ヒーローガールとヒーロー気質の転生者 作:振り子メンタル
今回からアニメの13話部分に入ります!
それでは本編をどうぞ!
「えっと、エルちゃんに似合う靴は…」
「これなんかどうですか?とっても頑丈そうですし、防御力も高そうです!」
「ゲームの装備品じゃないんだから、靴に防御力を求めるなって…」
そんな風にソラの発言にツッコミを入れつつ、店内を見て回り、エルに合う靴を探す。
今、俺達はソラシドシューズという靴屋に来ている。
どうやらこの世界にはファーストシューズという子供がよちよち歩きが出来るようになった記念に靴をプレゼントする風習があるらしく、今日、初めてエルが歩いた記念にファーストシューズを買いにきた。
エルが歩いた時は俺達みんなが感動した。
そういえば、あの時ヨヨさん、なんか用事があるみたいだったけど、何だったんだろう?
まぁ、後で聞いてみよう。
「えっと…これどう?ピカピカ光ってるよ!」
「える!」
ましろさんの持っている靴を見て、エルは嫌!と言わんばかりに首を横に振る。
ちなみに、さっきソラが持ってきた靴にも同様の反応だった。
そして、ソラとましろさんは次から次に靴を持ってくる。
靴の全体で車がデザインされた靴に、ゾウがデザインされ、ゾウの鼻が飛び出ている歩きづらそうな靴といったような靴で、流石にこれはどうなのだろうかと疑問を抱いた。
「え〜るぅ!」
「あはは…どうやらお気に召さないみたいだ…」
「めっ!好き嫌いはダメですよ?」
「いや、好き嫌いの問題ではなくないか?言っちゃあれだけど、このデザインの靴は流石にあれな気がする…」
「フフン!ソウヤ君の言う通りです…プリンセスは悪くありません。足りてないんですよ、お二人のセンスが」
ツバサ君…なんか自信満々だな…
「エルちゃんはスカイランド王家のプリンセス。キラキラ輝く一番星、国民のアイドル…そんじょそこらのデザインで満足するはずが…」
そう言いながら、ツバサ君はやたら豪華な靴を見つけていた。
「さぁ、お受け取りください!プリンセス!」
そうして、見つけた靴をエルに渡そうとして…
「える!」
エルに首を横に振られてしまった。
「えぇ〜!?」
「あはは…ちょっと豪華すぎたのかもね…と、なると…こういうのはどうかな?」
すみれ色のシューズを見つけ、エルに見せる。
「えるぅ?える、える〜」
そのシューズを掴み、見つめていた。
そして、しばらく様子を見た後、首を横に振る。
「うーん、ダメだったか…でも、即答されなかっただけ前進かな…方向性は間違ってないってことだろうし…」
「そうだね!私達のはすぐに拒否されちゃったけど、ソウヤ君のシューズは悩んでたし…これに近いものを探してみよう!」
そうして色々と靴を探してはエルに見せていったが、結局どれもお気に召さなかった。
「他の店を探しましょうか…」
「…ですね。せっかくのファーストシューズ、妥協は許されません!こうなったら、この世界の靴屋さんをすべて回りましょう!」
「終わる頃には、エルちゃん大人になっちゃうよ?」
「あはは…とりあえず他の店を探すのは確定として…どこに行こうか?」
「うーん…他にもいくつか靴屋さんはあるけど…」
そんな風にましろさんと話していると、エルが突如として反応した。
「える…える、える!」
エルが反応を示したのは誰かが買おうとしている靴で、確かに可愛いデザインだ。
「あれは人のですよ」
「別のにしよ!ねっ?」
すると、その靴を買おうとしていた年配の女性が声を掛けてきた。
「どえらい可愛い赤ちゃんやな〜」
「おぉ…関西弁…と、すみません。実はこの子がその靴のデザインを気に入っちゃったみたいで…でも、人様のものをもらおうとは思ってないので大丈夫です」
俺はそう言って年配の女性に答える。
「える!える、える〜!える…」
エルは変わらずその靴を欲しがり、せわしなく動いている。
「ふふっ!えぇよ。これ、あげるわ!」
「「えっ…?」」
俺とましろさんの言葉が重なる。
「えるぅ〜」
エルは満足気だが俺とましろさんの表情は暗い。
多分だけど、この人は誰かに贈り物をするためにこの靴を買おうとしたはずだ…それをあげるだなんて…
「でも…」
「これ、買いたかったんじゃないんですか?」
