食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
やっほー、6人旅中の北上様だよ
今の悩みは食事かなぁ、あたしはなんでも食べるんだけどさ、他のメンツはそうもいかないじゃん?
ちゃんと料理したものしか食べないだろうからさぁ…
北上「ってことで、買い物よろしく」
那珂「はい、メモ」
天龍「金は」
那珂「…えーと、ほら、すっからか〜ん」
那珂が長財布を逆さにして振る
天龍「…チッ」
那珂「街抜けたあたりで合流しようね」
天龍「これ貸しだからな!?覚えとけよ!!」
嫌そうな顔で買い物に行く天龍、そしてそれを笑顔で見送る那珂
北上「悪いねぇ…財布にまだお金入ってるでしょ」
那珂「えへへ、バレてた?」
那珂が財布からお札を何枚か取り出して見せる
お札なら財布の外から掴んでおけばひっくり返しても落ちないし、中を見なきゃバレようがない
北上(ほんと、仲悪いなぁ…)
那珂(騙したとか思ってるんだろうけど…
ほんとは虫とか食べなくて良いように助けてあげてるんだよ!北上さんの魔の手から!!)
春雨「北上さん、とりあえず琵琶湖を目指しませんか?」
北上「琵琶湖?」
山雲「琵琶湖を〜、ゆっくり、北上するのが良いと思います〜
その方が京都に行きやすいので〜」
朝霜「湖なら魚とか獲れンのかな!」
北上「まあ、難しいとは思うけど」
那珂「それより、移動手段って徒歩だよね?今がお昼前だから、2日はかかるよ」
北上「3日でみよう、その間の食事、ちゃんと持つかなぁ、どのくらい進めそう?」
那珂「うーん…とりあえず今日一日で長浜あたりまでは行きたいけど」
北上「じゃあそこ目指すかな」
…ライターは買ってきてもらうとしても、この時期は乾いた木は少ないし
生木に火をつけたら目立つから火事だと思われかねない
北上「春雨、山雲、乾いてそうな木の確保よろしく」
春雨「はい!」
山雲「は〜い」
朝霜「何すンだ?」
北上「焚き火、ご飯はあったかいのを食べれるようにね、ちゃーんと料理するから、多分山道通ればたくさん食べれる物あるし」
那珂「うわ…」
朝霜「…なんか、色々トんでるよな、この人」
北上「とりあえず、先進もうか」
天龍「買ってきたぞ」
北上「おー…水だ、あとライター、これ必須だよねぇ、ありがとね」
天龍(こいつ喫煙者なのか?見えねえけど)
那珂「あれ…調味料ばっかじゃん!!っていうかおにぎりもパンも一食分しかないよ!?」
天龍「足りねえのか?」
那珂「一食分じゃ足りる訳ないじゃん!2日は歩くんだよ!?」
天龍「………あ…?……はぁ!?」
北上「まあまあ、食べるものなんてそこら辺に落ちてるから心配しなくても良いって」
天龍(…あ、やべェ、これやらかしたかもしれねェ…いや、途中で買えば良いだろ)
朝霜「…疲れた…」
春雨「丸一日歩き通しですから…」
山雲「お腹減った…」
天龍「結局休憩も飯の一回だけ…」
那珂(確かにお腹は減った…けど、食料はもう尽きた…けど虫は食べたくない…)
天龍「…そろそろ休むか?」
北上「んー、もうしばらくで長浜あたりのはずなんだけど、仕方ない、この辺りで休もうか?」
那珂「そうだね、一晩明かそうか」
北上「じゃ、食べるもの探さなきゃだね」
那珂「うっ…」
天龍(探すって、こいつ何を食うつもりだ?周りは田畑だらけだが、まさか盗むんじゃ…)
北上「山雲〜、ここどの辺?」
山雲「ちょうど北にあるのが伊吹山地で、北は山、辺りは田んぼ……あ!少し南に降れば道の駅もあるみたいですよ〜」
那珂「え!そこで良いじゃん!」
北上「えー…」
天龍「…今の話に不満に感じる要素あるか…?」
春雨「これは北上さんのビョーキなので…」
山雲「悪い人じゃないんですよ〜…?」
北上「2人ともあたしのことなんだと思ってるの?」
那珂「まあまあ!とりあえず道の駅に…!」
北上「で、結局あたしらは置いてけぼりか」
朝霜「しゃーねーだろ、あんなにごねたんだし」
那珂「留守番組として大人しく待ってよーよ…
私達もほんとは行きたかったけど、北上さんについてなきゃだから居るんだよ?」
北上「……はぁ…あたしは子供かっての…別に良いけどさ…ん?」
