ヒーローガールとヒーロー気質の転生者 作:振り子メンタル
今回は色々とイベントがてんこ盛りな感じになってしまいました…多分、次回でアニメの5話部分が終わるとは思います。
それでは本編をどうぞ!
「ソラ…ここまでするぐらいに追い詰められてたのか…」
自分の置かれている状況を把握しながら、俺はそんな言葉を呟く。
「ソラは優しいからな…きっと誰かが傷つくのが怖いんだ…俺を監禁するぐらいに…」
多分、ましろさんにも傷ついてほしくないと思っているはずだ…そうやって、全部1人で背負って戦うつもりなんだろう。
…行かなくちゃ…ちゃんとソラに言葉を伝えなくちゃ!
でも、どうやって?どうすればソラを安心させられる?俺には説得するための材料がない。
「…プリキュアになるしかないか…」
プリキュアになることが出来れば、少なくともソラの見た夢はただの夢だと証明できるはずだ…だって、夢の俺は変身していなかった。あくまで夢は夢でしかない…そう証明するには十分なはず。
「といっても、プリキュアになる方法がわからない…とりあえず、いろんな方法を試してみるか」
まず、思い出せ…ソラとましろさんがプリキュアに変身した時はどうだった?
詳しい理屈は謎だが…2人の心に共鳴するようにペンが現れた。
そして、それに呼応するようにエルがあのアクセサリーのようなものを2人に渡した。
考えろ…2人のどんな心に共鳴した?
「…もしかして、ヒーロー精神?みたいなものか…だとすると…俺がすべきことって…」
俺がすべきこと…それは、俺がヒーローになると決意することかもしれない。
俺も昔はソラのようにヒーローに憧れていたことがあった…でも、いつからか自分のその想いに蓋をしていた。
その蓋を今こそ開けるべきなのかもしれない。
『■■■!あんな奴らの言葉なんか気にすんな!』
『そうだよ!少なくとも私達は■■■に助けられたんだから!こういう時、何て言うんだっけ…そうそう!救えなかった人を数えるんじゃなくて、救った人のことを数えるんだってやつ!』
『それは少し違う気がするけど…まぁ、難しいことは置いといてさ…■■■は私達のヒーローだよ!だから、自信持って!ヒーローって肩書は大変だと思うけど、私は■■■にはそのままでいてほしいな』
ふと、前世の友人達の言葉が脳裏を過る。
そういえば、そんなことを言われたこともあったな…この時、俺は確かに嬉しさを感じていたし、自分の行動は間違いなんかじゃないって思えたんだ。
まったく、それなのにヒーローになりたくないって意固地になっていたなんてな。
もちろん、それなりの理由はあったと思う…とはいえ、そう思うようになったきっかけを今は思い出せないが。
だけど、それは後回しだ…ソラを安心させるために…ソラとましろさんと一緒に戦うために…俺はヒーローになってやる!
その瞬間、俺の胸の辺りからミラージュペンとソラ達が変身する時にエルから渡されていたアクセサリーが同時に出現し、それと同時に手錠が壊れた。
「手錠まで壊れた!?どういう理屈?まぁ、抜け出せたから良いけどさ…にしても、ペンとアクセサリーが同時に出現するなんてことがあるのか…」
少なくとも、2人はエルからアクセサリーを受け取ったはずだけど…いや、今はそんなこと考えている場合じゃないか。
「待ってろよ!ソラ!」
そうして、俺は部屋を飛び出し、ソラの所に向かうのだった。
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「ねぇ!見て見て!新しいの出てたよ〜!」
「……」
「あれ?」
ソラちゃんとエルちゃんと一緒に街に出かけてきたのは良いんだけど…ソラちゃんの様子がやっぱり変だ。
それに変なのはそれだけじゃない…ここにはソウヤ君が居ない。
これに関しては絶対におかしい!ソラちゃんがソウヤ君を連れてこないなんて絶対にあり得ないもん。
やっぱりうなされていることと、何か関係あるのかな?それとも、私が何かやっちゃった!?
それで、ソウヤ君のいない所で話し合おう…みたいな?
