ヒーローガールとヒーロー気質の転生者 作:振り子メンタル
それでは本編をどうぞ!
「あぁ…みんなのことが心配だ…というか、外ではどれくらい時間が経ってるんだろ」
『ここだとそういうのはわかりませんからね…まぁ、おそらく数日程度だとは思いますが』
「それなら良いけど…嫌だぞ、目が覚めたら何年も経っているとか」
『そうですね…』
残留思念と会話しながら、これからどうするべきか考える。
せめて、外の様子を知る方法があればな…ちょっと聞いてみるか。
「あのさ…どうにか外の様子を知れる方法はないか?」
『そうですね…私はあなたを通して、外の世界を見ていましたが、今はその方法を使えませんからね…』
「そっか…こう精神体みたいな感じで、外に出られたりしないの?」
『それは、可能かもしれません』
「本当か!?なら、さっそくその方法を教えてくれ!」
『わかりました。…プリキュアの伝説はご存知ですか?』
いきなりの質問に、困惑しつつも答える。
「まぁ、一応。確か、大昔に闇の軍勢にスカイランドが襲われて大ピンチになって、スカイランドのお姫様が、助けてヒーロー!って祈ったらプリキュアがやってきてスカイランドに平和をもたらしたってやつだろ?」
『…少々、端折られているように感じますが、大体その通りです』
「それと俺が精神体になって、外に出られることになんの関係があるんだ?」
『プリキュアは祈りによって姿を現しました。つまり、外の世界で誰かがソウヤ様の復活を祈れば、肉体は動かずとも、精神体だけは外の世界にいけるかもしれません』
「なるほど…もしそれが可能なら、少しはみんなを安心させられるかな」
そう口にした瞬間、俺の体が光に包まれ、徐々に上昇していく。
「えっ!なにこれ?どうなってるんだ?」
『まさか、こんなに早く精神体として外に出られることになるとは…皆さんのソウヤ様を思う気持ちがとても強いのですね』
「なるほどな…詳しくはわからないけど、行ってくるよ」
『はい。行ってらっしゃい…お気をつけて』
そうして、俺は外の世界に向かうのだった。
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『えっと…なんだこれ?』
俺が外の世界にやってきて目に入ったのは人形劇をする皆の姿だった。
「昔、昔、あるところに小さな雲がフワフワと降りてきました」
「桃じゃないんですか?」
「だよね?」
ソラとましろさんが小声で話している姿が見える。
…なるほど、大体察した。
これは桃太郎の話をベースにした話で、おそらくそれをエルに見せているんだろう。
エルは目の前で両親が倒れているのを見ている…悲しいに決まってる。
この人形劇はエルを励ますにはうってつけかもしれないな…提案したのはあげはさんかな?こういうことを思いつくのはあげはさんだと思うし。
それにしても、誰も俺に気づいてないのか?皆の後ろに居るんだけど…精神体だから、誰にも認知されないのか?うーん…とりあえず色々と試してみるか。
…いや、やめておこう。変なことして人形劇を台無しにするわけにはいかないし。
「そして、舞い降りた雲がぱかっと開くと、中から元気なえるたろうが出てきました」
そこは雲太郎とかじゃないんだ…まぁ、エルが主役ならこっちの方が良いか。
「える太郎はミルクを飲んでぐんぐん大きくなっていきました。…しかしある日、える太郎の大好きなあげは姫が鬼に連れ去られてしまったのです」
そう言った後、鬼の人形があげはさんをモチーフにしているあげは姫の人形を連れ去るような動きをした。
「あ〜れ〜。助けて〜!えるたろうさま〜!」
だいぶ桃太郎の話とズレてる気がするけど、まぁ、面白そうだし良いか。
せっかくだし、エルの傍に行って人形劇を楽しもうかな…誰かが気づくかもしれないし。
そう考えて、俺はエルの近くに移動する。
「える?…にーに?」
移動している俺にエルが視線を向けてくる。
最初はたまたまかと思っていたが、エルは俺が移動するたびに視線を向けてきていた。
そうしてエルの傍に寄り、声を掛ける。
『もしかして、俺が見えるのか?エル』
「えるえる!にーに!…わぁっ!」
「にーに?誰のこと?」
「エルちゃんはソウヤのことをにーにと呼んでいます…でも、ソウヤはここにいないのに、どうしてでしょうか?」
「きっと、エルちゃんもソウヤ君が恋しいんだよ…」
「…続けましょう!プリンセスを笑顔にするために!」
みんなの会話を聞いた感じ、エルにしか俺の姿は見えていないのか…そういえば、赤ちゃんの頃は幽霊とか見えるって聞いたことあるな。
『とりあえず、みんなには内緒にしようか』
「える」
『ほら、人形劇を見よう。ここから、えるたろうの冒険の始まりだ!』
