かくして少年は迷宮を駆ける ~勇者も魔王も神も殴る羽目になった凡庸なる少年の話~   作:あかのまに

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チキチキ★白王陣クイズⅡ

 

 【竜吞ウーガ】にて

 

 

 

「……………………」

「……………………」

「……………………」

「……………………」

「……………………」

「……………………」

「……………………」

 

 カリカリカリカリポンポンポンポンと、文字を書く音と印鑑を押し続ける音が続く。文字を書くのがリーネとウルで、印を押し続けているのがエシェルだった。ウルの文字の精度がグルフィン先生の努力によって上がったため、事務仕事を手伝えるようになった。

 なったが、無論、それほど複雑な仕事が任されるわけも無く、作業は単調だ。

 兎に角、地道な作業が続く。しかし機械的になにもかもスルーして良いわけでもなく、似たような文面を逐一チェックを繰り返す作業は、精神をゴリゴリと削っていった。

 空気がやはり濁り、三人の目も濁っていた。

 

 そしてそのうち、不意にリーネが顔をあげた。

 

「―――――」

「リーネ?どうしたんだ?」

 

 エシェルは驚き、

 

「ああ、始まったか」

 

 と、ウルは何故か机を少し片付け始めた。ついて行けないエシェルを尻目に、

 

「白王陣クーイズ!!!」

 

 再びリーネは壊れた。

 

「え?何?」

「ふっふー」

「え、なに!?ウル!?怖い!」

「ふっふーと言いなさい」

「なんで?!」

「言いなさい」

「リ、リーネ怖い」

「言いなさい」

「…………」

「………………」

「………………」

「白王陣クーイズ」

「「ふっふー」」

 

 言った。

 

「さあ、本日も始まりました。白王陣の知識を高めるために行われるクイズ大会第二回。挑戦者の二名はこの地獄の戦いを勝ち抜くこと叶うのでしょうか」

「地獄なの?!戦うの!?」

「大丈夫だろう多分」

「多分!?」

「では問題です」

「なんか始まった!!!」

「間違えたヒトには白王陣の実験参加労役の罰ゲームです」

「大丈夫じゃ無さそうだぞウル!」

「ダメそうだなあ」

「正解者には白王陣実験の参加権利をプレゼント」

「選択肢が無い!!!」

「ないなあ」

 

 無かった。

 

「五代目レイライン当主ルーラウ・ヌウ・レイラインが編み出した新たなる白王陣はどのようなものでしょう」

「どのような……白王陣って範囲広すぎてわかりにくいぞ」

「まあ、そうおかしなもんじゃ無いだろうけど」

「そ、そうだよなあ。難しく考えない方が良いか……?」

「①ちょっと部屋の温度を下げる魔法陣、②ちょっと大地の魔力を制限してふわっとする魔法陣、③ちょっとえっちな気分にさせる魔法陣」

「………ウル」

「ごめんて」

「制限時間10秒です」

「ええ……」

「じゃあ、①で、夏場の快適空間をつくるため?」

「②で都市民の高所作業を安全にするため!」

「正解は③でした」

「えっちかあ……」

「五代目さんは、バカなの?」

「生産都市の家畜繁殖促進として活用されたわ」

「想像以上にすっげえ真面目なのだった」

「バカっていってごめんなさい。生産都市で利用されるなんて凄いなあ」

「まあ、手間がかかる上、術者が限られるってもんで、より簡易の魔術に座が奪われたんだけどね。今はボロンおじさんが白王符に改良して営業しているわ」

「なるほどなあ」

「で、それを私的な事に利用しようとしたアホな神官が出てきて」

「話変わってきたな」

「まあ、その、エ……悪い事をしようとする奴、いるよなあ……」

「一族の子供達の都市滞在権で脅しかけてきて」

「絵に描いたような悪い権力者だなあ」

「酷い!」

「一族がぶち切れて」

「はい」

「はい」

「滅んだわ」

「滅んだかあ」

「滅んだなあ……」

「と言うわけで二人とも間違いだったので実験付き合いなさい」

「何時ものことでは?」

「大体無茶振りされるよな私たち」

「罰ゲームだから何時もみたいに優しくしなくていいわね」

「何時も優しかったの!?」

「震えてきたな」

「武者震いかしら」

「純然たる恐怖」

「それではまた会いましょう。さようならー」

「「さようならー」」

「……………………」

「……………………」

「……………………」

「……………………」

「……………………」

「仕事するぞ」

「うん」

「そうね」

 

 三人は仕事に戻った。

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