食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
夕張「…って事でね、今後に向けて、ちゃんと準備の必要性が出てきた」
アイオワ「…なんで言えば良いか…私にはよくわからない、スケールの大きすぎる話だけど……それで?meは何をすれば良いの?」
夕張「アイオワが前に出した艤装の案、採用する」
アイオワ「…
夕張「今の技術力じゃできない、ちゃんとした設備がいる、その為にも、まずは試作品を作る
これは、プレゼンの前段階って感じかなぁ…」
アイオワ「…やっぱり、乗り気じゃ無い?」
夕張「そりゃぁ、まあ…こんなな、人間同士の戦争に転用してくれって言ってる様なモノだから…
私は、できればそんなことにはなってほしく無い、でも…艦娘としてより、人として戦える様になれば…差別が無くなるかもしれない」
アイオワ(……差別を完全に無くすのは、無理よ…
でも、その努力をし続けなきゃ減らす事もできないわ…)
夕張「とりあえず、主砲だけど、初期案はライフル砲で進めてたけど、
アイオワ「…
夕張「それでも、アイオワの出した案は採用できる
ほら、なんだったっけ、あのー…えっと、アイオワが動画で見てた歩行補助器具出てくるゲーム、ほら…ステルスゲームの」
アイオワ「ああ…MGS…?」
夕張「多分それ!あれを見て思ったのよ、外骨格を作れば筋力って無視できるんじゃない?」
アイオワ「…
夕張「突拍子もないと思うけどね、実は昔からそういう研究はあるのよ、ほら」
webのサイトを開く
アイオワ「これ、論文?……カナダの…へえ…こんなのが?」
夕張「体幹や筋力の補助、疲労軽減…まあ、これは陸戦メインの兵士が使うモノだけど
でも、考え方によっては使えると思う」
アイオワ「どうやって?」
夕張「もっと派手にするのよ」
アイオワ「……?」
夕張「この外骨格はね、あくまで補助でしかないのよ
だとすると、実際の戦闘でどこまで役に立つか、砲撃の反動にどこまで耐えられるか、検証していくにもいろいろ必要
だけど、そこで考えたのが、これよ」
アイオワ「……何かの設計図?…工業用ロボットアーム?」
夕張「そう、工場とかで使われてるやつ…実際、一部の戦艦級にこういうのを流用してるのよ?」
アイオワ「それは、わかるけど…?…って、
夕張「そう、手持ち式を見直して、外骨格にロボットアーム、これならコストは高いけど誰にでも操作はできる…!
それに、
アイオワ「…
夕張「やれるわ、やってみせる…技術屋の全力、見せてやるんだから…!」
アイオワ「……
夕張「で、これが実物!」
加賀「……あなた、何日寝てないの?」
夕張「え?5日くらい?」
アイオワ「6日よ…」
加賀「…とりあえず先に寝てきたら?…酷い顔よ?」
夕張「そんな暇は無いの、始動テストとか、その辺りは完了してるし、安全点検もとりあえず問題無いわ
だから、今すぐこれを上に報告して、1日でも早く実用化したいの」
加賀(このなんの設備のない環境でよくも…)
アイオワ「…夕張、ちゃんと説明した方が…」
夕張「しーっ!」
加賀「なんの話?」
夕張「…あー…あはは……実はね、資材足りてないからこれかなり欠陥品なのよ、安全面はクリアしてるけど、実戦想定の動きには耐えられない」
加賀「え」
夕張「でも、資金とか、時間とか、足りないものさえ補えれば確実に…今までの艤装を超えたものができる!
約束する!だからお願い!力を貸して!」
深く頭を下げる
加賀「ちょっ…私にはなんの権限もないのよ?」
夕張「権限のある相手につながる道も、加賀だけよ…!」
加賀「わかった、わかったから頭を上げて…!」
夕張「…お願い、でも、この話が私たちの手から離れることだけは避けたい…人間同士が殺し合う結末だけは避けたい」
加賀「……それは無理ね、あなた、寝てないから頭が回ってないのよ」
夕張「わかってる、誰でも使えて、尚且つ有用な兵器…それが人間同士の戦争に使われない訳がない…でも、それでも…」
加賀「それなら、艦娘を汚れ役にしなさい」
夕張「っ…!」
…やっぱり、そう言われるか
わかっている、艦娘しか扱えない事がその技術の戦争への浸透を遅らせることができる唯一の手段
でも、それじゃみんなが救われない、力を持っているせいで起こる差別が…
加賀「夕張、全ての問題を解決するなんて無理よ」
夕張「…取捨選択を迫るなら、私はみんなを取る、世界なんかじゃなくて」
アイオワ「夕張…」
夕張「でも、それが
だから、私は…取れる選択肢を…」
加賀「…一晩寝て出直しなさい」
夕張「.…話聞いてた?時間が…」
加賀「終戦して何年経ったと思ってるの?
