食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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閑話 ナイショ話

青葉「おかえりなさいませ!ご主人様!」

 

気持ちのいい挨拶

 

青葉「ご注文はメロンソーダとふわふわホットケーキでよろしかったでしょうか!

はい!お召し上がりで写真3枚までです!」

 

正確で明るい接客

 

青葉「ありがとうございました!いってらっしゃいませ!ご主人様!」

 

そして笑顔でのお見送り…

 

大井(…完璧ね、教える事何もないくらい…

ムカつくくらいにちゃんとしてるわね…)

 

青葉「どーお?大井先輩!」

 

大井「…仕事は上出来よ、あとはアンタじゃなければ100点ね」

 

青葉(あちゃあ…嫌われすぎたかな、仕方ないけど)

 

大井(……)

 

 

 

 

 

青葉「ふー!終わった!」

 

大井「大声出さないの、まだ私たちのシフト終わっただけで営業中なんだから」

 

青葉「ねえ!初出勤も終わったし、お祝いにご飯奢ってよ!先輩っ!」

 

大井「なんでアンタが言い出すのよ…私もお給料前に無理やり入れたシフトだから…

とりあえずハンバーガーでいい?」

 

青葉「やっさしい〜!」

 

大井「その代わり、逃げるんじゃないわよ」

 

青葉「…どういう…?」

 

 

 

 

大井「店内で、スパイシーチキンのセット2つ…そう、あ、ケチャップつけて、それからストローはプラスチックストローで」

 

青葉「1番安いやつ…」

 

大井「奢りなんだからとやかく言うな!ドリンクは」

 

青葉「スプライト…」

 

大井「私は…アイスコーヒーで」

 

青葉「はぁい…」

 

大井「…たく…」

 

トレーを受け取り、それぞれが席につく

 

青葉「こうしてると、昔みたいだね、食堂でよくさぁ」

 

大井「…そんな頃も、あったかしらね

と言うか、それよりよ…アンタ、今後どうするつもり?

その身体も、人生も、青葉のものだってことくらい…」

 

青葉「わかってる、大井さんは何も気にしないで、少ししたら私のことなんて忘れる」

 

大井「……昔からそうよね、アンタ、自分1人で動き回って、失敗ばっかりで」

 

青葉「…善人に見える?」

 

大井「昔のアンタならね、今のアンタは…どんなに取り繕っても…深海棲艦なんでしょ」

 

青葉「今にも大井さんを食べちゃうかもよ」

 

大井「……どうして、そんな事になったのよ

なんであの時一緒に逃げなかったの、死者を出さずに帰れたかも知れなかったのに」

 

青葉「私は私の思う最高の道を選んでる

昔から、深海棲艦になった後も、そして今も」

 

ハンバーガーの包みを開けて、一口頬張る

 

青葉「…こんなに美味しかったっけ」

 

大井「……」

 

スパイシーとつくだけあって辛い

だけど、ちゃんと味がする

 

青葉「深海棲艦には味覚は無いんだ」

 

大井「味覚?」

 

青葉「そう、甘いも酸っぱいもしょっぱいも無い

でも、人間の肉は、食感が美味しい、お腹が満たせる、そして恐怖に染まる顔は…」

 

ハンバーガーを大きく頬張る

 

大井「…何よ、それ」

 

青葉「感情からしか、味を感じられない

いや、違うな、感情が味なんだ…匂いで、味で、それがある生きた人間を貪るのが深海棲艦は好きで好きでたまらない、人間も味のある食事が好きなように」

 

大井「……」

 

青葉「んー、こんなに美味しいものばっかり食べてたら、未練たらたらになっちゃう!」

 

大井「身体を青葉に返す気はあるの?」

 

青葉「勿論、でもそれはもう少し先…何年後かなぁ?」

 

大井「……ふざけてるなら、容赦しないわよ」

 

青葉「なら交渉しようか?」

 

大井「交渉?」

 

青葉「大淀っていたでしょ、ほら、ええと、あのメガネの」

 

大井「…大淀と会ってどうするつもり」

 

青葉「2つの問題を解決できない?」

 

大井「2つの問題?」

 

青葉「そう、私たちが抱えてるそれぞれの悩み

大井さんは、朝霜って子の事、まだ探してるんでしょ?」

 

大井「…だとしたら何よ」

 

青葉「あの人、艦娘を管理する立場とか青葉に言っててさ、実は居場所わかるんじゃないかなぁ…なんて?」

 

大井「…もう一つは」

 

青葉「おしえなーい!これは個人的な問題だから内緒」

 

大井「…そう」

 

青葉「そう!教えたくないの、衣笠さんは秘密だらけだからね!」

 

大井「…私は連絡先なんか知らないわ」

 

青葉「…それは困った…」

 

ポンポンと背中を叩かれる

 

葛城「だったら、私が役に立てると思うけど」

 

大井「…葛城…?」

 

青葉「嘘…ひっさしぶり…!」

 

葛城「大淀さんの連絡先でしょう?取り次いであげる」

 

青葉「やった!」

 

大井「…待ちなさい」

 

大井さんが葛城さんとの間に割って入る

 

大井「アンタ、なんで青葉(コイツ)の中身が衣笠だって知ってる風なの?…アンタ青葉とは会った事ある?無いわよね?だって青葉は少し前まで刑務所に…」

 

葛城「監視役…って言ったらわかる?」

 

青葉(…なるほど、マークされてたんだ?

私なんかをわざわざ?…よっぽど暇なんだ)

 

大井「…大淀は、そういう奴なのね、なら朝霜も…」

 

葛城「そこは言えない、守秘義務があるから」

 

青葉「言ってるようなもんじゃ?」

 

葛城「…とにかく、衣笠、あなた1人なら取り次いであげる、大井はダメ」

 

大井「なんでよ」

 

葛城「危なっかしいから」

 

青葉「そうそう、昔っから危なっかしかったよねぇ」

 

大井「アンタらねぇ…!」

 

席を立ち、葛城に近づく

 

青葉「じゃ、案内よろしく」

 

葛城「またね、大井」

 

大井「っ……」

 

青葉「そうだ、大井さん」

 

大井「何よ…」

 

青葉「値段同じなんだから、好きな物飲めばいいと思うよ、相変わらず、見栄を張るクセは変わらないね」

 

大井「…黙りなさいよ」

 

青葉「じゃっ、またバイトで!」

 

大井「……なんなのよ、2人とも…

私は…私は、どうすれば良いのよ…」

 

 

 

 

青葉「思ったより、話のわかる人でよかった」

 

大淀「そちらこそ、場合によっては“処理”しなくてはなりませんでした」

 

青葉「ひー、怖い怖い…この身体は青葉のなんだから、優しくしてよ?」

 

大淀「いつまでもその身体を人質に取れると思わないほうがいいですよ」

 

青葉「やっぱり?…そろそろ潮時だとは思ってたし、早く動かなきゃね」

 

大淀「こちらも早急に活動します、今まで野放しにしていた問題です、謝罪の意も込めて、すぐにでも対処します」

 

青葉「…助かるなぁ、さすが国家の犬」

 

大淀「貴方も私が嫌いですか」

 

青葉「そりゃあ、盗撮魔を好きな人はいないよね」

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