何か、茂みから物音が…
北上「…お、ハクビシンじゃん」
那珂(まさか…)
北上「害獣駆除って許されるかな?」
朝霜「え?あ…どうなんだろ?」
那珂「いやダメだからね?!良識ある大人がそんな…」
北上「……ちえっ」
北上(…まあ、別に野生食がしたいってわけじゃないんだけど…でも、骨が欲しかったなぁ…細くて鋭いやつ)
朝霜「…なァ、北上サン」
北上「ん?」
朝霜「…アンタ、何をしようと思って、こんな旅してンだ?」
北上「あたしは…そうだねぇ、当ててみなよ」
朝霜「……深海棲艦絶滅…とか?」
北上「違う」
朝霜「じゃあ、復讐とか」
北上「んーん」
朝霜「……会いたい人がいるとか」
北上「そりゃあたくさんいるけど、目的じゃない…
あたしの目的は、明日明後日じゃなくて、数年先までの安心」
朝霜「安心?」
北上「…艦娘への差別が無くなれば、それが手に入るんだよ、数日分のご飯じゃなくて、ちゃんと働いて毎日帰る家があって、食べて寝て
そんな普通の生活、欲しくない?」
朝霜「…普通の、生活…?」
北上「あたし1人なら、もしかしたらすぐに実現できるかもしれない、うまく素性を隠せば、手に入るかもしれない
でも、みんなでそれを手に入れたらさ、笑ったり泣いたりもできる…最高じゃん?」
朝霜「笑ったり…」
朝霜(……アタイ、は…良かったのかな…
アタイが普通を手放す事が…正しかったのか、よくわからないや…)
北上「実はね、あたし朝霜とおんなじなんだ」
朝霜「え?」
北上「みんな、ちゃんとした毎日食べれて、寝床もある生活してる、でもあたしだけ飛び出した」
朝霜「なんで」
北上「最初は、春雨や山雲達がやられたって聞いたから、復讐の為…でも、今は…みんなの明日の…いや、もっと先の未来のため」
朝霜「もっと先の…?」
北上「……すっごいよねぇ…明日明後日どころか、今日のご飯も怪しかったあたしが…そんな先を見れるようになるなんて」
…いっぱい手に入れた
色んなものに恵まれてる…
北上「…みんなどうしてるかなぁ」
朝霜(…この人も、同じ……か…なら、あたいは…青葉さんの未来になれるのか?)
北上「難しく考えなくて良いよ」
朝霜「え?」
北上「いつだって失敗したら怒られる、とことん怒られて、ごめんなさいって謝って、もっかい失敗すれば良いよ
死なない限りそれができる、生きてるうちだけだよ」
朝霜「…生きてるうちだけ…?」
北上「後悔も、喜ぶのも、何もかもが生きてる奴の特権…あたしは、その特権をとことん使い潰す、だから…那珂のことも利用させてね?」
那珂「うん、いいよ!」
北上「……すーっ……はー…良い匂い、この匂いは…焼きそば?」
那珂「匂い?」
朝霜「全然わかんねー…」
北上「ふんふん……カップ焼きそばの匂いだよ、他には…シーフードヌードルに、しょうゆに…カレーヌードル」
那珂「鼻すご…」
朝霜「いや、出鱈目だろ…」
天龍「おーい!買ってきたぞ、カップ麺しかなかったけど」
朝霜「えっ」
山雲「見てください、ペヤング〜」
春雨「しかも、超超超大盛りです!はい!」
那珂「…あとはシーフードヌードルと醤油、カレーだったりする?」
天龍「おお、よくわかるな…そんだけ腹減ってたのか」
那珂「うわぁ…」
朝霜(鼻ヤベェ…)
北上「っていうかなんで道の駅でカップ麺?」
天龍「楽だろ」
北上「焼きそばいただきまーす…ずずっ……伸びてるよこれ」
天龍「しゃーねーだろ、遠かったんだから」
那珂「んー、やっぱカップ麺はカレーだよね!」
天龍「お、わかってんじゃねぇか、このジャガイモが良いんだよな」
那珂「わかる!」
北上「ペヤングの謎肉…あたし好きじゃないんだよね」
朝霜「おー、じゃあくれよ!」
北上「ほれ」
朝霜「あむ…お…?……あー…もろもろしてる…?」
北上「あたしかやくは入れない派だから」
春雨「お肉っぽくはないですもんね…」
山雲「…ん〜、おいひぃ」
朝霜「醤油ちょっとくれ!」
山雲「はい、どうぞ〜」
那珂「あ!シーフード一口ちょうだい!」
春雨「じゃあカレーと交換です!」
北上「むぐむぐ…ふぅ……これ、量多いな…」
天龍「そりゃそうだろ」
那珂(三分の一くらいしか減ってない…)