「えるる!」
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話が進み、イヌ役のソラ、サル役のましろさん、キジ役のツバサ君を雲パンで仲間にしつつ、えるたろうはついに鬼ヶ島へと向かう。
「あれが鬼ヶ島…」
「えるたろうさん…ボクはあなたのためなら、た…たとえどんな敵が相手でも戦ってみせます!ソウヤ君がそうであったように…」
「私も皆を悲しませる人達に、負けていられないから…今度こそ、絶対に守らなきゃ…そうじゃないと、ソウヤ君に胸を張って会えない」
「私はもっと強くならなければ…たとえ、どんな手段を使ってでも、あいつに地獄を見せる…逃げられたら、世界の果てだろうと追い詰めて、報いを受けさせる…それがソウヤを奪ったあいつへの復讐だ…絶対に逃さない…許さない」
あまりに物語とマッチしすぎて、みんなが思い思いの言葉を紡ぐ。
なにより酷いのはソラだ…言葉に憎しみが込められてる。
バッタモンダーへの復讐心…それに支配されているソラの表情は見ているこっちが苦しくなるほどだ。
『ソラ」
思わず、大切な彼女の名前を呟いていた。
「…えっ?私は幻を見てるんでしょうか…ソウヤが目の前に…」
「私にも見えるよ…ツバサ君は?」
「ボクにも見えます!」
「私にも見えるよ…ソウヤ君がそこに…」
「えっ?皆、俺の姿が見えるのか?…えっと、とりあえず…ただいま?」
「ソウヤ…ソウヤ…ソウヤぁぁぁぁ!!」
ソラが涙を流しながら、俺に抱きついてくる。
「良かった…本当に良かった…!目が覚めたんですね…」
「いや…それは…」
「ソウヤ君!!本物だよね?偽物じゃないよね?」
「うん、本物ではあるけど…」
その言葉を聞いた瞬間、ましろさんも泣きながら抱きついてくる。
それに釣られるように、ツバサ君とあげはさんも泣き出し、抱きついてくる。
エルもみんなの雰囲気に影響を受けたのか、泣き出してしまった。
どうしよう、収拾つくかな…これ。
まぁ、今はみんなが落ち着くまで待つとしよう。
そうして、俺はみんなが落ち着くまで待つことにするのだった。
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「落ち着いた?」
「はい…少しは…」
「私も、なんとか…」
「ボクも落ち着きました…」
「私も…エルちゃんも落ち着いたみたいだよ」
とりあえずみんなが落ち着いたようで、ホッと胸を撫で下ろす。
ただ、ソラとましろさんは左右でがっちりと腕を掴んでいる。
ツバサ君も俺の目の前に陣取り、あげはさんはエルを抱っこしながら後ろで陣取っている。
なんだこれ?前後左右、全部塞がれてるんだけど…い、言いづらい…まだ完全に復活したわけじゃないって言わなきゃなんだけど。
「みんな…非常に言いづらいことなんだけど…俺はまだ完全に復活したわけじゃないんだ」
「そうなんですか?でも、ソウヤは今ここに居るじゃないですか…」
「うん。今の俺は謂わば精神体みたいなもので、体はまだ眠ったままなんだ…今の俺の状態は…バトスピブレイヴのダンさんみたいなものかな?いや、サーガブレイヴのダンさんの方がわかりやすいか?」
「その例えはわからないけど…今のソウヤ君はまだ目を覚ましてないってことだよね…どうにかならないかな?」
「俺もどうにかしたいところなんだけど、体がちゃんと呪いから解き放たれないと無理かな…まぁ、流石に今すぐ消えちゃうわけじゃないけどさ」
「そうなんですね…」
「そんな暗い顔しないでくれ。俺は今ここに居るし、死んでるわけじゃないからなんとかなる。まぁ、呪いを解くのはみんなに任せるしかないけど」
こればかりはみんなに任せるしかない…一応、プリキュアに変身することが出来たら力になれるとは思うんだけど。
そういえば、この状態でプリキュアに変身出来るのだろうか?まぁ、チャンスがあれば試してみよう。
「よし!とりあえず一旦、人形劇の続きを見せてくれないか?まだ終わってないし、早く続きが見たくてさ」
俺の言葉にみんなは少し笑みを浮かべて、頷いた。
「わかりました!ソウヤ、ちゃんと見ていてくださいね!」
「あぁ。楽しみにしてる!」
俺の言葉を聞いたソラは嬉しそうに笑い、人形劇を再開するために移動するのだった。
といった感じのメインルート第54話でした!
今回のソウヤの状態の説明、わかる人いますかね?バトルスピリッツブレイヴ、良いですよ。もちろん少年激覇の方も好きですが。なんなら、バトスピの異界見聞録シリーズは基本的に好きですね!
それでは今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!