食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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増加食

夕張「よーし、スコアは上々、これなら今日はここまでで良いかな!お疲れ様!」

 

阿武隈「お、お疲れ様、です…」

 

つい力が抜ける…ガチャガチャと音を立てて艤装が地面に落ちる

 

夕張「……大丈夫?ここのところ連日だし、体調も良くないでしょ?」

 

阿武隈「…でも、スコアは上がってます、支障はありません…よね…?」

 

夕張「いや、それはそうなんだけど…でも、やっぱりコレ、かなり負担が大きいんじゃない?」

 

阿武隈「まあ…現役に比べたら体力落ちてますからね…」

 

…最近になってマトモな食事は取れてるけど、それまでは生きるのに必死だったし

ちゃんとした栄養なしにトレーニングは意味をなさない

いくら生体ユニットがあっても、体は弱る…

 

夕張「……今更だけど、体作りから始めない?

このままじゃ実戦運用厳しいし…実際使う人もかなり鍛錬を積む必要が出てくるけど」

 

阿武隈「それは……賛成ですね…」

 

夕張「ってことで、メニューは組んだから、はいコレ」

 

阿武隈「…ひゅっ…」

 

10キロ走、腕立て、プランク、懸垂、その他ジムトレーニング…バーベル上げにダンベル…

 

阿武隈「あ、あの、最後のジムトレーニング…設備は…」

 

夕張「あ、申請はしたから、ちゃんとここの設備使って良いって」

 

阿武隈(最初からやらせる気だった…?)

 

……目尻の筋肉が勝手にピクピク動く感覚がする…

 

 

 

 

暁「お疲れ様、はいこれ」

 

阿武隈「…蒸気加熱食(ヒートパック)?今日は、お弁当は…?」

 

川内「今日は、無ーし」

 

夕張「…これ、味気ないわよね…不味くはないけど、同じ味でそこそこの量の白米食べるのは苦痛よ」

 

川内「えー?…あったかくて美味しいから良いと思うけど」

 

夕張「それは…そうなんだけどね」

 

阿武隈「…はあ…」

 

暁「……そういえば、最近地下、何かやってるの?

土日の昼に凄い音が響いて、倉庫中うるさいのよ…」

 

夕張「配管工事でもしてるんだと思うけど、そんなに?」

 

川内「アタシらは基本警戒にあたってるからわかんないなぁ…」

 

暁「音が響くし、振動もするから…しかも決まって日中だし」

 

夕張(んー…“アレ”かな?)

 

阿武隈「…あの、今日、何か食べに行きませんか?」

 

川内「うーん…確かに違うのも食べたいし、賛成はしたいけど、阿武隈最近多くない?

前も無理だって言ったよね?」

 

阿武隈「…だってぇ…うう…」

 

夕張(…食事は士気に直結する…か……わかってたけど、そろそろ阿武隈ちゃんも限界ね)

 

夕張「暁ちゃん、貯金余裕ある?」

 

暁「無いわけじゃないけど、ダメよ?せっかく無料(タダ)で食べさせてもらってるのに…」

 

夕張「うーん…なら、両方食べるのは?」

 

暁「え?」

 

阿武隈「えっ」

 

夕張「阿武隈ちゃん、さっき出したスケジュール」

 

阿武隈「は、はい」

 

暁「…何コレ、トレーニングメニュー?」

 

夕張「これ実践してたら、ここの食事じゃ栄養不足になっちゃうのよ、というわけで、増加食を所望します!」

 

暁「…えー…?」

 

川内「どれどれ…やー、なかなかにハードだね?」

 

夕張「ちなみに、これちゃんとネットにある海兵隊のメニューからピックアップしてるから、効果はバッチリよ」

 

暁「自分で組んだんじゃないのね?」

 

夕張「だってこういうの専門じゃないし」

 

川内「もっとキツくしようか?呉流でね」

 

阿武隈「か、勘弁してください…」

 

夕張「阿武隈ちゃんが兵装実験をしてる間は増加食が必要よ、生活必需品も揃って余裕が出てきたし、どう?」

 

暁「…まあ、そういう理由なら…でも、気になるのは、食事の差よね」

 

