食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
川内「ふっふっはー…阿武隈!ペース落ちてるよ!?」
阿武隈「も、もう8キロ走ってるんですよぉ!」
川内「足りない足りない!夕張!曙!置いてくよ!?」
夕張「なんで、わたっ…わたひまべっ」
曙(もう、声も出ない…)
川内「顔下げるな!もっとキツくなるよ!阿武隈!顔上げすぎ!」
阿武隈「ど、どっちなんですか…!」
川内「胸起こして!正面向けて!あと1.5キロ!」
夕張(こ、これ…速すぎて…やば…ぃ…)
川内「前向けー!」
川内「はい、10キロね」
夕張「ごほっ…無理、コレ…」
阿武隈「…はー…ふー…」
川内「お疲れ…初日ならまあまあかな、あ、後続組も来たね?」
神通に引っ張られて…って…
川内「…神通、全員顔真っ青だけど…あ、そうか、声出ないから指示も飛ばせなかった?」
神通(こくり)
川内「まあ、それは仕方ないか…」
阿武隈、夕張さんは勿論、曙は前回の作戦である程度動けたから、アタシ主導の特別コース
残りの動く意志がある連中は神通と一緒に少し遅いペースで10キロ走
阿武隈「…これ、どのくらい早いんですか…」
川内「1キロ5分半かな」
夕張「えっ」
阿武隈「…3キロだと、15分半…?…10キロはどのくらい…」
川内「53とか?」
夕張「…は、速くない…?」
川内「かなり加減してるんだけど、それにウチの錬成基準なら1キロは3分以内だから」
阿武隈「ひえっ…」
夕張(それもうマラソン選手…)
川内「じゃあ次、腕立ての姿勢よーい!」
夕張「え!?すぐ?!」
阿武隈「きゅ、きゅうけっ…」
川内「腕立て!よーい!」
渋々腕立て伏せが始まる
川内「いーち!にー!さーん!」
夕張(…地獄…腕痛い…)
川内「下でキープ!」
阿武隈「ふぇっ!?」
川内「4秒数えながら、上げー!」
阿武隈「ひぃぃっ!」
阿武隈「…もう、一歩も、動きたくありません…」
夕張「意外と、動けちゃうものよね…艦娘の身体って…」
川内「お疲れ、これが夕張の考えてた一日分のワークね?」
阿武隈「なんで平気そうなんですか…?」
川内「昔はもっとキツかったから、それに自己鍛錬は怠ってないし」
夕張(これは、死んじゃうなぁ…)
川内「で、考え直す気になった?」
夕張「へっ?」
川内「キツさは体感したでしょ?」
夕張「…嫌というほど」
川内「阿武隈1人に負担かけすぎちゃダメってのもわかったと思うし、一緒に考え直そっか?」
夕張「…はい、ごめんなさい…」
阿武隈「川内さん…!」
川内「とりあえずこれの半分なら艤装の訓練と並行してやれる?」
阿武隈「えっ……あ…が…ガンバリ、マス…」
川内「…あのさ、無理なら無理って言ってよ?阿武隈頑張りすぎじゃない?」
阿武隈「…でも…」
川内「明日にも深海棲艦と戦うわけじゃないんだしさ、もう少し肩の力抜こうよ」
阿武隈「…はい」
夕張(完全にまとめ役ね…)
川内「で、もう一つ文句があるんだけど、夕張さんに」
夕張「え?」
川内「あの
夕張「…ものすっっごく、軽くしたんだけど…」
川内「弾薬装填したら4キロは超えるよね、これじゃ姿勢制御うんぬんの問題じゃないよ?」
夕張「うぐぅ…だってぇ…」
川内「アレ持って戦えるの、現役時代でも指折りレベルだよ…」
夕張「…はい…阿武隈ちゃん、頑張ってたもんね…」
阿武隈「じゃ、じゃあ!私は指折りの実力者って事で!」
川内「どのくらい動けるかはわからないけど、うーん
一言で言うなら、そう、ゴリラ?」
阿武隈「ごりっ?!」
夕張「流石にそれは…ねえ…?」
阿武隈「ゴリラ…ゴリラって言われた…ゴリラって…」
夕張「ほら傷ついた!」
川内「いや、ごめんって…あれ?」
…嫌なサイレンが鳴り響く
阿武隈「これって…!」
夕張「敵襲のサイレン…!?なんで!戦争はもう…!いや、小銃!武器を取りに行って!急いで!」
川内「艤装は!?」
夕張「今は使えない…!私達は支給された制服着るから!」
阿武隈「そんな悠長な…」
夕張「いいから!信じて!」
レ級「アレ〜?……何デ、出テ来ナイ…変ダナ〜」
放送『こちらは横須賀基地である、こちらは横須賀基地である、深海棲艦に告ぐ、即座に退去せよ
その場所は既に基地内である、それ以上の滞在は侵略とみなす』
レ級「キシシッ!…アポハ取ッテ無イケド、条約違反ノ現場抑エニ来タヨッ!」
放送『繰り返す、それ以上の滞在は侵略とみなし、武器を使用しての対処を行う』
レ級「…ソリャ、声聞コエテナイカ…アー……ドウシヨッカナ、仕掛ケチャウカァ…」
放送『武器の使用を許可する』
レ級「ア?」
夕張「威嚇射撃開始!」
レ級「ッ!?」
周囲ニ細カイ弾ガ…!
