ヒーローガールとヒーロー気質の転生者 作:振り子メンタル
今回でアニメの29話部分が終わります。
それでは、本編をどうぞ!
「くっ…!」
俺はデュアルスタイルとなったアナザーの攻撃に防御に徹することしか出来ない。
デュアルスタイルは銃で攻撃しつつ、瞬時にこちらに移動してきて槍で攻撃をしてくる。
しかも、こちらに移動するタイミングがまるで読めない…かといって、銃による攻撃を無視すれば、ダメージを避けられない。
正直、第六感がなければ一瞬で殺されてしまっていただろう。
「まさか、この程度ではありませんよね?」
「当然!まだまだこれからです!ミライコネクト!βナイト!」
そうして、俺はβスタイルに姿を変える。
「βナイト?見たことがないスタイルですね…これがあなたの可能性の一端ですか」
「βスタイルを知らない?アナザーはβスタイルに覚醒しなかったんですか?」
「えぇ。私にはあなたのように未来への可能性が残されていなかった…さて、油断は禁物ですよ」
そう言いながら、アナザーは何発もエネルギー弾を放つ。
俺は最小限の動きで、それを回避し、時にエネルギー弾を受け流す。
すると、アナザーは姿を消し、俺が受け流したエネルギー弾の場所に移動してきた。
なるほど…そういう理屈か。
俺は思考を働かせながら、アナザーの攻撃を防ぐ。
攻撃を防がれたアナザーは俺から一度距離を取る。
「ようやくカラクリがわかってきました。おそらくデュアルスタイルの力、いや、αスタイルの本来の能力は槍の場所に瞬時に移動する能力ではなく、正確には私の力の痕跡がある場所に移動する能力なのでしょう?」
「流石の理解力です。αスタイルには槍の場所に移動する能力がある…これは半分正解、半分不正解です。正確には私の力の痕跡がある場所なら、どこでも移動可能です」
「だからこそ、エネルギー弾の場所にも瞬時に移動できた…αスタイルの瞬間移動能力とプリズムスタイルの銃撃が合わさることで、予測不能の連続攻撃を可能にしている…それがデュアルスタイルなのでしょう」
「その通りです。ただ、エネルギー弾の場所に移動できるのはデュアルスタイルの時限定ですが」
「なるほど…一つ聞いても良いですか?」
「なんですか?」
「戦っていて感じましたが、あなたから絶望や後悔…そして、どこか何かに縋っているような、そんなことを感じました…一体何があったんですか?」
俺がそう言うと、アナザーは少し悲しげな顔をして、語り始めた。
「…俺は大切な人を誰一人として守れなかった…ソラもましろさんも、そしてあげはも…」
「あげは?その呼び方…アナザーはあげはさんと恋人だったんですか?」
「…あぁ。俺は姉さんがランボーグになるのを止められず、後悔した…絶望した…そんな時に俺を助けてくれたのが、あげはだったんだ」
「…そうだったんですか…」
「でも、ミライレコードは輝きを失ってしまった。これはつまり、俺にはこれ以上未来がないことを示しているに等しい…そして、その理由についても俺は後に理解することになった」
そう言って、少し間を置いてアナザーは言葉を続けた。
「近い未来、お前達の前にとてつもない敵が現れる…あれは破壊の化身そのもの…戦い方の工夫とか、戦略を立てるとか…そんなレベルでなんとかなるものじゃない…」
そう口にするアナザーは震えていた。
「…その敵の名前は?」
「その敵の名前は…」
そうしてアナザーが6文字の言葉を口にした。
「…聞いたことのない名前です。アンダーグ帝国の誰かですか?」
「いや、違う…確かにスキアヘッドという幹部もお前達の前に姿を現すだろうが、あれはまだ対処可能だ。あいつのように勝ち目がないわけじゃない」
今、さらっと知らない名前が出てきたんだけど…スキアヘッドか…覚えておこう。
そんなことを考えていると、アナザーが深呼吸をし、戦闘モードへと切り替えていた。
「…さて、続きを始めましょうか。さらにギアをアゲていきますよ!」
そうして、さらにアナザーの姿が変化する。
