ヒーローガールとヒーロー気質の転生者 作:振り子メンタル
なにぶんノリと勢いで書いた小説なので、どこかおかしいところがあるかもしれませんが、楽しんで頂ければ幸いです!
それでは、本編をどうぞ!
懐かしい夢を見ていた。
まだ俺が転生する前の夢だ。
俺は当時高校生で、家族や友人と平和に過ごしながら、それなりに幸せに生きていた。
そんなある日の帰り道、女性がナイフを持った怪しい男に刺されそうになっているところを見かけた俺は、咄嗟にその女性を庇い、刺されてしまった。
そして、腹部に激しい痛みを感じながら、意識を失った。
幸いにも、俺が庇った後、ナイフを持った男はどこかに逃げて行ったから女性があの段階で死ぬことはなかったが、その後どうなったかはわからない。
俺は死んでしまったから。
薄れゆく意識の中で、最期まで聞こえていたのは助けた女性が必死に何かを叫んでいる声だけだった。
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「ソウヤ、起きてくださ〜い!」
「ん…なんだソラか。どうかしたの?」
「どうかしたの?じゃ、ありませんよ!王国に行こうと前から話してたじゃないですか!」
そう言いながら、俺のことを起こした目の前の青髪の美少女はソラ・ハレワタール。
変わった名前だと思った?俺も最初はそう思ったが、慣れたらそこまで変な名前じゃないと思う。
晴れ渡る空、素晴らしい名前じゃないか。
女性を庇って刺された後、俺が目を覚ますと、スカイランドという名前の世界に赤ん坊として転生していた。
最初はまったくもって理解できなかったが、所謂異世界転生かとすぐに納得した。
そういえば、こういう風にすぐに順応できるから、転生者とか転移者は日本人が多いっていうのを作品の設定に組み込んでいるものがあったな。
まぁ、せめて転移が良かったなとは思うけど。
前世の記憶を持ったままで赤ん坊になるというのは…こう、なんというか、色々と精神にくるからね…うん。
「ソウヤ?聞いてますか?」
「聞いてる聞いてる。そういえば、今日だった…悪い、今からさっさと準備するよ」
「私も手伝います!これもヒーローの努めです!」
「ヒーロー関係なくない?まぁ、手伝ってもらえる分にはありがたいけどさ」
「はい!頑張ります!」
そう返事しながら、ソラは俺の準備を手伝い始める。
ソラは色々あってヒーローを目指している。
ヒーローになるためだって言って、手帳に色々と書き込んでいるぐらいだ。
どことなく前世で見たことのあるヒーロー漫画の主人公みたいな感じだなとか思ったりもするが、なりたい自分になるために努力できるのは素直にすごいと思う。
まぁ、俺はできればヒーローとかにはなりたくないけど
「よし、こんなものかな…ありがとう、ソラ」
「荷物はこれだけですか?」
「あぁ。あんまり多すぎても邪魔になるし」
俺の用意した荷物はリュックが一つだ。
だけど、着替えと食料と水はあるし、問題はないはずだ…まぁ、一応武器になりそうなものを用意しておくべきか悩んだけど。
色々と考えた結果、最終的に武器になりそうなものは入れないことにした。
「まぁ、確かにそうですね…足りないものは私が補えば良いですし!」
「ソラの荷物はかなり大きいもんな…その時は頼むよ」
「はい!それじゃあ行きましょう!」
そう言いながらソラは俺の手を引いて歩き始めた。
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「うーん…ゆったりとして気持ちいいな」
「そうですね…」
空飛ぶ巨大なニワトリのような生物の上で寝転びながら、そんな会話をする。
まさか、こんな巨大なニワトリが居るとは…まぁ、スカイランドって空の上にある世界だし、交通手段としてはこれが良いんだろうけど。
それに羽毛が気持ちいいし、すごく快適だ。
「…そういえば、前から聞きたかったんですが、ソウヤは何でヒーローになりたくないんですか?」
「誰もが皆、ヒーローになりたいわけじゃないんだよ」
「まぁ、それはそうなんですけど…私はソウヤの理由が知りたいです」
「…理由ねぇ…そこまで知りたいもんなのか?」
「はい!もっとソウヤのことを知りたいんです」
そう返すソラにどう答えるべきか考える。
テキトーに答えちゃダメかな?いや、嘘だってすぐにバレそう…ソラとは割と長い付き合いだし。
仕方ない…しっかりと答えるか。
「…ヒーローってさ、損な役回りだからなりたくないんだよ」
「損な役回り?」
「そう。どれだけ人々のために戦っても…敵に負けたり、何か失敗したらさ…今まで感謝してた人々が急に掌を返して責め立ててきそうじゃん?戦う敵はもちろん、守ってきた人々とまで戦うとか絶対嫌だし」
そう、よくある話だ…人々の為に魔王を倒した勇者が今度は逆に人々に恐れられたりするとかね。
他にも、負けた時や何か問題が起きた時に、ヒーローが負けたからだ!とか、ヒーローがなにもしなかったから!判断を誤ったからだ!みたいに責め立てる奴も出てくるだろう。
色々と重い宿命とかも背負わされるし、ヒーローってホントに大変だと思う。
まぁ、そういうのも覚悟しているのがヒーローなのかもしれないが、俺は絶対にごめんだ。
「そういう人ばかりじゃないと思いますよ?そもそも、そんなことを考えてたら誰も助けられません」
「そうだな…だから、俺はヒーローになれないし、なりたくもない」
「…でも」
そう言いながら、ソラは俺の顔を両手で包み、自分の顔が見えるように俺の顔を移動させる。
「でも、ソウヤは私のことを助けてくれたじゃないですか」
「…小さい頃の話だろ」
「いえ、今も助けてくれてます…王国に行くのについてきてくれたのも、私が心配だったからでしょう?」
「そりゃあ、お前は放っといたら何をするかわからんし…俺の知らないところで何かあったら気分悪いから」
「ふふっ!やっぱりソウヤは優しいですね…それに、私以外にも目の前で困っている人が居たら、なんだかんだ助けてくれるじゃないですか」
「目の前で困っている人が居て、誰も助ける人がいないなら、俺が助けるしかないだろ?見て見ぬふりは出来ないし…誰でもそうする…普通のことだ」
「あははっ!もう、全然ヒーロー気質が隠せてませんよ!」
そんなことを言いながら、ソラは笑顔を見せる。
いや、ヒーロー気質ってなんだよ…俺にヒーロー気質なんてないだろ。
「…ソウヤは今までも、そしてこれからも、ずっと私のヒーローです!」
「…まぁ、ありがとう…どう反応するのが正解かわかんないけど…」
ソラの真っ直ぐな言葉にそう返す。
流石にちょっと照れくさくなるな…俺がヒーローとか、そんなことはないだろうに。
「ふふっ!…大好きです、ソウヤ」
「…はいはい、ありがとな」
そう口にして、顔を背ける。
いや、流石にこれは反則すぎる…あやうく惚れるところだった。
「伝わってないんでしょうか…やっぱり、もう少しアプローチをするべきですね…よーし!頑張ります!」
「ん?頑張るって何を?」
急に立ち上がったソラに驚きながらそう返す。
途中ですごい風が吹いたせいか、ソラの言葉をよく聞き取れなかった。
「それは内緒です!」
そう言って、ソラは笑みを浮かべる。
内緒か…まぁ、ソラのことだからヒーローに関連することだろう。
そう考えながら、俺は空の景色を楽しむのだった。
といった感じのプロローグでした!
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!