「遠慮せんでええんよ。まだお会計済ませる前やしなぁ」
「わぁ…!ありがとうございます!」
「こない気に入ってもらえて、靴も喜んでるわ」
「ヒーローです。ヒーロー発見です!靴の気持ちまで考える優しさ、それがヒーロー!」
そんなことを言いながら、ソラは手帳とペンを出し、さっそくメモしていた。
「なんでやねん」
ツバサ君がそんな風にツッコミをする。
まぁ、それは俺も思った…と、今はそれよりも、この人の気持ちを聞かないとだな。
「あの!本当に良いんですか?これって、誰かにプレゼントする靴…ですよね?」
ましろさんがそう尋ねる。
「これで良かったんや…」
「えっ…?」
これで良かった…そう言いながら、店から出ていく女性の姿はどこか寂しげに見えた。
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「断るべきでした…」
「えっ…?」
家に帰ってきたソラは手帳に何かを書いた後、そう口にする。
「きっと何か事情があったんです…なのに私…未熟!」
「まぁ、確かに事情はありそうだったよな…あの人のことを探して、靴を返しに行った方が良いかもしれないな…」
「そうですよね!そうと決まればさっそく探しに行きましょう!」
「え〜?プリンセスは?」
「そうなんだよな…エルがこの靴、気に入っちゃってるからな…それに、そもそもどこに行けば会えるのかもわからないし…」
そんな会話を交わしていると、ヨヨさんの部屋から物音が聞こえてくる。
「今の音、なに!?」
「ヨヨさんの部屋から聞こえてきました!」
「急ごう!」
そうして、俺達はヨヨさんの部屋へと向かうのだった。
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「おばあちゃん、大丈夫!?」
ましろさんが勢いよくヨヨさんの部屋の扉を開くと、そこには白いゲートのようなものが開いていた。
「ヨヨさん…まさか、これは…!」
「えぇ、あなたが思っている通りよ、ソウヤさん。約束通り完成させたわよ」
ヨヨさんの言葉に俺は確信する。
これこそがスカイランドに繋がるゲートなのだと。
おそらく、エルが初めて歩いたあの時に、ヨヨさんが俺達に伝えようとしていたのはこのことなんだろう。
「える〜」
「これでエルちゃんをスカイランドに…おうちに帰してあげられます!」
「そうだな…でも、そうなると…」
そこまで言って、言葉に詰まる。
スカイランドに帰れるようになったということは、俺達はソラシド市を離れることになるってことだ。
…正直に言えば寂しい…すでにゲートが繋がっている以上、いつでもソラシド市に戻って来れると言われればそうなのだが、ここで過ごす時間が心地よくて、もう少し居たいと思ってしまう。
そんなことを考えていたせいか、ヨヨさんと王様達の会話がどこか遠くに聞こえる。
そうして、かろうじて聞こえてきたのは、ミラーパッドの調整が明日の夕方に終わるということだった。
「さて、みんな聞いてちょうだい。アンダーグ帝国はこれからもエルちゃんを狙ってくるでしょう…戦いの舞台はソラシド市からスカイランドへと移る」
ヨヨさんは俺達に諭すようにそう告げる。そして、更に言葉を続けた。
「でも、ましろさんはスカイランドでは暮らせない。ソラシド市で学校に通わなくちゃいけない、勉強もしなくちゃいけない。…それに…」
「ラ…ランボーグがエルちゃんを襲ってきたら、私トンネルを使って、スカイランドに助けに行くよ?」
「そうね…そうしてあげて」
徐々に思考が働くようになり、なんとなくヨヨさんの気遣いがわかった。
ヨヨさんはきっと俺達に猶予をくれたんだ…ちゃんとお別れが出来るように。
「でも、皆でひとつ屋根の下で暮らすのは明日でおしまい。寂しいけれど…後であげはさんにも声をかけて、夜はごちそうにしましょう」
「える、えるぅ〜!」
エルの無邪気な笑顔を見ながら、俺はもうすぐ来る別れに改めて寂しさを感じるのだった。
といった感じの第45話でした!
今日のひろプリも良かったですね!これからの展開も楽しみです!
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!