ヒーローガールとヒーロー気質の転生者 作:振り子メンタル
今回からアニメの14話部分に入ります。
それでは本編をどうぞ!
「そういえば、今さらながら、このトンネルってスカイランドのどこに通じてるんだ?」
「確かに、詳しい場所は知りませんね…」
トンネルを通りながらソラとそんな会話を交わす。
そうして、しばらくするとトンネルの出口が開く。
そこから見えた景色はなにやら落ち着かない様子で歩き回っている王様の姿だった。
「…って、王様の真上!?嘘だろ!」
そう察した俺はすぐに体を捩り、王様の上に落ちないように全力で避ける。
だが、他の皆は間に合わず王様の真上に落下した。
「あちゃー…間に合わなかったか…」
皆が落下して、王様は苦しそうだ。
幸いにも、すぐに皆も気づいて王様の上から退いたから問題はなかったが。
…大丈夫かな?不敬罪とかにならない?
そんな不安を抱いていると、エルの姿に気づいた王様と王妃様がエルに近づく。
そして、王妃様がエルを抱っこする。
「えるぅ〜」
「お帰りなさい…プリンセス・エル」
「えるぅ〜!」
こうして、エルは無事にご両親と再会した。
_______
____
__
「えるぅ〜!」
「歩いた!プリンセスが歩いたぞ!」
よちよち歩きをしてエルは両親の元に歩いていく。
王様も王妃様も、エルの成長をとても喜んでいる。
エルも両親に会えて嬉しそうだ。
「よくぞプリンセスを取り戻してくれた」
「ソウヤ、ソラ、ツバサ、ましろ…あなた達はスカイランドのヒーローです」
王様と王妃様が俺達にそんなことを言ってくれる。
「ヒーローだなんて…そんな、ねぇ〜?」
「まぁ、確かにね…俺達、そんな大層なもんじゃないしな」
ましろさんと俺が遠慮がちにそんな会話をしているなか、ソラとツバサ君の反応は違っていた。
「「スカイランドの…ヒーロー…!」」
そんなことを呟きながら目を輝かせていた。
「…あはは…嬉しいのはわかるけど、エルを攫ったやつについて報告しなくて良いのか?」
「そうでした…王様!エルちゃんを攫った者のことでお話が!」
「まぁ、待て」
ソラの言葉を遮り、王様はエルを連れて移動を始めた。
そうして、王様と王妃様は民の前にエルと姿を現し、大きな声で叫ぶ。
「私達のプリンセスが戻ったぞ!」
その言葉に集まった民が沸き立った。
…なるほど、報告を聞く前にプリンセスの帰還を伝えたわけか…報告を聞くのが先な気もするが、それと同じくらいエルの帰還を伝えるのは大事ってことか。
俺はそんなことを思いながら、沸き立つ人々を見るのだった。
//////////////
「アンダーグ帝国…何故、プリンセスを狙う?」
王様は少し考え込むような顔をしてから、言葉を続けた。
「この件はすべて、私が預かる。そなた達は安心して家に帰るがよい。親元でゆっくりと体を休め…」
「プリキュアの力、お貸しします!」
「私も!」
「ボクも!」
「もちろん俺もです!」
「だが、アンダーグ帝国は謎の多い存在だ…どんな危険が待ち受けているかわからないのだぞ?」
「相手がどんなに強くても、最後まで正しいことをやりぬく…それがヒーローです!」
ソラの決意のこもった言葉が響いた。
「ヒーローか…」
どこからともなく聞き覚えのある女性の声が聞こえてくる。
この声…まさか!?
そうして視線を移すと、薄紫色の髪をハーフアップにした、騎士を思わせる青と白を基調とした衣装を着た女性が居た。
その女性は紛うことなき、俺の姉であるシャララの姿だった。
そして、姉さんもこちらに気づいたのか、俺の元に駆け寄ってくる。
「ソウヤ!ソウヤだな!?…ようやく会えた!」
そして、姉さんは俺を抱きしめる。
「姉さん、痛いって…まぁ、でも…ただいま。ちょっと予定より早かったけど、会えて嬉しいよ」
「あぁ、私もだ…本当に心配したんだぞ」
「あの人がソウヤ君のお姉さん…」
「えぇっ!?ソウヤ君があのシャララ隊長の弟!?」
「ツバサ君、知ってるの?」
「もちろんです!シャララ隊長はスカイランドを守るヒーローチーム、青の護衛隊の隊長で、世界で一番強い剣士なんです!まさか、ソウヤ君がシャララ隊長の弟だったなんて…!」
ツバサ君が興奮気味にそう口にする。
ツバサ君、姉さんのファンだったんだな…まぁ、実際有名な人だし。
「お久しぶりです!あの時は私とソウヤを助けてくれてありがとうございます!」
「ソラ…あの時君を助けたのはソウヤだ。私はただソウヤの後を追ったにすぎないよ…本当にソウヤは自慢の弟だ!」
そう言いながら、姉さんは笑顔で俺の頭を撫でて、抱きしめる。
「ありがとう。そういえば姉さん、王様への挨拶は良いの?」
姉さんは俺の言葉にハッとして、王様へと向き直る。
「失礼致しました…弟との再会が嬉しかったものですから」
「いや、構わぬ。私達もプリンセスが無事に帰ってきて嬉しいからな…そなたの気持ちはよくわかる。久しぶりの家族との時間、大事にせよ」
「ありがたきお言葉、感謝いたします」
そうして姉さんは跪き、深々と頭を下げていた。
そして、姉さんは王様への挨拶と報告を済ませ、俺を連れてその場を後にするのだった。
////////////////
「姉さん…めっちゃ早く切り上げたな…良かったの?」
「良いんだ。王様も家族との時間を大事にしろと言っていただろ?…というわけで、久しぶりにソウヤニウムを補給させてもらおう」
「ソウヤニウム…?なにその謎言語…」
「ソウヤと触れることで発生し、私を元気にしてくれるものだ。私が名付けた」
何故かドヤ顔でそう言う姉さんを見つつ、歩き続ける。
「よくわかんないけど、とりあえず手でも繋ぐ?」
「…!あぁ!繋ごう!なんなら腕を組もう」
「いや、腕を組むのはちょっと…」
「良いじゃないか!久しぶりのデートだ」
「いや、一緒に帰るだけじゃん…まぁ、良いけどさ…それじゃあ腕を組む?」
「では、遠慮なく」
そうして、姉さんは俺の腕に抱きつく。
「うーん…やっぱり恥ずかしいな」
普通、姉弟でこういうことしなくね?
