食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
北上様だよ〜
結局ライブ衣装の上から安いパーカー着て過ごしてるよ
ところで、食中毒に続いて不幸なことがもう一つ…
北上「うげ…バイクが…」
春雨「…駐禁ですか?」
北上「いや、こんなとこの回収されないでしょ…山奥だよここ……って、あー…」
駐禁の張り紙木に残ってるし
でも、そもそもあれ明石からの盗品って扱いになるだろうから…
北上「盗難車回収した感じだコレ…明石、ブラフのつもりか知らないけどちゃんと被害届出したな…?」
那珂「あれ盗品だったんだ…?!」
北上「どのみちガス欠だから良かったけどさぁ…ったく……あ!?…野菜中に入れてるじゃん…終わった…」
那珂「一応、那珂ちゃんのトランクにも…」
春雨「お芋と南京、玉ねぎ…どれも少しずつ残ってますけど…」
北上「まあ、仕方ないよね…」
那珂「うーん…」
北上「どうしよっかなぁ…まあいいや、とりあえずまた徒歩の旅と行こう」
朝霜(え、コノ人らずっと歩いて旅してたンか…?)
北上「怪我人なのは知ってるけど、大人しく歩きなよ、骨折れてないでしょ?」
朝霜「…スパルタだなぁ」
北上「そんなんじゃ1人で生きてけないよ?よく生きてたよね」
北上(まあ、瑞鶴に守られてたんだろうけど…というか、まだ気配はするし)
朝霜「…1人で…か…うん…なあ、北上さん、アタイに1人で生きる方法、教えてくれねえか?」
北上「えっ」
春雨「…!だ、だめですよ!北上さんのマネしたら!」
那珂「うんうん!絶対後悔するからやめた方がいいよ!」
北上「2人ともなんなの?」
那珂「だってだって…!」
春雨「第二の北上さんを生み出すのは危険です、色んな意味で…はい!」
北上「あたし危険人物扱い?」
那珂「そりゃあもう…」
春雨「虫食べるあたりが点数高いです、はい」
朝霜(この人も虫食うのか…ますます大井さんみてー…)
北上「いや、いいじゃん別に、栄養価どうのは知らないけど、少しでも食べれる物多い方が生きるのに有利だよ?」
那珂「現代人はそんなギリギリの価値観で生きてないよ!?」
春雨「そしてそのギリギリの価値観に染めさせません!」
北上(別に染めるつもりもないんだけど、というか育てるのも承認してないのに)
北上「…とりあえず、街に降りようか」
那珂「それは、賛成」
春雨「やりたいことがあったので助かります!」
北上「やりたい事って何?」
春雨「エンコードです!」
北上「えんこ…?」
那珂(あー、ライブ動画のアップ?確かにここ回線通ってなさそうだし…)
春雨(…2人には内緒ですけど、実は街に買い物に行くたびにアップしてる野食の動画のおかげでチャンネルが伸びてますから…
ここで一気にいろんな動画を上げて畳み掛けないと…!)
北上(機嫌いいなぁ…そりゃ街のほうがいいか)
那珂「ところでさ、朝霜ちゃん」
朝霜「あん?」
那珂「…朝霜ちゃんには、何かをしてもらわないとなーって思ってるんだけ、ど、何かできる?」
朝霜「えーとな、料理と二桁の掛け算!」
北上「それは誰でもできるよ」
春雨「言い方…」
那珂「優しさ欠落してるよね…」
北上「ええ…?事実じゃん」
朝霜「…うん、事実だと思う…ごめん、アタイ何もできねーや!」
朝霜がニカッと笑って見せる
那珂「…朝霜ちゃん、無理に笑わないでいいんだよ?」
朝霜「え?無理してないって…」
那珂「…わかるの
アイドルって、無理に笑わないといけない仕事だから…
朝霜ちゃんの笑顔、誰かを元気にする為の優しい笑顔だけど、朝霜ちゃんの心はもう疲れてるよ…?」
朝霜「……優しい笑顔?…違う、アタイは、こんなの…」
那珂「なにも違くないよ、朝霜ちゃんは優しい子だってわかるもん」
朝霜「違う…あたいは、だめなんだ、何もできない…」
朝霜の頭に手をポンと置き、わしわしと髪を乱す
朝霜「な、なにすんだよ…」
北上「アンタはまだ守ってもらってればいいんだよ、なにも考えずにさ」
朝霜「……それが嫌なんだ、アタイは、守られてばっかで、守ってくれた人を苦しめてばっかで…」
北上「それはそいつらが弱かっただけさね」
朝霜「違う!」
北上「違わないよ、自分が潰れたってことは、キャパを超えたって事、自分にできる範囲を見誤ったってこと…
優しかったけど見誤っただけ、アンタの責任じゃない」
朝霜「…違う、アタイが…」
春雨「全部抱え込もうとしないで…自分を責めたところで、誰も幸せになんてなれないから…」
那珂「……」
北上(…那珂…?)
