食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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四十八食目

うぅ〜…北上様だよ…メッチャ体調不良…

ちなみに再生した左手が麻痺してるのは観測者(オブザーバー)のみんなは知ってるのかな…?

まあ、心配かけたくないから少しの間黙っとこうかな…治るかもだしね!

 

閑話休題(それはそれとして)

 

那珂「へぇ、加賀さん達って舞鶴の出身だったんだ?」

 

北上「みたいだね、いやー、驚きだぁ」

 

春雨「あの…」

 

山雲「それよりも…」

 

天龍「牢屋の中に入れられてる事実の方が驚きだと思わねぇの?」

 

北上「いや、全然予想通りだよ、あんな街のそばでドンパチやっといてさ、そのまま逃げるにも体力は残ってないし…捕まるしか無くない?」

 

天龍「いやそうだろうけどよ」

 

那珂「あと牢屋じゃ無くて留置所だからねここ」

 

天龍「何が違ぇのかわかんねぇんだけど?」

 

那珂「まだ逮捕というか、犯罪者にはなってないってこと、あと2日後くらいになるだろうけど」

 

天龍「一緒じゃねえか」

 

北上「……」

 

…左腕の感覚、肘までは問題なく動く

そこより先は感覚が無い、触っても何も感じられない

正座で痺れた足を触った時の様な感じすらない

 

北上(神経通ってないのかな、血も通ってない?

…手首は肘の回転とか、振って動かせるからある程度の誤魔化しは効くけど…)

 

天龍「おい、左手が痛むのか?」

 

北上「えっいや…そんな事ないけど」

 

天龍「…いやに気にしてるだろ、なんかあんのか?」

 

北上「…あー…まあ、無くなった腕が再生したの初めてだから…こんな感じかぁって」

 

那珂「…なんで山城さん庇ったの?北上さんめちゃくちゃキレてたよね…?あの人に」

 

北上「自然と身体が動いた…なんて言えればカッコいいんだろうけど、あの化け物倒すには…体内狙うしかないと思ったからさ

それに、何も見殺しにする必要は無かったし…それにほら、あたしらは生きてれば修復剤使えるじゃん?」

 

那珂「怪我に対する考え方が軽い…!」

 

北上「そー?」

 

春雨「いや、軽いですよ…昔から…」

 

山雲「かなりとんでもないです…」

 

北上「…悪かったって、改めるよ」

 

那珂「無謀な戦い方してるとは思わないけどね…致命傷は避け続けてるし、あの吹っ飛ばされた時も…まあ、あれは怪物の腕力がおかしかったよね…」

 

北上「あ、うん、それはホントに死んだと思ってた

瑞鶴が助けてくれなかったら…まあ死んでたよね、琵琶湖まで見えたもん」

 

天龍「ホントに何が起きてるんだそれ」

 

北上「ん…?」

 

扉が開く

 

警官「出てください、事態の正当性が確認できたので、帰っていただいて結構です」

 

北上「おお、そんな事あるの?」

 

那珂「正当性…?いや、襲われたのこっちだから正当性しか無かったけどさ…」

 

警官「取り調べ、現場の情報、さまざまな点から正当防衛であることが証明されました」

 

春雨「正しいはずなんですけど…なんて言うか、こうもあっさりだと怖いですね…」

 

天龍「なんでもいいしさっさと出ようぜ」

 

警官「あ、すみません」

 

天龍「あァ?」

 

警官「貴方の所持品に艤装が有ったのですが、そちらは携行品ですか?」

 

天龍「ンなもん…」

 

北上「違うよ、あそこで拾っただけ」

 

那珂「うんうん!艤装は全部放棄してるから!」

 

天龍(あ、ヤベ……あっぶねぇ〜…)

 

警官「そうですか、では手続きが」

 

 

 

 

 

 

北上「はあ、出れた」

 

天龍「……」

 

那珂「ねえ、なんでそんなに悲しそうな顔してるの?」

 

天龍「刀…」

 

山雲「天龍さん、あきらめた方が〜」

 

朝霜「しゃーねーよ、艤装は本来持ち歩けねえんだし」

 

那珂「でもアレは惜しかったね…砕くくらいのつもりで使ったらあの怪物の両腕スッパリ斬れて驚いちゃった」

 

天龍「当たり前だろ、生体ユニットの最新技術たっぷり詰め込んだオーダーメイドだぞ、作れるのもこの世でただ1人、明石だけだ」

 

北上「明石?」

 

天龍「佐世保の生体ユニット関係に強い方の技術者だ、艤装に強いのは夕張」

 

北上「連絡取ってみようか」

 

天龍「…あ?…無理無理、前に別れて以来音信不通で…」

 

那珂「今横須賀だよ、夕張さん」

 

北上「明石は東北の方にある」

 

天龍「マジか!知り合いかよお前ら!頼む!連絡取ってくれ!!」

 

那珂「……あれ?携帯繋がらないや…」

 

北上「忙しいのかな、とりあえずまた後でかけ直そうよ」

 

天龍「しゃーねーな」

 

 

 

 

 

那珂「で、あの…」

 

天龍「…なんでまた投石ひもなんか作ってるんだよ?

追っ手がまだいるのか?」

 

北上「え?いや、お腹減ったから」

 

春雨「あー…」

 

山雲「…朝霜ちゃん、乾いた木を探さないと〜」

 

朝霜「え、あー…?」

 

那珂「ちょっと待って?」

 

天龍「何始める気なんだ?」

 

北上「日本ってさ、動物愛護法で基本的に狩りは禁止なんだよね、でも緊急避難って言ってさ、生きる為のやむをえない行為は許されるんだよ」

 

天龍「お、おい、まさか…」

 

右手で投石ひもを回し、離れたところにいる鳥を狙い投げつける

 

那珂「あ、当てちゃった…」

 

北上「流石に鳥でも時速170キロ越えはかわせないよね」

 

天龍「お前…警察に捕まっとけよ…」

 

北上「何言ってんのさ、これでご飯が食べられるんだよ?

