かくして少年は迷宮を駆ける ~勇者も魔王も神も殴る羽目になった凡庸なる少年の話~   作:あかのまに

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冒険者になろう 阿鼻叫喚編⑤

 

 2日目

 

「おう、新人ども良い朝だな。目覚めはどうだ」

「だりぃけどそれ以上にお前がしごいたガキ二人が死んでんだけど」

「息はしているな、よし。今日は朝から迷宮な。魔物を殺してこい。目標20匹な」

「この前の2倍になったんだが」

「なんだ、ならランニングするか。日が暮れるまで走り続けても良いぞ」

「逝ってきます」

「お前等は30匹な」

「ゲロでそう」

 

 訓練生7人脱落、残り15名

 

 

              ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 3日目

 

「おーおー死屍累々だな。死んでるんじゃねえのコイツとか」

「殺した張本人が何を」

「まーしゃーねえ、今日は休みだ休み。休みなく体酷使しても死ぬしな」

「……教官、そのごん太な本はなんでしょう」

「身体を休ませてる間は脳を動かせ、魔物の知識はあるだけ身を助けるぞ」

「まあ、生死を彷徨うよりは座学の方が……」

「尚テストでトチったら殺す」

「生死を賭けないと気が済まないのか」

 

 訓練生5人脱落、残り10名

 

 

 

 

 

              ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 4日目

 

「オラァ!何寝てんだこのクソガキ!!!」

 

 腹部に強烈な蹴りを叩き込まれ、ウルは呻きと嘔吐と共に目を覚ました。

 訓練場のグラウンド、対人戦を行うとグレンが口にし、結果残る訓練生全員VSグレンというめちゃくちゃな状況での模擬戦闘が開始し、そして数秒後にウルの意識はぶっ飛んだ。

 目を覚ませば死屍累々で、周りには痛みにもがいている者しかいない。いったい何をどうやってこんな有様に出来たのか、ウルにはさっぱりわからなかった。

 

「こーんな役立たずじゃあ冒険者になんぞなれんぞオラァ、さっさと立てゴミども」

 

 立てるか、という抗議の声すら上げる気力はない。先ほどから右足をガンガン蹴り上げてるところを見ると起き上がらないと順番に蹴り起こしていく算段なのだろう。恐ろしいことに。

 いっそこのまま蹴り飛ばされ続けた方がましなのではないだろうか?なんてことが頭を過ったが、動きがあった。

 

「……むー」

 

 起き上がった者がいた。ウルではなかった。他の訓練生でもなかった。泥塗れでも色あせない銀の髪、麗しい美貌の少女、シズクだ。無論、彼女に対してもグレンはなんら容赦はしなかった。殴りつけ、蹴りを叩き込み、地面に転がしていた。

 だが、その彼女は誰よりも早く体を起こすと、痛みに顔をゆがめながらも、確りとした目でグレンを睨みつけた。

 

「……女のほうが根性あるじゃねえか。情けねえぞクズども」

「【氷よ唄え、穿て】」

 

 両手の合わせた不思議な歌、そして生まれるのは氷の刃。幾本もの鋭い氷柱が宙に舞い、そしてピタリとグレンに狙いを定め、直進した。躊躇なく容赦もない魔術だ。だが、グレンは笑う。

 

「魔術の精度は良い、躊躇いなしなのも悪かない、が、」

 

 ぶん、とグレンは拳を振るう。特別な装備もない、ただの一振り。ただそれだけの動作でグレンの眼前に迫る氷柱は砕けて散った。

 

「……まあ」

 

 目を丸くするシズクにグレンは肩を竦めた。

 

「狙いが単純すぎる。だが、それよりも魔力が根本的に足りてねえな。脆い」

「どうすれば強くなりますでしょうか」

「魔力を喰らい、血肉に変えろ。魔物を殺して、使いまくる」

「なるほどー……では」

 

 そして彼女は魔術を唱えるべく構えた、が、次の瞬間にはグレンがシズクの目の前に到達し、平手でシズクぶっ飛ばし、地面に転がした。起き上がろうとするが、その前にグレンが追撃する。ひっぱたき蹴り飛ばし、更に叩き潰す。

 

「壁がいねえ魔術師なんぞサンドバッグだ!女殴られて寝たままとかタマついてんのか!」

「……ぐ」

 

 ウルは立ち上がる。口いっぱいの血を吐き出して立ち上がるが、ぐらぐらと脳みそが揺れ、まっすぐ立つのもままならない。その様を見てグレンは鼻で笑い、

 

「息を吸え、腹下に力溜めて疲れを吐き出せ」

 

 言われた通り、する。息を大きく吸って、吐き出す。お腹の下が、少しだけ暖かくなった、気がした。ぐらぐらと揺れていた身体が少しだけましになり、前を向く。その先にグレンの拳があった。

 

「そんじゃ死ね」

 

 訓練生3人脱落、残り7名

 

 

              ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 5日目、6日目、7日目―――

 




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