ヒーローガールとヒーロー気質の転生者   作:振り子メンタル

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メインルート第90話です!

今回でアニメの27話部分が終わります!

それでは、本編をどうぞ!


アンノウンの最期と帰還

「はぁっ!」

 

「ふんっ!」

 

俺とアンノウンの剣戟が飛び交う。

 

互いに譲らない、一進一退の攻防。

 

だが、アンノウンの実力は今まで戦ったアンノウンに比べて弱い…おそらく今までの俺との戦いで消耗しているんだとは思うけど、なんというか、戦意そのものがないように感じる。

 

俺はそう思い、一度アンノウンを蹴り飛ばし、距離を取る。

 

「…アンノウン、あなたは随分と消耗していますね」

 

「ふん…お前と戦い続けた結果だ…今の私は僅かに残ったしぼりかすに過ぎない」

 

「いい加減成仏したらどうですか?」

 

「そうしたいが、1つ、心残りがあってな…」

 

そう言いながら、アンノウンはこちらに斬りかかる。

 

俺はそれを受け流して、アンノウンを蹴り飛ばす。

 

「心残り…?」

 

「お前だ、キュアナイト」

 

「私ですか?」

 

「あぁ。お前に敗れ、私という存在が消えたあの時…私にも1つ欲が出来てしまった」

 

「欲…?」

 

俺がそう尋ねるとアンノウンは構えを解き、言葉を紡いだ。

 

「…もう一度だけ、お前に会いたいという欲だ…我ながら、おかしな感情だとは思うが、あの時の私が思ったのは、それだけだった」

 

そう言いながら、アンノウンは一旦武器を下ろす。

 

「私に?どうして?」

 

「…私がお前に執着していたのは、なにも復讐だけが理由ではない、そう理解したからだ」

 

「どういうことですか?」

 

「…私はお前に憧れていたのだ…どんな時でも民を思いやり、守ろうとする気高さ…美麗な動き、意志の強さを感じさせるその瞳…私はそんなお前に見惚れ、憧れ、嫉妬した…お前は私にとって、手が届かない存在だと理解した」

 

そう言って、アンノウンはさらに言葉を続ける。

 

「…だが、手が届かないからこそ、伸ばしたくなる…例え、この手がお前に届かないと知っていても、手を伸ばし続けるしかなかったのだ」

 

「…なるほどね。だから、この遺跡にいたんだ…おに…キュアナイトなら、ここに来るって信じて」

 

エルがそう口にする。

 

「ずっと、気になってたの…なんで今さらあなたの残滓が遺跡に出現したのか…もちろん、時間が掛かったのは間違いないんでしょうけど、それほどまでの時間を掛けてまでここに来たかった理由が、今わかったよ」

 

そう言って、エルは俺達の戦いの邪魔にならないように後ろに下がる。

 

「ナイト、全力で戦ってあげて。それがアンノウンにとっての救いになるはずだから」

 

「…わかっています。…さぁ、構えてくださいアンノウン…長きに渡る戦いに決着をつけましょう」

 

「…感謝する…キュアナイト。そして、プリンセス・エル、私とキュアナイトを引き合わせてくれたことに感謝を…いくぞ!キュアナイト!」

 

「受けて立ちます!」

 

そうして、俺達は同時に接近し、剣がぶつかり合う。

 

鍔迫り合いの状態、俺はそこから一瞬力を抜き、アンノウンの剣を受け流して斬りかかる。

 

アンノウンはそれを咄嗟に回避することで、俺の剣はアンノウンの体を掠めるだけにとどまってしまった。

 

だが、掠っただけのその攻撃をアンノウンは回復出来なかった。

 

本人が今の自分はしぼりかすと言っていたが、それは本当だったようだ。

 

「まだまだいきますよ!」

 

そう言いながら、左手に槍を出現させ、アンノウンに追撃を仕掛ける。

 

アンノウンは防戦一方といった様子で、反撃に転じることが出来ないでいた。

 

「まだだ!」

 

そう言って、俺を蹴り飛ばし、アンノウンは距離を取る。

 

「ハァ…ハァ…まったく、随分と弱くなったものだな…この私が。…次で決めよう、キュアナイト」

 

「えぇ…次で決めましょう」

 

そうして、アンノウンは自分の分身を出現させ、分身と共に攻撃を仕掛ける。

 

俺もそれに対応し、槍を出現させ、その姿が俺と同じ姿になる。

 

「ヒーローガール!ナイトミラージュ!」

 

俺は分身と共にアンノウンに向かって接近し、俺の分身がアンノウンの分身を撃破していき、最後に俺がアンノウンの本体に向かってキックする。

 

そして、キックが命中し、アンノウンが浄化されていく。

 

「…こうやって、完全に倒されるのは二度目か…私がこうして復活することは二度とないだろう」

 

「そうですか…これで、あなたとはお別れということですね」

 

「あぁ…今まで、すまなかったな…私の都合に付き合わせて。だが、おかげで思い残すことは何もない」

 

そうして、アンノウンの姿が消えていく。

 

「ありがとう…キュアナイト」

 

最後にそう言い残し、アンノウンの姿は完全に消え去った。

 

俺はそれを見た後、変身を解除する。

 

「終わったね、お兄ちゃん」

 

「あぁ。この時代のアンノウンは消え去った…まぁ、俺のいる現在のアンノウンとの戦いはもうちょい続きそうだけど」

 

「そうだね…でも、お兄ちゃんなら大丈夫!妹である私が保証するよ!」

 

「ありがとう。エル」

 

そう言って、エルの頭を撫でる。

 

「お、お兄ちゃん!?」

 

「ごめん、もしかして嫌だったか?」

 

