食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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八枚目

大淀「仕事はどうですか?メイドカフェのバイトでしたよね」

 

青葉「生活指導みたいなこと言わないでほしいなぁ」

 

大淀「あなたの人生では無いので、しっかり管理しようかと」

 

青葉「……ま、そうだよね、そりゃそうだ」

 

衣笠はもうすでに死んでいる

衣笠の人生など謳歌しようと思う方が間違いだ

 

青葉「でも、無理やりどうにかしようとはしないんでしょ?」

 

大淀「青葉さんのことは気に入っていますからね、まるで昔の私を見ているようで」

 

青葉「それは、つまり…っと」

 

腹部に固いものが押し当てられる

…見なくても、間違いなく銃だろう

こういう時は目を合わせてはいけない、声を発してはいけない、殺されないように、息を殺して…

 

大淀「余計なことは言わないでもらえますか?気が変わりそうです」

 

青葉「こっわ〜…」

 

大淀「思っても無い事を」

 

青葉「…死ぬのは怖いよ、何回死んでも怖い…だからこれは本心」

 

大淀「そうですか」

 

青葉「…でも、凄いんだよ、死ぬって分かってても、あの時、青葉が居てくれたから…

怖さが薄れた、1人で孤独に、絶望しながら死なずに済んだ…それって凄くない?」

 

大淀「……嫌味ですか」

 

青葉「大淀さんが見殺しにした人は、どう思ったのかな?」

 

大淀「…私を恨んでいるはずです、そうであるべきです」

 

青葉「それはあなたの価値観でしょ?…ホントにそう?」

 

大淀「…嘘つきは、お互い様…か…良いでしょう、それについては目を瞑ります、ですが、では私には聞かせてください、あなた達の真実を」

 

青葉「……どういう意味」

 

大淀「言葉の通りです」

 

青葉「…貴方から言われてる仕事はちゃんとこなしてるよね?バイトだってやってるよ、ちゃーんとまだ続いてる」

 

大淀「…時代が変わりつつあります、明日がどうなるかはもはや誰にもわからない」

 

青葉「そんな勝手な話…」

 

大淀「世界とは、えてしてそういうものではありませんか」

 

青葉「……」

 

 

 

 

青葉「お疲れ様でした〜」

 

大井「…お疲れ」

 

青葉「あ、私アイス食べに行きますけど来ますか?先輩」

 

大井「…気持ち悪いから喋り方変えるのやめてくれない?」

 

青葉「釣れないなぁ…大井さんそんなんだとハゲるよ?いや、白髪だらけのおばあちゃんになっちゃう?」

 

大井「ストレスだとしたら誰のせいだと…」

 

青葉「大体、衣笠さんはなーんにも、悪いことしてないんだから…目くじら立たない立てない!ちゃ〜んと青葉のために仕事もしてるんだから」

 

大井(…知ってるわよ、この後寄り道したり、買い物して、帰宅途中に決まって見失うんだから…

…何回も尾行して、何回も見失って…アンタの異常性にはよく気付いてる)

 

青葉「さて、お先です!っと」

 

 

 

 

衣笠「ふんふふ〜ん…と」

 

ワッフルコーンに乗っかったアイスをかじる

チョコレートの風味が口いっぱいに広がる

 

衣笠(大井さん今日もついて来てるのかなぁ)

 

スマホを取り出し、視線を落とす

…どうやら来てないらしい

 

衣笠(なら買い物はあとでいいや、荷物になるし)

 

衣笠「はむ…パリッ…むしゃ…」

 

少し溶けたアイスがコーンにたまって、それをかじるのがたまらなく好きだ

バニラ系よりも、チョコの方がしっかりとした食感がある、だからコーンと一緒に食べるとより美味しく感じる

 

青葉「…あーむっ…もう無くなった…これ以上食べたらこの体が太っちゃうかなぁ…」

 

適当な路地に入り、上から黒いライダージャケットを羽織る

 

青葉(…さて、と…いたいた)

 

路地から出てしばらく歩いて、見つけたのはガラの悪そうな男と、インテリなサラリーマン風の男

2人とも、青葉を雇ってた建設関係の組の元締めのヤクザだ

 

青葉「…人通りもないし、大丈夫かな」

 

目出し帽を被り、槍を起動して握る

背後から音を立てずに迫り、ガラの悪い方の後頭部を槍でぶん殴る

 

ヤクザA「ぁがっ!?」

 

ヤクザB「な、なんだ!」

 

青葉「ふっ!」

 

槍を振り回し、ぶっ叩き、反応する前に…

叩き続ける、金属製の棒で、遠慮も容赦もなく

刃の部分だけは当てない、動きが鈍ったらとことん大振りに勢いをつけて、骨を叩き折るように、関節を砕くように

 

青葉「…ふう」

 

ヤクザA「うがぁ…うぁ…」

 

ヤクザB「ぐぁ…あ…」

 

青葉(骨の何本かは折れてるかなぁ…まあ、いいか)

 

倒れてるヤクザを踏みつけて、蹴り飛ばし、その場を立ち去る

覚えてろとか、なんだか言われてる気がしたけど…アレが被害届なんか出せるわけないし、問題無い

 

青葉(正体はそろそろバレてもおかしくないけど)

 

青葉「…あれ?」

 

歩道を歩いていたらすぐ隣に大型の車が止まって…

 

葛城「乗りなさい」

 

青葉「葛城…何?何の用?」

 

葛城「アンタが言い出したんでしょ」

 

青葉「…あー、もう木曜日だっけ」

 

葛城「早く」

 

青葉「はいはい、衣笠さんも暇じゃない…こともない、ってことか…」

 

 

 

 

 

青葉「ぐっ…がぁっ…!」

 