北上「…なんか、今日も視線感じるねぇ」
春雨「そりゃあ、有名人ですから」
朝霜「怪我人連れてるせいで目立ってるだけだろ…?」
那珂(いや…そうじゃない…)
北上「あ、向こう見てよ、普通に街中に深海棲艦が…」
春雨「最近じゃ珍しく無いですよ?」
朝霜「…なんかこっち見てる?」
那珂「……みんな、周り見て」
北上「ん…?……あ、しまった、気づくの遅れた」
春雨「え?」
北上「人が消えた」
あたり一体から、通行人が消えてる…
これは、もしかするのか…
那珂「…朝霜ちゃん、走れる?」
朝霜「……おう」
北上「自信ないなら無理ってちゃんと言いなよ」
朝霜「おわっ!?」
朝霜の首根っこを掴み、背中に乗せる
春雨「…どっちに逃げますか」
那珂「とりあえず、街を出なきゃ…事情はどうあれ、戦ってるのを見られたら活動の意義を疑われちゃう…」
北上「アイドルめんどくさ…」
一斉に走り出す、も…
那珂「前にも居る!?」
北上(これ、もう囲んでるな…!)
いろんな方向に逃げては、深海棲艦に浴衣を阻まれる…コレじゃ、
春雨「…相手も街中じゃ手を出してこない、なんて楽観的な考えは…?」
那珂「無し!絶対無いよ!だって向こう艤装展開してるよ!?」
北上「…那珂、春雨連れて逃げて、あたしらも別ルートで逃げる」
春雨「えぇ!?」
那珂「…逃げ切れる自信は?」
北上「んなもん無いよ、合流する自信もね
でも、とりあえず、無事に出れた横須賀まで行くかな」
那珂「…わかった、春雨ちゃん、信じてついてきて!」
春雨「え?あ!」
那珂が路地に入って即座に建物の壁をつたって、どんどん上へと上がっていく
春雨(わ、私そんなことできな…あ)
那珂「このロープに捕まって!」
春雨「はい!」
北上(流石にアレついていくのは難しそうだし、となると…おっ)
朝霜「ぎゃあぁぁぁぁっ!?」
北上「うるさいよ、意識が散る」
飲食店と思われるお店の裏手にあった代車を拝借し、朝霜を乗せて全力で地面を蹴りまくる
朝霜「ゆ、揺れる!落ちるぅ!!」
多分時速60キロは出てるね、誰も追いかけてこれてない
北上「…いや、アレだ」
後ろから追っかけてきてる車、アレ絶対そうだ
北上(…近づいてきてる、そろそろ仕掛けるつもりだ…)
確かに人口密集地帯は抜けたけど、普通に人も…
北上「っ!」
車の天井が音を立てて剥がれ、深海棲艦の艤装がこちらに向く
北上「台車でカーチェイスってだけでも無茶なのに…バカじゃないの!?」
朝霜(それやってるアンタが1番バカだよ!!)
北上「あ…!?」
朝霜「…どーしたんだよ」
…このスピードに台車が耐えられるわけもなく…
北上「車輪ガタガタいってる、外れそう」
朝霜「はぁ!?」
北上「……」
街は大方抜けて、辺りには緑も増えて…
北上(って、景色見て現実逃避する暇はないか…
…あの公園の茂み、あれだ)
朝霜「え、おい!?」
北上「すぐ回収するから」
朝霜を茂みに放り込み、片足を地面に押しつけ、体を捻りながら台車を振り回す
北上(…くらえ!)
台車を車に投げ飛ばし、その勢いのまま両手で頭を守りながら道路をゴロゴロと転がる
北上「…っ…てて…」
車、止まってるか…
…中に人影はあるけど動いてない、逃げるなら今…
北上「っ…?」
背中に、衝撃…?
北上「…撃たれたってこと、か…」
しかもこの感覚、あの時と同じ…
マズイ、意識が…
那珂「やっぱり、そろそろだと思ってた」
双眼鏡を春雨ちゃんに渡す
春雨「み、見てないで助けなくて良いんですか!?」
那珂「ごめんね、もう少し泳がせる…だって、ようやく潰すチャンスが来たんだもん」
春雨「つ、潰すって、何を…」
那珂「お姉ちゃんをあんな目に合わせた奴ら…ようやく復讐できる」
春雨「…まさか…北上さん達を囮にしたんですか!?」
那珂「うん、悪いけどさせてもらった」
春雨「…だ、ダメですよ!全部無くなっちゃいますよ!那珂さんの夢も!何もかも!」
那珂「それでも、もう決めたから」