その姿は赤と黒のセパレートタイプのミニスカドレスであり、青みがかった長い黒髪は金色の髪に変化し、瞳がルビーのような赤い瞳とアメジストのような紫のオッドアイに変化していた。
「これは、αスタイルとバタフライスタイルのデュアルスタイル!?…確かに、デュアルスタイルが1つとは一言も言っていませんでしたね」
「その通り。さて、いきますよ」
「なら、こちらも!ミライコネクト!ナイトバタフライ!」
アナザーがバタフライとの力を使うなら、こちらも使うべきだろう。
「あなたもバタフライとの力を…少し複雑ですね…」
「私って、意外と独占欲強め?…まぁ、ともかく始めましょうか」
そうして、再び私達の戦闘が始まった。
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「ふっ!」
アナザーが槍を10本ほど出現させて、一斉に投げつける。
それを回避しようとしたが、嫌な予感がし、それを中断して咄嗟にシールドを展開する。
すると、槍がシールドに着弾すると同時に爆発が起きる。
「爆発!?なるほど、バタフライの投げキッスの…っ!」
爆風の中にアナザーの気配を感じ、刀で斬りかかる。
それをアナザーは槍で防ぐ。
「流石ですね、キュアナイト。ですがまだまだ!」
そう言って、アナザーは刀を弾き、そのまま俺を蹴り飛ばす。
「あぐっ!」
俺は体勢を整えることが出来ず、何度か地面に叩きつけられる。
そして、ようやく立ち上がるが、立ち上がった矢先に俺の周りを囲むように無数の槍が出現していた。
「しまっ…!?」
「ショット」
アナザーのその言葉と同時に無数の槍が俺に襲い掛かる。
「さて、どうなり……っ!やはりそう上手くはいきませんか」
俺は、自分の周りに無数のシールドを展開し、咄嗟に槍の攻撃を防いだ。
危なかった…流石に全方位からの攻撃を防ぐのは至難の業だ。
だが、ここから反撃だ。
俺はすぐさま刀をアナザーに投げつける。
アナザーはそれを弾く。
だが、おかげでアナザーの視線を誘導することが出来た。
俺はアナザーの視線が外れた瞬間に跳び上がり、シールドを足元に出現させ、それをキックしながらアナザーに向かう。
「ひろがる!ナイトスタンプ!はぁああっ!」
足元に出現させたシールドが巨大化させ、そのままアナザーにキックする。
そして、それが直撃したアナザーはデュアルスタイルが解除され、キュアナイトの姿で倒れていた。
「…完敗です。あなたは強いですね、キュアナイト」
「アナザー、何故、私が攻撃する前にαスタイルの力で移動しなかったんですか?」
「しなかったのではなく、出来なかったんです。私には第六感がもうありません…だから、あなたの攻撃に気づくのが遅れた…その遅れが致命的だったんです」
「第六感が…それは死んでしまったから、ですか?」
「そうです。…さて、私はもうこれまでですね」
そう口にするアナザーの体が薄くなっていく。
「良かった…最後にあなたにデュアルスタイルを教えることが出来て。きっと、あなたなら最良の結末を迎えることが出来ます。…私には出来ませんでした」
「はい。必ず…あなたが果たせなかったこと、私が果たします」
「…ありがとう。…そうだ、最後に1つお願いが」
「なんですか?」
「私達を殺したあの破壊の化身のことも助けてあげてください」
「…どうしてですか?まぁ、助けることに理由はいりませんが。あなたがそう思ったことには理由があるんでしょう?」
「…彼女はよくも悪くも純粋です。もし、あの時私達が何か出来ていたら何かが変わったのではないか…そう思えてならないんです…まぁ、戦っているときはただ圧倒的な絶望と焦燥感にかられて、それどころではなかったのですが」
俺の問いに苦笑を浮かべて、アナザーはそう答えた。
「でも、今はそう思うんです」
「…わかった、やれるだけのことはやるよ。だから、俺に…俺達に任せてくれ」
「ありがとう…これで安心してみんなの所に行ける」
そう言って、安心したように笑いながらアナザーは消えていった。
俺はそんなアナザーを見送ってから、みんなの元に向かうのだった。