容赦なく、木刀で背中を殴られる

倒れても、兵士2人に脇を掴まれて立たされる、そしてさらに殴られる…

 

青葉(…痛い…目眩が…)

 

腹部に蹴りを入れられ、胃液が込み上げる

 

青葉「ごふっ…おげっ……っ…は…ぁ…」

 

床の上に捨てられて兵士たちが離れる

 

葛城「もうやめる?」

 

青葉「…ま、だ…」

 

木製の槍を掴み、それを支えに立ちあがろうとしたところに、背中への打撃、そして踏みつけるような蹴り…

抵抗を一切許さない、容赦の無い攻撃…

 

青葉「っ…ぐぁ…!…いっ…」

 

 

 

 

 

青葉「……」

 

…立ち上がれない…

明日から3日間の連休を取ってある、だから十分に体を癒す時間はある…

 

青葉(とりあえず…うん…顔も手も、素肌が見える位置は…今回も避けてくれてる…)

 

葛城「あのさ、衣笠」

 

青葉「…何?」

 

葛城「最初にも言ったけど、いくら接近戦限定にしても、何年も格闘術や剣術の指南を受けてきた隊員を相手に特訓するのは無茶よ、身体を壊すだけ」

 

青葉「…だから、こうやって骨も折れないように加減してもらって…うっ…ボディアーマーも着こんで、やってる」

 

槍を支えに、ふらふらと立ち上がる

 

葛城「…はぁ…」

 

葛城がため息をついて、俯いた瞬間走る

 

青葉(コンパクトに、隙を無くして…っ)

 

葛城「遅い」

 

平手を顔面に受け、勢いのまま床を転がる

 

青葉「っ…ぅぐ…」

 

葛城「…素手や刀から始めない?私達も槍には詳しく無いし、今のままじゃ…本当に強い敵と相対した時、死ぬだけよ」

 

青葉「…お気遣い、どーも…!」

 

葛城「このやりとりも…何回目だっけ」

 

立ちあがろうとしたところを蹴り飛ばされる

 

青葉「…っ…く……う…」

 

葛城「…意識が落ちた、いつもの場所に置いてきて」

 

兵士A「わかった、お疲れ」

 

葛城「お疲れ様でした」

 

 

 

 

青葉「……は…ぁ…」

 

目を開く

…人通りの多い、公園のベンチ…隣には私服の女性、いや、さっきまで相手をしてくれてた兵士

 

青葉「…起きた、もういいよ…」

 

兵士が立ち上がり、どこかへと歩いていく

 

…また今日も1人になれた

身体中に湿布が貼ってあるから嫌に寒い

スーパーで買い物をして、帰って

 

青葉「…♪」

 

残ってる時間はどれくらいだろう?

私に許された今の自由は、あとどのくらい…

 

 

 

 

青葉「ふんふんふふ〜ん…♪…いたた…」

 

ポットの親をお椀に入れて、その中に安売りのほうれん草をちぎって入れる

 

フライパンに胡椒を振って、火をつけて香りを出して、そこに乾麺のパスタを入れて…

ほうれん草とお湯を回しかける…

少しずつパスタが柔らかくなって、全体がお湯に浸かった頃に、安売りのハムをちぎって入れて…

塩を入れて、味を調整して…

 

青葉「…牛乳が確か…よっ…いたっ……あちゃー…一昨日(おととい)までだ…まあいいや…」

 

コップに牛乳を入れて、小麦粉を少し

よーく混ぜたらフライパンに入れる

砕いたコンソメも入れて、とろみがついて、パスタの芯が無くなったらお皿に盛り付けて

 

青葉「いただきまーす…うん…おいしい…でも、砂糖足した方が良かったかなぁ…」

 

…お腹を満たして、空っぽのクローゼットとお話しして

 

青葉「…ふふっ…もう少しだよ、ふーっ…ちょっと出かけてくるね」

 

 

 

 

 

龍驤「…おん…?」

 

青葉「お久しぶりです!龍驤さん!」

 

…店のシャッターを閉めて、帰る準備をしてる龍驤さん

 

龍驤「…2度と顔見せんなって言うたやろうが」

 

顔を背けて、帰り支度を黙々と続ける龍驤さんの背後から近づく

 

青葉「龍驤さん」

 

龍驤「やか…っ」

 

シャッターに槍の先端が突き刺さる

 

青葉「最近大変ですよね、面倒を見てくれてる組の人が次々に襲われて…短期間でたくさんやられて」

 

龍驤「…なんや、これは…」

 

青葉「犯人、私なんですよ」

 

龍驤「……」

 

青葉「貴方のせいなんですよ?私を騙して、散々甘い汁を啜ったんですから…ね?」

 

龍驤「やったら、なんやねん、殺すんか、ここで」

 

青葉「今じゃありませんよ、もっと、もー…っと、追い込んだから殺します」

 

槍を引き抜く時に、龍驤さんの首筋に赤い筋が走る

 

龍驤「あんま、舐めんなや…」

 

青葉「…どうしたんですか?全く怖くありませんよ?

脅したいなら…そうですね…」

 

槍の後端で龍驤さんの顔面を殴りつける

 

龍驤「っぐ!?」

 

棒の部分で殴りつける

骨を折らないように加減をして

 

青葉「ちゃんと、痛めつけてから言わないと…脅しにはなりませんよ?」

 

龍驤「くっ……うっ」

 

槍を短く持ち、刃先を龍驤さんの眼前に持っていく

 

青葉「…また来ます、経営頑張ってくださいね、お大事に?」

 

恐怖か、怒りか、歪んだ顔を携帯のカメラに納め、その場を去る

 

青葉「…青葉、忘れちゃダメだよ、2人も殺した時点で…宣戦布告は済んでるんだから」

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