まぁ、姉さんも俺のことを心配してくれたみたいだし、これぐらいは良いか。
ご機嫌な様子の姉さんと共に青の護衛隊の本部へと戻ると、アリリ副隊長が出迎えてくれた。
「ソウヤ君!君も一緒だったのか!いつ帰ってきたんだ?連絡してくれれば迎えに行ったのだが」
「ホントにさっきです。王様達にプリンセスを送り届けたところに姉さんがたまたま来て、一緒に帰ってきました」
「そうだったのか…お帰り、ソウヤ君」
「ただいま」
「さぁ、ソウヤ、早く私の部屋に行こうじゃないか!」
「隊長…ソウヤ君をあまり困らせないでやってください…そして、彼の腕から手を放してください。ここには他の隊員の目もありますので」
「…つまり、他の隊員の目に触れなければ問題ないと?」
「…すまない、ソウヤ君。隊長を頼む…この人は私の手に負えない」
「あはは…任されました。アリリ副隊長、改めてありがとうございます。姉さんを止めてくれていて…大変だったでしょうに」
「うぅ…!ソウヤ君、君は本当に良い子だな〜!」
涙ぐみながらそう言うアリリ副隊長を見て、申し訳なさが溢れてくる。
ホントにアリリ副隊長には苦労を掛けた…明日、何か市場で買ってきてあげよう。
そんなことを思いながら、本部の中へ入る。
姉さんも一応アリリ副隊長の忠告を聞いたのか、腕から手を放しててくれた。
そうして、姉さんの部屋へと向かう途中、俺と同い年くらいの赤髪の女の子と会った。
「隊長、お疲れ様です。…そちらの方は?」
「あぁ、紹介がまだだったな…この子はソウヤ、私の弟だ。ソウヤ、彼女はベリィベリー、青の護衛隊の隊員だ」
「隊長に弟が…!?」
「初めまして、俺はソウヤ…ベリィベリーさん、よろしくね」
「よ、よろしく…ところで、隊長の弟とはどういうことでしょうか?」
「そのままの意味だ。まぁ、ソウヤが私の弟ということは公にはしていないから、知らないのも無理はない」
「どうして、公にはしていないんですか?」
彼女の疑問は当然だろう。
俺はそんな彼女の疑問に答えるために、言葉を紡ぐ。
「姉さん曰く、俺が変な色眼鏡で見られるのを避けるためらしいよ…ほら、青の護衛隊の隊長の弟だって知られたら、色々と大変なことになりそうじゃない?」
「まぁ、それは確かに…」
「例えば、俺も青の護衛隊の一員なんだけど、それがどうせシャララ隊長の弟だから、特別に入隊出来たんだろうとか思われたり、シャララ隊長の弟なのにこんなことも出来ないのか、とかさ…まぁ、そういう偏見に晒されないためにも公にしていないんだ」
それを聞いて、ベリィベリーさんも思い当たる節があったのか、考えるような仕草をしている。
「そういうことだ。だが、安心して良い…身内びいきだと思われるかもしれないが、ソウヤは強いぞ。実力は私が保証する」
「隊長がそこまで仰るなんて…わかりました、ひとまずは信じます。…それでは失礼します」
そう言って、ベリィベリーさんはその場を後にする。
「さて、部屋へと戻ろうか」
「そうだね」
そうして、俺と姉さんは部屋に入る。
「う〜ん!久しぶりにここに入るな…姉さん、仕事残ってたりする?残ってるなら手伝うけど」
「フッ…ソウヤとのんびり過ごすために今入っている仕事はすべて終わらせてきた!だから安心して姉さんとのんびり過ごそう」
「それなら良かった。色々と姉さんに話したいこともあるしさ」
「あぁ、聞かせてくれ。私もソウヤの話を聞きたい…もちろん、私の話も聞いてもらうぞ」
「うん、もちろん」
そう返事をし、俺と姉さんは久しぶりに2人きりの時間を過ごすのだった。
といった感じの第48話でした!
それでは今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!