セセリアさんがナルシストに言い寄られるようですよ? 作:ガラクタ山のヌシ
っていうか、次で三桁いきますね〜。
「ねぇ〜ドゥラメンテ〜…」
「うん?どうしたのかセセリア?」
セセリアはブリオン寮の談話室のソファに座りつつ、恋人であるドゥラメンテに寄りかかりながら問いかける。
「なぁんか最近暑くない〜?」
別にアスティカシアの空調に不備があっただとか、そう言うことでは無く…どちらかと言えばその原因はきっと、この二人の間の近すぎる距離感のせいなのだろうが、それは言わぬが花というものだろう。
「ふむ…まぁ確かにそうだな」
「でしょ〜?だからぁ〜…涼を取れる場所に行こうかなぁって思って〜…」
セセリアはさりげなくドゥラメンテの腕に自身の腕を絡めながら、その言葉を待ってましたとばかりの表情で生徒手帳をいじるなり、とあるページを見せる。
「ここなんかどう〜?」
「ふむ…」
そこに写されていたのは青い空に青い海、そして白い砂浜というザ・リゾートと言った風情の画像。
ドゥラメンテもその美しさに思わず、おぉ…と感嘆の声を漏らしている。
「最近新しく出来たブリオン社のプライベートプラントなんだけど〜…お母さんに二人で様子見して来いって言われてさ〜…」
要するに二人でそこに行こうと言う誘いである。
そして…そう言ったセセリアの誘いをドゥラメンテがそれを断ることはまず無い。
「フッ…そうだな。では予定が分かり次第…」
「分かった。それじゃ〜行きましょうねぇ〜」
そうして予定の通りにやって来たのは、あの映像にあった一面の海原。
砂浜には二人分のパラソルと、砂の上に置かれたビーチチェアー、そしてテーブルがある。
「しかし…映像とは思えないほどのリアリティだな…」
真っ赤な海パンを履いたドゥラメンテがそうこぼす。
それに、二人きりだからと派手な黒いビキニで張り切った様子のセセリアが答える。
「まぁね〜?元々はウチのモビルスーツの訓練用のシミュレーターのための技術だったらしいんだけど〜…それを転用した感じね〜」
「ふむ…なるほど。思えば生徒手帳や言った携帯端末や保存食の類いも、軍事技術の転用と聞く。見事なモノだ…」
ドゥラメンテは顎に手を当て、納得した様子で頷く。
照りつける太陽のごときライトに、気温も夏を再現しているのかそこそこに高い。
まったりとおしゃべりに興じる。
やがて痺れを切らしたのか、セセリアがニヤニヤと笑いつつとある提案をする。
「それじゃ、ドゥラメンテ。オイル塗ってもらえる〜?」
「ああ、わかっ…うん?」
「ほらほら〜、大事な彼女のお肌が傷モノになっちゃっても良いわけ〜?」
確かに乾燥や肌荒れを防ぐためにもオイルを塗るのはとても重要だ。
これを怠ればシミなどの肌トラブルの元にもなりかねない。
肌に比較的優しいだろう再現の太陽とは言え、そう言った問題をどこまで解決できているのかわからない以上、何のケアも必要ないと言うのは傲りというモノだろう。
とは言え…だ。
女性の扱いに慣れているようで、肝心のところで二の足を踏みがちなドゥラメンテに、刺激は思いのほか強く…。
「せ、セセリア?オレ達は付き合っているとは言え…まだ結婚前であってだな。いやしかし、セセリアの玉の肌に傷をつけるわけにも…」
割と真剣に頭を抱えるドゥラメンテ。
紳士的というか、チキンというか…。
そんな様子を見て、セセリアはおかしそうにクスクスと笑う。
「も〜…相変わらず気にし過ぎ〜。アタシが良いって言ってるんだから〜…ダイジョーブだって〜」
セセリアはそう言いつつ、ドゥラメンテに日焼け止めの入ったボトルをポンと渡す。
「ほらほら〜…ちゃあんと隅々まで塗ってくれたら〜…一緒に水浴びしましょ〜?」
「う…うむ…」
小悪魔じみた声色で、そんなことを言うセセリア。
そして…5分ほど逡巡して、覚悟を決めたドゥラメンテは、横になる彼女を見下ろす形になる。
そして、ボトルから手のひらにオイルを出して、恐る恐る背中に触れる。
「んっ…冷たぁい」
「す…すまないッ!!」
わざとらしく声を漏らすセセリアに、思わず謝ってしまうドゥラメンテ。
「…フフッ、ホンット…可愛い」
「む?オレはセセリアの方が可愛いと思うが…」
「…………ッ!!」
思わぬ返答に、今度はセセリアが一瞬沈黙する。
「………なんでそう言うとこだけ敏感なのよ〜…」
そうブツクサと言うセセリアに気が抜けたのか、最初こそぎこちなかったドゥラメンテも、途中からは観念したのか満遍なくオイルを塗り終わる。
その後は目の前の海を模したプールで思う様水浴びをして、そのままアスティカシアへと帰ることになる。
帰りの船の中、ニコニコとセセリアは隣の席に座るドゥラメンテに
「フフッ、楽しかった?」
と、そう尋ねる。
対するドゥラメンテも、満面の笑顔で返す。
「ああ。セセリアの楽しそうな顔が見られたからな」
「…も〜、アタシとしてはドゥラメンテに楽しんでもらおうと…」
「フッ…では、お互いに楽しかったということで手を打とう」
そう言って、手すりに乗ったセセリアの手に自身の手を重ねたドゥラメンテを見た彼女は、クスリとひとつ笑うと…「そうね〜」と短く、しかし万感の想いを込めて返すのだった。
夏っぽいお話が書きたかったので。
こんな拙作にここまでお付き合いいただきありがとうございます。