人の友人として、微力ながらここはひとつ何か出来ることはないかなと…まぁ、オレの身勝手な自己満足だ」
そう言うドゥラメンテに、セセリアは「…ふ〜ん」とだけ返す。
「セセリア」
「なによ〜?」
「今夜は少し、星を見ながら歩こうか」
その言葉に、セセリアは少し吹き出す。
「フフッ…なぁに?ご機嫌取りのデート?」
「嫌かな?」
「ばか。いいに決まってるでしょ〜?」
二人してドゥラメンテの自室でゆっくりとした後でエドモンドに送り出されたバカップル。
スクーターを押しつつ、ブリオン寮までの道を共に歩く二人は幸福な未来を予感させるモノだった。
七夕回的なのをやりたかっただけです。はい。
みんな何書いたんですかね〜。