夕張(一番の懸念点はやっぱりそこか…確かに、食事に差ができたら不満は溜まるしなぁ…)

 

暁「…今日の食事は、レトルトパックのご飯と中華丼の具だし…あ、良いこと思いついたわ!」

 

川内「お?」

 

暁「ちょっと待ってて、あ、この中で料理できるのは誰?」

 

川内「あたし」

 

夕張「私もまあ、できるけど」

 

暁「よし、それだけいれば十分ね、阿武隈さんは…ええと、コレを買ってきて」

 

阿武隈「…卵に、チャーシュー…中華調味料にごま油に冷凍唐揚げ?」

 

暁「もし気に入らなければ、食べに行っても構わないから…あ、確か配給のカップ麺も余ってた?」

 

夕張「2、3個なら…」

 

暁「どうせみんなはお腹いっぱいになるから、足りなかったらそれ食べさせましょ?」

 

川内「…何するの?」

 

暁「作ればわかるわよ」

 

 

 

 

暁「まず、熱した鍋にごま油を馴染ませる」

 

夕張「うんうん、ここに溶き卵…と」

 

暁「素早くかき混ぜて、ほぐしたレトルトのご飯を入れる、ほぐすイメージでね

このお米、冷えてるとバラバラな上に固くてとても食べられないから、ちゃんと全体を温めてあげて」

 

川内「こっちの中華丼の具は?全部鍋に移したよ」

 

暁「醤油を少しだけ足して、煮詰めて、味を濃くして」

 

川内「あーい…確かにコレ、薄いんだよね…」

 

夕張「ここに刻みチャーシューと、中華調味料を入れて、炒めると…よし、チャーハン完成!」

 

暁「あら、まだよ?油を足して、かき混ぜないでもう少し火にかけるの」

 

夕張「え?」

 

暁「底のお米を揚げるイメージでね」

 

夕張「…ああ!なるほど!そういう事ね」

 

暁「チャーハンを盛り付けたら、脂の残った鍋に冷凍の唐揚げを入れて、炒めながら温めてね」

 

川内「こっちも良い具合だよ」

 

暁「チャーハンと唐揚げに中華餡(ちゅうかあん)を回しかけて、あんかけチャーハンの完成よ!」

 

阿武隈「お、おお…!」

 

暁「(いろど)りはないけど、これならどう?」

 

阿武隈「お、美味しそうです!しかも山盛り…」

 

夕張(一人当たりのお米の量、尋常じゃないものね…)

 

暁「唐揚げを作る手間、材料費、油代もカットしてるし、これならコスパも十分でしょ?」

 

川内「やるなぁ、さすが財政大臣…」

 

夕張「…お母さんみたい」

 

暁「今なんか言った?」

 

夕張「いえ、何も」

 

阿武隈「こ、これ、食べて良いんですか?!」

 

暁「みんな揃ってからね、呼んできてくれる?」

 

 

 

朧「おいしいね」

 

曙「唐揚げなんていつぶりかしら」

 

夕張「みんな喜んでくれてるわね?」

 

川内「確かに、外食で数千円払うよりかなり安く上がってるし、流石というか」

 

暁「ほら、響…おいしい?」

 

響「うん…」

 

暁「よかった!」

 

夕張「…もしかしたら、暁ちゃんもみんなにもっと美味しい食事を食べて欲しかったのかもね」

 

川内「でも、今後も毎回米飯(べいはん)類はキツくない?」

 

夕張「そうかもね…あ、あとこれ」

 

川内「ん?……地下プール?」

 

夕張「そう、演習施設として、地下プールを作ってもらってるの、艦娘の戦闘訓練をする為に」

 

川内「へえ」

 

夕張「いざという時の地下通路として、出撃にも使えるわ」

 

川内「…実戦の準備もいるわけだ」

 

夕張「うん、お願いできる?」

 

川内「艤装は?」

 

夕張「汎用巡洋型」

 

川内「…操作は?」

 

夕張「完全マニュアルよ、使うときは気をつけて」

 

川内「了解、あたしらも明日から訓練に参加するよ」

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