ヒーローガールとヒーロー気質の転生者 作:振り子メンタル
今回はアンノウン視点になります。
それでは本編をどうぞ!
「採ったどー!」
「「おぉ〜!」」
「確かに見事な身体能力だな」
私はまなつが木に登り、木の実を採っているのを見ながら、そう呟く。
食料を集めに来た私達だが、幸いにも、この辺には木の実もちゃんとあるらしく、食料には困らなさそうだ。
そんなことを考えていると、続けてゆいも崖を登り果実を取っていた。
「採ったよー!」
「「おぉ〜!」」
「…私も何か探しに行くか」
そうして、私も何かしらの食料を探すために動き始める。
そして、いくつか食料を探している内に、ソラ達の悲鳴が響く。
「まったく、何があったのやら…」
そうして、悲鳴が聞こえてきた方向へと向かうと、牛のようなイノシシのようにも見える謎の生き物にソラが掴まり、その生き物にゆいとまなつが追いかけ回されていた。
「うわぁぁぁ!」
「わ〜〜!」
「アンノウン!助けてぇ〜!」
「…はぁ。お前達、何をやっている…」
そんな様子を見て、呆れつつも、その生き物に向かって黒い小さな矢のような形状にエネルギーを変換させ、そのまま放った。
すると、矢を放たれた生き物は地面に倒れ伏した。
「「「おぉ〜!」」」
「まったく世話が焼けるな…ほら、さっさとあの生き物を回収して食事をしよう」
「ありがとう!アンノウン!」
「アンノウンって、意外と面倒見が良いよね!」
ゆいとまなつのそんな言葉を聞き流しつつ、私は3人と共に場所を移動するのだった。
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「ふむ…なかなか美味いな…本当はもう少しちゃんとした料理を用意したかったのだが」
「デリシャスマイル〜!この果実もすごく美味しい!」
「でりしゃすまいる?」
「うん!ご飯は笑顔だよ!」
「良い言葉ですね…」
「こっちの肉も美味しい!アンノウン、下ごしらえとかも出来るんだね!すごいじゃん!」
「あぁ。慣れれば楽なものだぞ…うん?どうしたソラ、お前は何か食べないのか?」
ゆいとまなつが美味しそうに果実や肉を食べている中、ソラは少し大きめな丸い食べ物を持ちながら、どこか思い詰めたような顔をしていた。
「…私達、こんな風にのんびりしてて良いんでしょうか…今、この時も私の友達は大変な目に遭っているかもしれないのに!ソウヤだって…」
「ソラちゃん…」
ゆいが心配そうに声を出す。
おそらくゆいもまなつも自分の友人のことが心配なはずだ。それなのに、そんな素振りを少しも見せないとは、プリキュアというのは、どこまでもお人好しばかりなのか。
「それでも、ご飯を食べないと元気が出ないし、歩けないよ」
「私もトロピカル部のみんなが心配だけど、今一番大事なことをする!だから、全力で腹ごしらえしてるの!」
「2人の言う通りではあるな…腹が減っては戦は出来ぬとも言うし、今の私達に必要なのは腹ごしらえだ」
「それにホラ、おばあちゃんが言ってたの。人の力も出汁も合わせるのが味噌だって!私達の力を合わせればきっと探し出せるから!」
「…まぁ、安心しろ。私がここに居る…それ自体がソウヤが生きていることのなによりの証拠だ。私あるところにソウヤあり、だからな。…そして、ソウヤが生きているなら、他の仲間達を助けるために策を弄しているだろう…つまり、お前達の仲間もきっと無事だ」
らしくもないアドバイスをしてしまった…まぁ、ここでソラに折れてもらっては困るし、この言葉によって立ち直れるなら、それも悪くはない。
「…そうですよね。お二人とも励まして頂きありがとうございました!…アンノウンも、ありがとうございます」
そう言って、ソラは笑みを浮かべ、手に持っていた食べ物を口に運んだ。
そんな風に過ごしていると、突如として音が響き、空を見上げると、先ほどソラ達が戦っていた怪物が飛んでいた。
「あれは…!」
「待て。何かがおかしい」
私がそう止めると同時に、その怪物に向かって白いビームのようなものが飛んでいき、その怪物を撃墜していた。
私達はその方向に視線を移すと、1人の少女が飛び出していき、あの怪物に連続でパンチをし、そのままオーバーヘッドキックを喰らわせ、地面に叩きつけた。
「何!?」
「あの子強い…!」
そんな感想が出てくるなか、その少女はピースサインをし、そこから白いビームを放ち、怪物は消滅した。
…なんだ、やつから感じるこのプレッシャーは…こいつ、一体何者だ?
