セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ?   作:ガラクタ山のヌシ

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続き出来ました〜。


第97話

ちびハロ。

 

それはドゥラメンテがセセリアと同じ寮所属であるメカニック科一年、ロウジ・チャンテの協力の元作り上げた丸っこい小型マシンである。

 

最近セセリアはこのちびハロを連れ歩く頻度が減っていたのだが…それには大きく二つの理由がある。

 

ひとつはちびハロに搭載されているそれなりに高度なAIのせいか、ちびハロはセセリアの様子をつぶさに観察し、それを忌憚なくそのまま伝えてしまうのが恥ずかしいということ。

 

もうひとつは、ドゥラメンテからの贈り物であるが故に出来る限り大事にしたい、という乙女心だ。

 

そんなちびハロは、セセリアの自室の机の上に充電器の上に鎮座する形で置かれているのだが…。

 

「セセリア!!セセリア!!」

「ん〜?どしたの〜?」

「ダッコ!!ダッコ!!」

 

休日の朝、デートの前にヘアブラシで髪の毛を梳かしていたセセリアが声のした方に目を向けると、机の上のちびハロがぴょんこぴょんこと飛び跳ねる。

まるでかまって欲しい子犬のようなちびハロを横目に、セセリアはクスリと笑う。

 

「ホンット、アンタといると退屈しないわね〜」

 

そう言いつつ、セセリアはちびハロを抱き上げる。

 

やけに甘えん坊なちびハロは、セセリアにとっては歳の離れた弟や妹のようなものか、それともまだ見ぬ…。

 

「って、結婚どころか卒業もまだなんだし、我ながらそれはまだ気が早いっての〜!!」

 

別段誰に聞かれているというわけでもないからか、ついつい自分の発言にツッコミを入れてしまう。

 

「セセリア?」

「うっひゃう!?」

 

背後から唐突にかけられた声に、油断していたのだろうセセリアはいつになくヘンな声を出してしまう。

 

「って〜…ドゥラメンテ〜」

 

生徒手帳で時間を見ると、確かにそろそろドゥラメンテが迎えに来る時間になっている。

 

「すまない。中から声は聞こえたので、念のためノックはしたのだが…」

 

どうやらそれだけちびハロにかまいすぎていたらしい。

申し訳なさそうに言うドゥラメンテに、セセリアは思わず問いかける。

 

「き…聞いてた?」

「うん?聞いていたとは…何をだ?」

 

ドゥラメンテはキョトンとした様子で小首を傾げる。

 

「いやだから…さっきの、その…」

「いや、何かを言っていた程度にしか聞こえなかったが…」

「そっかぁ〜…」

 

セセリアはその返答にホッとしているのがわかる。

デート先へと向かう船内にて、ドゥラメンテはセセリアに聞く。

 

「そういえばセセリア…しばらく見ていないが、ちびハロに不調は無いか?」

 

予約していた船の個室へと向かう道中で投げかけられる質問に、セセリアは少し考える素振りを見せると、からかい気味に言葉を紡ぐ。

 

「まぁそうね〜…たまにロウジにも見てもらってるし〜…問題ないと思うけど〜?」

「フッ…そうか。ロウジ殿は確かに腕がいい。素人目に見ても分かるほどにな。それなら安心だ」

「むぅ…」

 

隣に座るセセリアは、笑顔で答える恋人の反応が思っていたそれではなかったためか、拗ねたような声を漏らす。

 

「まぁ、嬉しいは嬉しいけど、それでもちょっとはヤキモチくらい…」

 

セセリアは席に座り、窓の外へと目を向ける。

 

ドゥラメンテが全面的にセセリアや、その周囲の人物に全幅の信頼を寄せてくれているのは分かっている。

別にセセリアとしても、決して短くない付き合いのロウジと距離を取れだとか、そんな理不尽な答えを望んでいたわけでは無い。というか、ドゥラメンテはまずそんなことは言わないだろうが。

 

しかし…それはそれとして、少しばかり試してみたい気持ちもないことはない。

乙女心とはいつの世も複雑なモノだ。

 

「セセリア」

「なによ〜?」

 

むくれた表情のままで、セセリアは振り返る。

 

「キミは、本当に優しいひとだ。オレはそれを知っている」

 

そっとセセリアの頬に触れながら、そう言うドゥラメンテ。

 

「だから、信じているさ。キミもブリオン寮の人々も。何故なんて聞くまでも無く…」

 

一拍置いて芝居がかったように彼は目を閉じ、開くと真っ直ぐにセセリアを見つめる。

 

「オレはキミに、その在りように惚れ込んでいるからだ」

 

それはまるで、セセリアの全てを包み込んで溶かしてしまうかのような一途で健気で、甘い言葉。

ドゥラメンテが、真にセセリアを心から愛しているからこその偽りの無い絶対の信頼の言葉。

故にこそ、セセリアはその意味を理解した瞬間に…つい先ほどまでの苛立ちを忘れ、真っ赤になってしまう。

 

「〜〜ッッ!!な、何よそれ〜!?」

「フッ…それだけオレが、セセリア・ドートという一人の女性を愛しているということだ」

 

そう言うなり、ドゥラメンテはつい先日の仕返しとばかりにセセリアを抱き寄せる。

唐突だったからか、それとも気を許しているからか、彼女は形ばかりの抵抗さえしない。

 

「あ…」

「今日のデートも、きっと特別になるだろう」

 

そう言うなり、ドゥラメンテは今一度セセリアの顔を覗き込む。

 

「セセリアにもそうだったら、オレはとても嬉しい」

 

そう言ってはじまったその日のデートは、久しぶりにデートにこなれる前のような、初々しいセセリアの姿が見られたという。

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