セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
ある日の談話室。
そこのソファにいるカップル二人の間には、妙な緊張感が部屋を満たしていた。
「…あの、セセリア?」
「ちょっと黙ってて」
セセリアは顔を向こう側に向けて膝枕をされた状態で、彼女を心配するようなドゥラメンテの言葉にぴしゃりと自身の言葉を被せて…深呼吸をする。
「すぅぅ〜…ふぅ〜〜……」
集中力を高めるためか、セセリアは一度目を閉じて頬を叩き、手にしたそれを強く握る。
「…よしっ、イケる!!」
「お、お手柔らかに頼む…」
何故このようなことになっているのか…。
時は数日前の晩にまで遡り…。
「それで〜…ウチの彼ったら〜…」
「あぁ〜、それちょっと分かるかも〜アタシの彼氏も〜…」
寮の一室にパジャマ姿で集まった女子生徒達は、ある意味で学生らしく何の変哲もない恋バナに花を咲かせている。
そんな中でセセリアは、またヘンにからかわれてはたまらず、かと言って不自然にこの部屋から出て行こうとして注目を集めることも出来ず…生徒手帳で適当な動画を見つつ、その様子を見守るにとどめていたが…やはりと言うべきか、順々に彼氏持ちが話を終えていけば、自然と話題はセセリアに振られることとなるのは必然だろう。
「それで〜セセリアはどう思う〜?」
「えっ?なにがよ〜?」
「何がって、アレよアレ。彼氏に膝枕してあげながら耳掃除してあげるやつ、最近流行ってるみたいよ〜?」
「へ、へ〜…そうなんだ〜…」
全寮制の学園という狭い世界のためか、生徒達の間ではこうして時折ヘンなモノが流行ることがある。
「で〜?セセリアは愛しの彼にやってあげたことあるの〜?」
そう問いかけてくる女子生徒の目はニヤニヤと笑っている。
いや、彼女も同じ立場なら同じ顔をしただろうが…今となってはそんな自分さえ憎らしい。
「い、いや…膝枕はしてあげたことはあるから…耳掃除は、その…こ、これからだし…」
「へぇ〜?結構難しいって話だよ〜」
「それでも最後までやってあげられれば良いことがあるかもって話もあるくらいだし〜?」
「イ・イ・コ・ト・ねぇ〜?」
その言葉に思わずニヤニヤとする周囲の生徒達。
「いいこと…」
セセリアはついつい妄想してしまう。
いつもよりも長く手を繋いだり、強く抱きしめられたり、或いは…。
そんな年頃の生徒達のガールズトークは夜更けまで続き…セセリアは気がつけば、購買部で耳かきを買ってしまっていた。
それから、数日間耳掃除の練習をしつつ、何度目かの好機がやって来たわけだが…。
「しかし…」
「ん〜?なぁに〜?」
カリカリと耳掃除をする彼女に、ドゥラメンテは思わず照れたように答える。
「耳の穴とは…また、普段誰かに見せるでも無い場所を見られるというのは…些か気恥ずかしいな…」
「っ……!!」
その言葉に慣れてきた様子のセセリアの手がピタリ、と止まる。
「うん?セセリア?」
「も、もしかして…」
心配そうに声をかけるドゥラメンテ。
「アタシ、もしかしなくても結構恥ずかしい事しちゃってたり〜…」
突如としてアワアワとするセセリアを、ドゥラメンテは即座に起き上がり、そして優しく抱きしめる。
「セセリア」
「…へ?」
「すまない。ヘンに緊張させてしまったか」
「い、いや…そのぉ〜…」
「大丈夫。セセリアの膝枕は最高だ。安心出来る。実際にされているオレがそう思ったのだ。間違いない」
耳元でそう言われて、セセリアは思わず顔を赤くする。
「い、いきなり何言ってんのよ。すけべ…」
「すけ?…あっいや、そういう下心のような意味では無くてだな…」
自身の発言にハッとなり、今度はドゥラメンテが慌て出す。
「……へ〜?それってアタシに魅力が無いってことですかね〜?」
「あっ、いや…それは断じて違うが…」
「も〜冗談だってば〜…」
そんな恋人に、セセリアはクスクスと笑う。
「はいはい。またやるから、今度はヘンなこと言わないでよね〜?手元が狂っちゃったら大変なんだから〜」
余裕を取り戻したのか、セセリアはそう言うと、ドゥラメンテに促すかのようにポンポンと自身の太ももを軽く叩く。
「せっかくだから、今度はこっちを見て…魅力的な恋人を見ながら…ね?」
「う…そ、それは勘弁してほしい」
すっかりいつもの調子を取り戻したセセリアに、今度はドゥラメンテが困ったような笑顔を向ける。
が…別に彼が本心から嫌がっているわけでは無いことをセセリアは付き合いから知っている。
「フフッ…いいことってこんなことだったりして〜…」
大人しくこちらを向いて膝枕をされるドゥラメンテを見て、セセリアは小さくそうこぼしたのだった。
某カードゲームのアプリにハマってしまい、投稿が遅くなりました。
申し訳無いです。