私がそんなことを考えていると、3人は少女の元に向かっていく。
バカ!警戒心がなさすぎるだろ…いや、違う…あの3人はやつの強さを感じることが出来ないんだ。
これはあれか…一定の水準の強さがなければ、そもそも力量差を理解出来ない…そういう領域にあるということか。
私はそう結論づけ、3人の後を追う。
「違う…こんなものじゃない…彼女達の強さはもっと…それに、この程度じゃ、彼女の足元にも及ばない」
「あの!」
「あなたもプリキュアなんですか?」
そう声を掛けられて少女が振り返る。
「…!どうして?あの時確か…」
「はい…?」
ソラが疑問符を浮かべながら、そう口にする。かくいう私も目の前の少女が何かを呟いていたのを聞き取れなかった。
というより、少女がこちらに振り向いた瞬間、私の中の警戒心が最大になったせいもあり、そちらに意識を割く余裕がなかった。
その少女は、水色よりの淡い緑色と白を基調とした衣装を着ており、髪はツーサイドアップと、それとは別にウサミミのように髪が束ねられていた。服装としては、ベアトップのワンピースにかぼちゃパンツ、腕にアームカバー、脚は白いタイツにショートブーツという服装だ。そして、胸元は虹色の帯のようなものに囲われている。
また、側頭部から謎の白い耳が出ており、人間の耳は確認できない。そして、何故かその耳の一部に小さな傷跡のようなものがついていた。
どういうことだ?片方の謎の耳に傷はついていない…ということはあそこだけ、何者かによるダメージを受けた?…いや、今はそんなことよりも。
私はぐるぐると回る思考を落ち着かせ、少女を見る。
「…何でも無い。僕はシュプリーム、僕もプリキュアだ」
「やっぱり!」
「キュアシュプリームコメ!」
「待て、お前達…こいつのことをそんなにあっさりと信用していいものか?いくらなんでも怪しすぎるだろう」
私は鎌をシュプリームと名乗る存在に突きつける。
「そういう君も大分怪しいと思うけど?君こそ何者?」
「私はアンノウン。通りすがりの旅人だとでも思っておけ…それにしても、シュプリームか…最高という意味があるのだったか?どういう意図でそう名乗っているのか気になるな…まぁ、なにはともあれ信用するのは難しいが」
「まぁまぁ!プリキュアだって言ってたし、大丈夫だよ!」
「さっきの怪物に襲われていたのが、敵ではないなによりの証拠ですし!」
「そうそう!」
「お前達…はぁ…まったくどこまでお人好しなのやら…誰かを信用するのは良いが、誰も彼もを信用していたら、そのうち痛い目を見るぞ」
そう呆れつつもひとまず武器を仕舞った。
こいつから放たれるプレッシャーは気になるが、こちらに手を出さないのであれば構わないか。
そんなことを思っていると、シュプリームが変身を解いた。
その姿は薄い淡い緑色と紫が混じったショートヘアーで、耳元辺りには束ねられた白い髪が手のように伸びており、やはり髪の一部には傷跡のような物が残っていた。
恰好はパーカーのようなものを着ている。
「この姿の僕のことはプリムと呼んでほしい」
それを聞いた3人は嬉しそうな様子で手を差し出す。
「…これは?」
「えっと、よろしくねの挨拶だけど…」
「そっか。それじゃあ、よろしく」
そう言って、プリムは3人とそれぞれ握手する。
「君はしないの?」
「私は、お前のことを信用したわけではないからな」
「そっか…残念だよ」
そう言いながらプリムは笑うが、どうにも本当に残念に思っているようには思えなかった。
そんなことを思いながらも、私はソラとゆいとまなつ…そして、プリムと名乗る存在と共にその場を後にするのだった。
といった感じのメインルート第110話でした!
本当はもう少し書くつもりだったのですが、長くなるかもしれないので、ちょうど良い所だと思って今回はここで区切りました。
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!