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「ソウヤ!大丈夫でしたか?」
「うん。そっちも大丈夫だった?」
「はい!ミノトンと戦うことになりましたが、ネコさんのおかげでなんとかなりました!」
「そっか…ネコさん、ありがとう。…そういえば、もうすぐ元の持ち主との待ち合わせ時間だな…」
俺がそう呟くと同時に、車がこちらに向かってくる。
そこから母親とその娘らしき人達が姿を現した。
「すみません…もしかして、この子の持ち主の方ですか?」
そう尋ねて、ソラの持つネコさんを見せる。
「マロン!」
「ネコさんの名前はマロンさんと言うんですね…」
「もしかして、あなた達がぬいぐるみを預かってくれていた方達ですか?」
「はい。…急にお電話してすみませんでした」
「いえ、むしろありがとうございます。そのぬいぐるみ、この子のお気に入りだったんですが、引っ越しの時に忘れてしまって…でも、なかなかこっちの方まで来られなくて…」
母親がそう答える中、娘さんは少し悲しげだ。
もしかして、マロンさんを置いていってしまったことに負い目を感じているんだろうか。
「いいんだよ、りほ。マロン、ちゃんと見つかったよ」
母親が娘さん…りほちゃんにそう言っていると、マロンさんもどことなく緊張しているように感じた。
「マロンさん、大丈夫」
「ソラの言う通りだよ。大丈夫だ」
俺とソラはアイコンタクトを取り、ソラがマロンさんの手を持ち、動かした。
「ずっと、待ってたニャ」
マロンさんの思いをソラが代弁する。
それを聞いたりほちゃんは涙を流し、マロンさんに抱きついた。
「マロン!会いたかった!…マロン、置いていってごめんね…これからはずっと一緒だよ!」
そうして、しばらく泣いた後、りほちゃんはマロンさんを大事に抱えて母親と共に帰っていく。
「にゃーにゃー、ばいばい」
「ソラちゃん、ちょっと寂しい?」
「…大丈夫です!マロンさん、嬉しそうだったから…」
「そうだね…マロンさん、嬉しそうだった。マロンさんの助けになれて良かった」
そんな会話を交わしていると、ふと、マロンさんがこちらを見たような気がした。
「ソラ、ソウヤ…ありがとニャ。フフッ」
そう言って、マロンさんは笑顔を浮かべていた。
俺とソラはお互いに顔を合わせ、笑みを浮かべる。
「ぬいぐるみっていいですね」
「そうだね」
俺達は晴れ渡った空を見ながら、そんなことを思うのだった。
といった感じのメインルート第96話でした!
以下、ちょっとした短編を書いているので、よろしければご覧ください!
〜いつかの誰かの後悔〜
「そ、そんな…こんなことが…」
■■■■■■の攻撃に仲間が次々倒れていく。
攻撃が通じない…いや、そもそも地力が違いすぎる。
理解した…いやさせられてしまった…今の俺達では勝てない。
一矢報いることすら叶わない。
他の皆は諦めず立ち向かっているが、おそらく無理だ。
俺のそんな諦めの感情に合わせるかのように、■■■■■■の世界を破壊する力により、俺を含めた全員が消えていく。
「あげは!」
せめてあげはだけでもと、手を伸ばす。
だが、その手は触れることなく俺は消えてしまった
(くそっ!くそっ!誰も助けられなかった!勝てないって諦めた!俺が…俺がもっと強ければ!諦めずに最後まで立ち向かっていれば!)
そんな後悔が襲ってくる。
そんなことを思っても無駄だとわかってる。
(もし、俺に次のチャンスがあったら、その時は…いや、多分それでも無理だろう…この俺ではどうあがいても結果は変わらない)
なら、せめて別の俺に…俺よりも強くて、最後まで諦めない心を持った俺に会いたい。
もしそれが出来るなら、希望を託せる。俺の力を…俺の思いを。
そんなあり得ない奇跡を願いながら、俺の意識は途切れた。
だが、目を覚ました俺はそんな奇跡を目の当たりにすることになった。
目の前には俺自身の姿があった。
そうして、俺のやるべきことが決まるのだった。
といった感じの短編でした!
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!