…向こうが攻めてこない理由はわかってる?」
夕張「…ただ滅ぼすだけじゃ、食べ物がなくなって餓死するから」
加賀「要するに継続的に
艦娘だけを始末したい、そういう状況、ならまだ猶予はある」
夕張「…あるの?本当に」
加賀「無ければ終わりよ、でもこういう時ほど焦らない、冷静になって状況を見直す…戦の基本よ
あなた達が力をつけることをよく思わない、そういう人間が大半なのは…忘れた訳じゃないでしょうね?」
アイオワ「…はぁ…」
夕張「……どうしろっていうの?」
加賀「私には何もできないわ、大人しく寝て、考え直しなさい」
夕張「あ、ちょ…!……突き放すことないでしょ…!?」
アイオワ「…行っちゃった」
…でも、加賀には助けられないということだとしたら?
加賀が手を貸すと、上に筒抜けになる…
夕張(…ホントに、一度頭をリセットするしかない…のかしら)
北上「んー…ようやく自由だ」
天龍「長いこと拘束されてたみたいだな」
那珂「良いよねぇ、実家に帰るのは許可されるなんて」
天龍「そりゃあ、コッチは今は艦娘って立場捨ててるからな…級に失踪なんてできねぇし」
北上「羨ましいよ、全く…さて、これから西に向かうとして、明確な目標もない訳だけど…いや、あるんだったっけ」
天龍「ああ、ある」
朝霜「……」
天龍「…朝霜、オマエはケジメをつけなきゃならねぇ、青葉に会うぞ」
天龍(っても…朝霜と話してみたとこ、衣笠のことは知らねえようだし…どうしたもんか…)
那珂「でも、生活苦しいから無理やり出てきたんでしょ?戻っても…」
天龍「そういう問題じゃねぇ、大人がガキを放棄したら…こいつらはどうやって生きていくんだ?
少なくとも、余裕がなくて助けられないなら最初から手を差し伸べるなよ、途中で突き放すのがこの世で1番
北上「…まあ、気持ちはわかるけどさぁ…勝手に出て行ったのは朝霜の方なんでしょ?」
天龍「……それは、そうなんだけどよ…」
北上「1人でヒートアップしても仕方ないよ、とりあえず会いに行こう、ね、朝霜」
朝霜「…あ…ウン…」
那珂「んー…まあ、なんにしても…それなら一回京都に行きたいなぁ」
春雨「京都?」
山雲「何かあるんですか〜?」
那珂「うん、舞鶴に武器庫があるんだ」
北上「武器庫?」
那珂「そう、呉の物資を分散して保管しててね、もしかしたら私の武器とか非常食もあるんじゃないかなって」
北上「…
那珂「どういう意味それ…」
天龍「何はともあれ、まずは舞鶴!行くぞ!」
北上(…遠いなぁ…)
夕張「…はあ…眠ろうとおもったら、眠れないものね」
布団を顔までかぶって、目を閉じる
ツ級「……夕張」
夕張「何、由良」
目を瞑ったまま答える
ツ級「…夕張ハ、戦争ヲスルツモリナノ?」
夕張「…違う、もう失いたくないから、備えるだけよ」
ツ級「嘘…夕張ハ…殺ス準備ヲシテル…」
夕張「……全面戦争なんてしたら、何人失うかわからない…終わりがあるのかもわからない
戦争は、やりたくない、だけど…反撃の準備をしない理由はない」
ツ級「……」
夕張「ごめんね、由良…必要になったら……私は…由良のこと…」
ツ級「ソレハ、イイノ…納得シテルノナラ、構ワナイ…デモ、夕張…」
夕張「何?」
ツ級「……アノ、ネ…」
暁「誰かいるの?」
夕張「あっ」
布団から飛び起きる
暁「なんだ、夕張さん?…あれ?1人?」
夕張「え?な、なんで?」
暁「…誰かと話してたみたいだったから」
夕張「……あー…ウトウトしてたから」
暁「よっぽど疲れてるのね、よく休んで」
夕張「うん、ありがと……」
夕張(…はあ、びっくりした……あれ?…由良?)
夕張「…いない…?…どこ行ったんだろ」