「ねぇ、何かあった?もしかして、プリズムショットを撃つ時の『ひろがる〜』ってスカイパンチの真似をしちゃったの怒ってる?」
「怒ってません…」
「じゃあどうして…あ、待ってよ!」
ソラちゃんは横断歩道を先に渡り、私が渡る前に赤信号になってしまった。
「ましろさんは、もうプリキュアには変身しないでほしいんです」
「え…」
横断歩道の先で待っているソラちゃんの声はしっかりと聞こえてきて、私は思わずそう呟いていた。
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「そっか…そんな怖い夢を見ちゃったんだ…」
近くのベンチに腰掛け、ソラちゃんが夢の話をしてくれた。
その夢は私達を庇ってソウヤ君が倒れてしまうという夢で…私はその夢に妙な現実感を感じてしまった。
ソラちゃんほど彼を見てきたわけじゃないけど、ソウヤ君ならきっとそうするだろうという確信があったから。
「でも、夢は夢だよ…それに、それだけじゃ、私がプリキュアに変身しない理由もないんじゃ…」
「わかってます…だけど、目の前で誰かが傷つくのは嫌なんです!ソウヤは私の大事な人で…ましろさんは友達ですから…私は自分の大切な人達が傷つくのを見たくありません!」
「ソラちゃん…でも、エルちゃんを守るなら1人より2人、2人より3人の方が良くない?夢みたいな状況になっても私達でソウヤ君を助ければ良いんだし…そもそもソウヤ君ならそんな状況にならないように色々としてくれると思うけど…」
ソウヤ君はきっと、ランボーグと戦うことになっても周りの状況を見て、行動するはず。
だって、ソウヤ君はいつも周りを見渡して、行動してくれてる…私をランボーグの攻撃から守ってくれた時もそうだったし。
「1人でやります!私がもっと強くなれば良いだけの話です!」
「ソラちゃん!」
立ち上がって、歩きだそうとするソラちゃんを止めるために私も立ち上がると、いきなり大きな電車の姿をしたランボーグが現れた。
「あれはランボーグ!?」
皆を助けなきゃ!
そうして変身しようとすると、ソラちゃんが私の手を遮る。
「ましろさんはエルちゃんをお願いします!」
「えっ?待って!」
「ヒーローの出番です!」
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「無限に広がる青い空!キュアスカイ!」
キュアスカイに変身したソラちゃんはそのままランボーグに向かって行った。
「待って!ソラちゃん!」
私も行かなきゃだよ!でも、エルちゃんはどうしよう…うぅ、エルちゃんを任せられる人が周りにいないよ…
ソウヤ君が居れば安心して任せられるのになぁ…
「えっ…?」
私がどうしようか途方にくれていると、抱っこ紐が光り始め、空中に浮かんだ。
「えるぅ?える!えるぅ〜!」
「えぇっ!?どうして?そういえば、おばあちゃんが…」
『色々と役に立つと思うわ』
って、裏山にスカイジュエルを探しに行く時に言ってたよ!
「おばあちゃん!ありがとうすぎるよ!…よし、これなら!」
そうして、私もキュアプリズムへと変身するのだった。
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「ふわり広がる優しい光!キュアプリズム!」
無事に変身が終わり、スカイのもとに走り出す。
「行こう!エルちゃん!」
「える!」
そうして、エルちゃんと一緒にスカイの元に向かうと、スカイが倒れていた。
「大丈夫?立てる?」
「…私は平気です」
「…2人共!危ない!」
どこからともなく聞こえてきた声に、思わず視線を移す。
すると、目の前にランボーグが接近していた。
「プリンセスはもらったぁ!」
そして、ランボーグが攻撃を仕掛けてきた瞬間、私達は凄い速さで担がれ、気づけば、ランボーグから離れた路地裏に来ていた。
「お客様のお呼び出しをいたします…プリキュア様〜!!」
カバトンのそんな声も遠くに聞こえるぐらいに離れた場所だったみたいで、ホッとひと息をつく。
ここなら、しばらくは大丈夫そうだね。
「ふぅ…危なかった…2人共無事?エルも大丈夫だった?」
「えるぅ?」
「うん、大丈夫だよ!えっと、助けてくれてありがとう…あなたもプリキュアなの?」
私達を助けてくれた女の子は青みがかった長い黒髪の女の子でその格好は黒いドレスアーマー?みたいな格好だった。
この子もプリキュアだよね?でも、こんな子知り合いに居たかなぁ…エルちゃんのことも知ってるみたいだから知り合いだとは思うんだけど…
それともソウヤ君とソラちゃん以外のスカイランドの人かな?それなら私が知らなくてもおかしくないよね。
「あれ?もしかして気づいてない感じ?えっと、俺のことわからない?」
「俺?そういえば一人称が『俺』の女の子も居るんだっけ…えっと、初めまして、だよね?」
「気づかれてない!?でも、この状態なら無理もないか…えっと、俺はソウヤだよ…」
「へっ?ソウヤ君?」
「本当にソウヤなんですか!?」
これには流石のソラちゃんも驚いたのか、さっきまでの鬼気迫る雰囲気がなくなっていた。
「そうだよ…正真正銘のソウヤだ…何故かプリキュアに変身したら女の子になってたんだよ…いや、自分で言っておいてあれだけど意味不明すぎるな」
声は女の子みたいになってるけど、その喋り方はソウヤ君そのものだった。
「「えぇ~〜〜っ!!」」
「えるぅ!?」
私達は目の前の衝撃的な出来事に大声を上げるしか出来なかった。
といった感じの第14話でした!
まさかのソウヤ君が女の子になってしまいました…いや、ひろプリには男の子プリキュアが出てくるので、そっち方面でも良かったのですが、それだとキャラが被ってしまうのでこういう形になりました。
とはいえ、ソウヤ君がプリキュアになるのはアニメの5話部分と、やばい展開の時、限定にしようかなと思ってます。
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!