ヒーローガールとヒーロー気質の転生者   作:振り子メンタル

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続きです!

それでは、本編をどうぞ!


誘拐犯を追え!

「ふぁああ〜〜!」

 

スカイランドの城が見えてきたせいか、ソラは立ち上がり、辺りを見渡している。

 

「ちょいちょいちょーい!ちゃんと掴まってなかったら落ちるで、お嬢ちゃん」

 

「これぐらいのことを怖がっていたら、ヒーローは務まりません」

 

ニワトリさんのごもっともな発言にソラは笑みを浮かべてそう返す。

 

「ソウヤも来てください!一緒に見ましょう!」

 

「わかったよ…」

 

そう言いながら、バランスを崩さないようにソラの近くまで歩いていく。

 

「おぉ…!あれが」

 

「せや!あれがスカイランドのお城や!」

 

ニワトリさんの言葉の通り、大きな城のような建物が目に入る。

 

流石、王国だな…城を見た感じ、そこで暮らしている人達も良い感じに暮らせていそうだ。

 

もちろん、王がとんでもない暴君でもない限りはだけど。

 

まぁ、スカイランドで生活してる感じだと、全然悪い人じゃないと思うから、そこは安心だ。

 

「着いたら、何食べよっかな…せっかくだし、露店巡りとかしたいよな」

 

「それは確かに楽しそうです!あ、良ければ食べさせあいっことかしませんか?」

 

「いや、流石にそれは恥ずかしい…やめとこうぜ」

 

「そうですか…」

 

落ち込んだようにソラはそう口にする。

 

くっ…!罪悪感がすごい!

 

「…あー、誰も見てないとこなら大丈夫か…そういう場所でなら食べさせあいっことかしても良いけど」

 

「本当ですか!?」

 

さっきとは打って変わって、ソラは嬉しそうにそう言う。

 

「ホントホント」

 

「ありがとうございます!」

 

「はいはい、どういたしまして」

 

(ワイの上で、イチャイチャしとるなぁ…まぁ、別にええけどな)

 

そんな風にソラと話していると、城の方から紫色の煙が上がっている。

 

「何かあったのか?」

 

「えらいこっちゃ!」

 

ニワトリさんのそんな言葉を聞きながら、俺はソラに声をかける。

 

「…ソラ」

 

「わかってます…すみませんが、スピードを上げてもらえますか?」

 

「まさか、くちばし突っ込む気か!?」

 

「はい。見て見ぬふりはできません」

 

「同意。何かが起きているってわかってるのに、何もしないわけにはいかない」

 

俺達の言葉にニワトリさんは悩んだ末にスピードを上げて、王国へと向かってくれた。

 

「ヒーローの出番です」

 

________

 

_____

 

__

 

「さて、どうするか」

 

ニワトリさんに王国にある建物の上に降ろしてもらい、お礼を言った後、王国の様子を伺う。

 

すると、豚のような顔をしている怪人が小さな女の子をシャボン玉のようなものに閉じ込めて、それを抱えて走っているのが目に入った。

 

完全誘拐じゃん!さっさと追いかけないと!

 

「ソラ!俺は先にあいつを追うから、後で合流しよう!」

 

「わかりました!」

 

ソラの返事を聞いた後、背負っていたリュックを下ろして建物を飛び下り、怪人を追う。

 

怪人はいろんなものを壊しながら突き進んでいき、速度が落ちる様子がない。

 

速いな…しかも減速する気配ないし。

 

これはソラに任せるしかないかもな…まぁ、それはそれとして俺も諦めずに追うけどな!

 

そんなことを考えながら、自分の速度を上げる。

 

そして、飛んでくる障害物や人々を避けながら徐々に距離を詰めていく。

 

「待て!このやろう!」

 

「まさか、追いついてきてるのねん!?」

 

「その子を離せ!誘拐犯!」

 

「離せと言われて離す馬鹿はいないのねん」

 

「だろうな!」

 

そんなことを叫んでいると、道の先にソラが待ち構えているのが目に入った。

 

グッドタイミング!後は任せた!

 

怪人もソラの存在に気づいたのか、何かを言いながらそのまま突っ込んでいく。

 

そして、ソラはクラウチングスタートのような体勢を取り、そのまま走りこんで――――

 

「馬跳び!」

 

怪人の上を跳び、そのまま後頭部を蹴って、着地した。

 

怪人は勢いそのままに地面に転がり、抱えていた女の子がふわりとソラに向かって飛んでくる。

 

それをしっかりと受け止め、ソラは捕らわれていた女の子を抱きしめた。

 

「女の子は無事?」

 

「はい!無事です!」

 

「そっか、良かった…!」

 

「お前達、誰なのねん!」

 

立ち上がった怪人が、そんなことを口にする。

 

いや、何言ってんだこいつ…わざわざ名乗る奴いないだろ。

 

そもそも相手から名乗るのが礼儀というものでは?

 

「私はソラ!ソラ・ハレワタールです!」

 

「居たよ!名乗る奴!そうだよな…ソラだもんな、名乗るよな…じゃあ、俺もソラに習って名乗るか…俺はソウヤだ、別に覚えなくても良いけどな」

 

「ソラ、ソウヤ!お前たちの名前は覚えたのねん!何故なら、お前たちの墓石に刻む名前が必要だからなのねん!」

 

そう言いながら怪人はこちらに尻を向ける。

 

あ、嫌な予感が…そういえば、ポケモンのブイゼルも尻から水技とかを出してたような…やばそうだ。

 

「避けろ!ソラ!」

 

そう言って、回避行動をとる。

 

「遅いのねん」

 

そうして、怪人はすさまじい勢いの放屁をしてきた。

 

よりによってそっちかよ!

 

俺はなんとか回避できたがソラは避けきれず、直撃してしまった。

 

そして、あまりの屁の臭さに、ソラはむせていた。

 

「何食べたらこんなに臭うんですか!けほっ!けほっ!…はっ!しまった!」

 

「あのやろう!いつの間に連れ去った!」

 

ようやく落ち着いてソラに視線を移すと、先ほどまでソラが抱えていたはずの女の子がいなく、怪人が連れ去っていた。

 

「いずれこのお返しはしっかりとするのねん。今日の所はさよ、オナラ」

 

怪人はそんなふざけたことを言いながら、紫色の時空の裂け目のような穴へと入って行った。

 

「この穴は…」

 

どこか怯えた様子でソラはそう呟く。

 

…そりゃそうか、怖いに決まってる。

 

助けに行きたいけど、何が待ち受けてるかもわからないし、帰れるかもわからない。

 

怖くて当然だと思う…でも、ここで助けなかったらきっと後悔するだろう、ソラも俺も。

 

「ソラ、行こう!俺も怖くないと言えば嘘になるけど、あの子を助けないと…後のことは助けてから考えれば良い」

 

「ソウヤ…そうですね!行きましょう!あの子を助けに!」

 

「当然!」

 

そうして、俺とソラは穴へと入っていくのだった。

 




本当は今回でアニメの1話部分を全部書きたかったのですが、さすがに長くなりそうだったので、ちょうど良さそうな部分で区切りました。

それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!

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