撃ッテキテルノハ…アソコカ
レ級「見ツケタ!!」
海面ヲ蹴リ、堤防ノ人間ニ迫ル
夕張「ッ!」
レ級「艦娘見〜ツケ……オン…?」
コイツラ、艤装ジャナクテ、銃?
夕張「止まらないと、次は当てるわよ!」
川内(こんな豆鉄砲で死ぬとは思ってないけど…)
レ級「……チッ…艦娘ハ何処ダ!出セ!艦娘ヲ!!」
夕張「居ないわよ!」
レ級「嘘ダ!情報ハ有ルンダゾ!」
夕張「これ以上はそっちが条約とか、そういうの無視して侵略してるって事になるけど!?
会話もできる高知能種がやってるなら、また世界を敵に回した戦争したいのね!?」
レ級「グッ…!」
夕張「さっさと消えなきゃ、ほんとに戦争よ」
レ級「クソッ!覚エトケヨ!」
レ級(折角アノ化ケ物ヲ戦ワズニ潰セルト思ッタノニ!!)
夕張「よし、作戦成功」
川内「艤装なしじゃ、手は出せないのはお互い様か」
阿武隈「さ、さすが夕張さん…」
こっちも自衛官としての格好して、適切な対応してる
向こうは迂闊に人間を殺せない
夕張「我ながら完璧な対応ね」
川内「…でも、タレコミがあったって言ってたよね」
夕張「出まかせかもしれないし、今は深く考えなくていいわ」
川内「…それでいいの?」
夕張「いいのよ、ねえ、加賀?」
阿武隈「へ?」
加賀が物陰から出てくる
加賀「よくわかるわね」
夕張「艤装の反応…かな、目は大丈夫?」
加賀「義眼を入れてるわ、もう再生不可能だったから」
夕張「それかぁ、艤装の反応すると思ったら」
川内「さっきの青目の深海棲艦、なんか情報あるの?」
阿武隈「青目?」
夕張「…青い炎が目に宿ってたのよ、見えにくかったけど」
加賀「私は見た事ないし、情報も無いわ」
暁「有るわよ、情報」
夕張「暁ちゃん?何で出てきたの…」
暁「あのレ級、知ってるわ、青い炎はなかったけどね…それと、そっちも情報あるの」
夕張「え?ほんとに?」
加賀「その話に興味はあるけど、ここじゃ悪目立ちするわ、それと、伝達事項もあるわ」
夕張「うげ…」
夕張「警戒段階の引き上げ?そんなこと伝えにきたの?」
加賀「…あのね、那珂達のせ…おかげで、艦娘を見る目が変わりつつあるのよ、だからこそ、今が危険なの」
川内「今那珂のせいって言おうとした」
加賀「……とにかく、今まで艦娘を使ったビジネスが裏社会にあって、それを続けられなくなってきた、だから、最後の足掻きをしようとしてる人間もいるのよ」
暁「なにそれ!」
加賀「ちなみに那珂達が潰したけど」
夕張「うわぁ」
暁「それで、そんなことが言いたいわけじゃないんでしょ?」
加賀「…深海棲艦は、人間と共生するつもりなんてないわ、わかりきってたけどね
共生のふりをして搾取し続けようとしている」
夕張「そんなの知ってるわよ」
加賀「ここから、より激しい攻撃が来るわ、元艦娘自体は違法じゃない、でも、深海棲艦と裏社会には目の上のたんこぶであり、狙い所でもある、でもそれさえ耐えれば…
あと少し、耐えなきゃいけないのよ」
夕張「…昔から、ずっと耐えてきたのよ、私達は」
加賀「もう少しよ、終わりの見えなかった我慢に、ようやく終わりが見えてきた」
川内「加賀が否定した那珂の活動でね?」
加賀「…それについては身をもって学んだわ」
夕張「やりあったんだ?よく生きてたわね」
加賀「……正面からは2度とやりあわないわ」
川内「あたしは正面からやって勝ったけどね」
夕張「え、なにそれ初耳」
暁「それよりも!…結局のところは?」
加賀「これから、那珂達の絡んだ事件を深海棲艦側の起こした事件として報道する…
その上で、外務省は交渉に出るわ、大きな目標として…日本から深海棲艦を締め出す、実現できるとは思ってないけどね」
川内「なら、狙いは?」
加賀「大衆の感情を制御するのよ、艦娘より深海棲艦を悪とする、どれだけ手を尽くしても、利益をもたらす以上深海棲艦の肩を持つ人間は多いけど」
夕張「実益がある以上仕方ないわ、それで生計立てるくらい依存してる人も多いだろうし」
海産物だけじゃない
海に沈んだお金なんて、近代から古代まで、どれほどあるか…特に、金は現在も使える…
川内「ちぇっ…金持ちどもめ…」
暁「そもそも深海棲艦にとってはお金なんて価値無いし、人間に渡しても何も痛く無いし惜しくもない仕方ないわよ」
加賀「…さて、私の話はここまでよ、暁の話を聞かせてくれるかしら」
暁「…コーヒーでも入れてくるわ、長くなるから…みんなも飲むでしょ?」
夕張「……お願い」