「ううん、嫌じゃない…こんなふうに頭を撫でられたの久しぶりだったから…」

 

「そうなのか?」

 

「うん…だから、もっと頭を撫でて、お兄ちゃん」

 

「わかった」

 

そう答えて、俺はエルの頭を更に撫でる。

 

「えへへ…ありがとう、お兄ちゃん…やっぱり、お兄ちゃんに頭を撫でられるの好きだな…」

 

そうして、俺はエルが満足するまで頭を撫でるのだった。

 

_________

 

______

 

____

 

「本当にいろいろとありがとう!お兄ちゃん!」

 

「どういたしまして!それじゃあ俺はそろそろ帰るよ」

 

「そうだね…本当は、もうちょっと一緒に居たいけど…タイムパラドックスとかが起きる可能性もあるし、早く元の時間に帰してあげないと」

 

そう言って、エルが俺を連れ込んだ時の穴を出現させる。

 

「この穴を通れば、元の時代に帰れるよ」

 

「ありがとう、エル」

 

「私はむしろ、お兄ちゃんに頼んだ側なんだけど…まぁ、お兄ちゃんらしいと言えば、お兄ちゃんらしいか」

 

そう言って、エルは笑みを浮かべる。

 

「…それじゃあ、またな!エル」

 

「うん!またね!お兄ちゃん!…あっ、そうだ!お兄ちゃん、ちょっとこっちに来て」

 

「うん?どうかしたのか?」

 

俺がそう言うと同時に、エルが俺にキスをする。

 

「エル!?急になにを…」

 

「えへへ…お兄ちゃんに私のファーストキス、あげちゃった…」

 

「いや、そういうのはもっと大事にした方が良いんじゃ…」

 

「いいの!私、お兄ちゃんのこと大好きだから!ほら、早く戻ってあげて!」

 

そうして、エルが俺を押していく。

 

「え、ちょっ!エル!?」

 

「それじゃあ、またね、お兄ちゃん!赤ちゃんの私にもよろしくね」

 

「…うん、任せてくれ。エルも元気でね」

 

俺はそう言ったのを最後に元の時代へと戻るのだった。

 

 

 

「うん…お兄ちゃんも元気で…大好きだよ、お兄ちゃん」

 

////////////////

 

「ここは…俺が穴に引きずり込まれたところか…と、早く戻らないと」

 

そうして、俺がすぐさま家に帰ると、ちゃんとみんながいた。

 

「ソウヤ様!お帰りなさい!ご無事で良かったです!」

 

エトのその言葉を聞くや否や、ソラ達も出迎えてくれた。

 

「ソウヤ!エトさんから謎の穴に引きずり込まれたと聞きましたが、何があったんですか!?怪我はしていませんか?」

 

「ごめんね!ソウヤ君!私達、何も出来なくて…実は、私達もミラーパッドに吸い込まれちゃって…」

 

「ミラーパッドに?どういうことだ?…とりあえず、一旦話そうか」

 

そして、俺達はお互いにあったことを話した。

 

といっても、俺は未来に行ったことは伏せ、別の世界に呼ばれてその世界の人を助けたということにしたが。

 

どうやら、ソラ達はエルが誤ってミラーパッドのワクワクレッスンモードを起動し、それにより、ミラーパッドの中に吸い込まれ、特訓をしたらしい。

 

まぁ、ピンクットンというやつのせいで、本来やろうとした特訓とは別のものになってしまったようだが、なんだかんだ楽しかったと言っていた。

 

「そうか…お疲れ様」

 

「ソウヤもお疲れ様でした。まさか、私達がミラーパッドにいる間に別の世界を救ってしまうなんて…やっぱりソウヤはすごいです!」

 

「あはは…まぁね」

 

そんなふうにみんなと話していると、エルがこちらに近づき、何かを渡してくれる。

 

「にーに、ど〜ぞ!」

 

エルが手渡してくれたのはフルーツポンチだった。

 

みんなから聞いた話だと、エトとヨヨさんと協力してエルが作ってくれたものらしい。

 

よく見ると、みんなもフルーツポンチをすでに持っている。

 

「ありがとう。エル」

 

「どいたまちて!」

 

そして、フルーツポンチを口に運ぶ。

 

「美味しい!上手に出来てるよ、エル」

 

そう言って、エルの頭を撫でる。

 

「え〜る〜!」

 

ご満悦なエルを見ながら、未来のエルに思いを馳せる。

 

「エル」

 

「える?」

 

「…これからも元気で、健やかに成長するんだぞ」

 

「える…?える!」

 

エルは笑顔で頷いた。

 

それと同時に花火が上がる。

 

俺達は空高く上がる花火を見ながら、今この瞬間を心に刻むのだった。

 




といった感じのメインルート第90話でした!

以下、ちょっとした短編を書いているので、よろしければご覧になってください。

〜新たな命〜

「はぁ〜…お兄ちゃん、帰っちゃったな…もっと話したかったんだけど」

それに、無理やり連れてきたのに、お礼もほとんど出来なかったし…本当にお兄ちゃんに申し訳ないよ。

でも、おかげで、こっちのお兄ちゃんとソラにとって大事な日を台無しにせずに済んだ。

「エルちゃ〜ん!ここに居たんだね!早く来て、ソラちゃん、陣痛が始まったって!」

そう言って、呼びかけてくれたのはましろだ。今日はソラの出産予定日ということで、ソラシド市から来てくれたんだよね。

…って、陣痛が始まった!?

「本当に!?い、急いで行こう!」

「うん!急ごう!ソウヤ君も、もう向かってるって!」

そうして、私達は慌ててソラのところへと向かう。

そこで、私達は新たな命の誕生を目にすることが出来たのだが、それはまた別の話だ。


といった感じの短編でした!

それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!

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