ほんとは狸とかが良かったけど、鳥肉が食べられるんだからさぁ…」

 

那珂「でもあれ…カラスじゃない?」

 

北上「だね、美味しいよ、カラス」

 

那珂(うわぁ…)

 

天龍(こいつヤベェよ…)

 

北上「ちなみに、包丁がないときは石を叩き割れば鋭利な部分を刃物代わりに使えるからね

それで捌いてよ」

 

天龍「お前がやれよ!?」

 

北上「あたしは他に山菜取りに行くから、下処理くらいしてくれる?」

 

那珂「うぅ…ヤダぁ…!」

 

天龍(帰りてぇ…カップ麺超食いてえ…)

 

北上「とりあえず、羽だけでもむしっておいてよ?」

 

 

 

 

春雨「…北上さん…」

 

北上「あー、うん、ごめん、カラス賢いからね」

 

那珂「…うぅ…」

 

天龍「襲われたから…やむを得ず…だよな、これ…」

 

あたしが離れた後、カラスの群れが2人を襲撃…

その結果として…

 

北上「…ほ、ほら、2匹増えたよ!やったね!」

 

天龍「喜べるかぁ!!」

 

那珂「…食欲無い…」

 

朝霜「この2人がこうなるなんて…」

 

北上「まあ、いいや」

 

朝霜(まあいいや!?)

 

北上「山雲、春雨、下処理」

 

山雲「は〜い…」

 

春雨「わかりました…」

 

北上「2匹食べて、残りは干し肉にしよう、懐かしいなぁ…昔はサメの干し肉とか食べたんだよね」

 

朝霜(さ、サメ……なんだこの人、ホントに現代日本人なのか?)

 

北上「あたしは、お湯を沸かして……あ、鍋も何も無い」

 

春雨「ペットボトルごといきますか?蓋を開けて直火にかければ溶けませんし爆発もしませんよ」

 

北上「そうするかな」

 

ちなみに今、あたしの手元には調味料各種が揃ってる

これは岐阜出る時に天龍に買わせた奴だね

 

ここにセリ、コゴミを入れて湯掻く

 

タラの芽も取ってきたけど、こっちはカラスのお腹に詰めて焼こうかな

 

北上「セリとコゴミは柔らかくなったら醤油と砂糖で軽く炊いて、火から外して味を馴染ませる

タラの芽と、適当な葉っぱは細かく違って、塩で揉む

出てきた汁は捨てて、醤油を垂らしたら内臓を取り除いたカラスに突っ込んで、全体に塩してそのまま火にがけるよ」

 

春雨「残りの2羽はどうしますか?」

 

北上「1匹は薄く切って焼いて干し肉にする、もう1匹は…」

 

解体して、小さく切った身を枝に刺す

塩をかけたり、醤油と砂糖のタレをかけたりして…

 

朝霜「おー!焼き鳥じゃん!」

 

北上「ん、そういう事…あ、串に使う枝、毒が無いか注意してね?」

 

山雲「は〜い」

 

天龍(普通にうまそうなのが腹立つな…)

 

那珂「あんなグロい光景見たとこなのに…その上襲われてたのに…うう…醤油の焼ける匂いが…」

 

北上「…2人とも食べないの?」

 

那珂「あーもう!いただきます!」

 

天龍「…食うか…」

 

朝霜「あぐっ…む?…んー、ウマい!」

 

春雨「新鮮なので臭みもそこまで無いですね」

 

北上「はむ…」

 

塩だけの方を食べてみたけど…うん

生臭い感じがする、こいつ生ゴミ漁ってたのかなぁ…

 

北上(前に食べたのは本当に山奥にいたからか、ここまで臭く無かったのか)

 

山雲「このお肉だと〜、タレの方が合いますね〜」

 

北上「だね」

 

北上(臭みもマシになるし)

 

コゴミとセリの煮物を食べる

 

北上「んー…こっちはこっちで悪く無いけど、すこし煮過ぎたかな」

 

那珂「はむ…確かにクタクタかも、でも美味しいねこれ」

 

春雨「はい!ただ、火加減が難しい環境だったので仕方ないですよ…」

 

天龍「で?この丸焼きは」

 

北上「そりゃあ、こうやって…」

 

モモ肉を骨ごと引きちぎる

 

北上「ね?」

 

天龍(……まあ、だと思った…)

 

北上「お、こいつクサくない」

 

天龍「ん!マジじゃねぇか!こいつはいける!」

 

朝霜「皮の部分が脂でパリッとしてて最高だな!」

 

北上「あむ……んー…ここに中のタラの芽とか適当な草を乗っけて…おお、意外と美味しい」

 

天龍「意外とってなんだオイ、不味くなると思ってやったのかオイ」

 

北上「いや、まあ、もしかしたらなるかなぁって感じはしたよね」

 

天龍「オイ」

 

那珂「まあまあ!美味しければいいじゃん!」

 

 

 

 

北上「ふぅ…食べた食べた…」

 

春雨「干し肉、もう少しでしょうか?」

 

北上「このまま一晩放置しよう、でも時期的に雨が降ったら…すぐに食べないと(いた)むなぁ…」

 

那珂「湿度も高いし、無理なんじゃない?」

 

天龍「もうそれも食おうぜ」

 

春雨(あんなに食べるのに拒否感を示してたのに…)

 

山雲(すっごく食べたそう…)

 

北上「ダメだよ、大事な保存食…って、あ」

 

今雨粒が…

 

北上「…食べてよし」

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