食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
龍驤「…」
龍驤の
青葉(え…)
特徴的な発動機とプロペラの音…
青葉「艦載機…!?」
龍驤「久々に動かすけど…いけるもんやなぁ…なぁ!?」
武装はないのか撃ってこない、でも…
青葉「うぐ…!?」
主翼をぶつけられ、地面を転がる
プロペラに当たっていたら当たった場所はミンチになってただろう…
青葉(…致命傷は避けたけど、このままじゃ…!)
立ち上がった槍を振っても当たらない
かわそうとしてもしつこく追いかけてきて、逃げきれない
青葉(一機だけなのに…全然対処できない!)
でも、武装もない一機だけ
多分、他に機体は無い…
青葉「やあぁぁっ!!」
龍驤「アホが」
正面の艦載機へと槍を振り下ろそうとしたのに…背中から…
青葉(もう、一機…!?)
顔面から地面にぶつかり転がる
龍驤「どないしたんや?え?…聞いとったよりえらい弱いやないか!」
近寄ってきた龍驤に脇腹を蹴り上げられ、うずくまる
青葉「ぐふっ…う、く…」
龍驤「やっぱ後ろから闇討ちせな勝たれへんか?」
青葉「…卑、怯なのは…お互い様…でしょ…!」
槍を杖の様にして立ち上がったところに、艦載機がぶつかってくる
青葉「ぁぐっ!…く…うぅ…」
龍驤「卑怯か、卑怯者でええわ、ウチは所詮そんなもんやからな…プライドなんかもうないし、やれる様にやって、生きたい様に生きて…!
やのに…お前なんかに、泥塗られてたまるか!」
また、蹴られる
執拗に、ねちっこくいたぶられる…
青葉(…耐え、なきゃ…死ぬ……こうなったら…一緒に破滅して…でも…)
那珂「ねえ」
龍驤「っ!」
打撃音が響き、急に蹴りが止む
龍驤「…っ…!…なんやお前、余計な手出ししたら…」
那珂「もうしてるよ、ほら」
…周りに倒れてる男達…気絶してる…?
龍驤「…なんやねん、お前…!」
那珂「何って、同じ艦娘だよ、まだそこまで堕ちてないだけで」
龍驤「ッ…!…知った様な口…!」
那珂(また、突っ込ませてきた)
2機の艦載機がほぼ同時に蹴りで撃ち落とされる
龍驤「……は……?…っ…こいつ…呉か」
那珂「あ、わかる?…そうだよ、日本最強の呉艦隊」
龍驤「ははは…クソッ!クソが!!もうええ!どうにでもなれや!」
青葉「っ…!?」
那珂(まだ、こんなに隠し持って…!)
龍驤の
10機ほどの艦載機が那珂さんの方に突っ込み、そして、幾つかが目の前で炸裂して…
那珂「ごほっ!…目隠し…?!…見えない…!」
青葉「!」
地面に倒れてたから、煙の隙間から
青葉(逃がさない!)
絶対に…絶対に捕まえる
ヤクザA「おい!逃げたぞ!」
ヤクザB「追え!…うごぁっ!?」
ヤクザA「なっあがっ!?」
那珂「ああもう!追わせる訳無いじゃん…!」
龍驤「はっ…はっ…クソッ!」
青葉「待て!待てぇ!!」
龍驤「来んなやボケ!!」
青葉「っ!この…!」
槍を筒に戻して思いっきり振りかぶり、投げつける
龍驤「うぁっ!?」
青葉「…追いついた…」
無様に転がった龍驤に馬乗りになり、拳を振り下ろす
何度も、何度も…
龍驤「……」
青葉「はあっ!…はあっ…!」
…どれだけ殴っただろう
両手についた血が、龍驤のものなのか、私の手からの失血なのか、わからない
青葉「…ふぅ……はぁ…」
槍を拾い上げ、展開する
龍驤は真上を見て、目を閉じる
死ぬことを受け入れてるみたいに…
青葉「…はぁ…はぁっ…!」
鼓動が、早い
思えば…こんな事をするのは…面と向かって人を殺すのは…
青葉「うっ…!…うあぁぁぁっ!!」
初めてだ
那珂「……はぁ…」
足元に転がってる拳銃を蹴り飛ばし、辺りを見渡す
那珂(20人くらい…?…1人相手に出てくる量?
昨日の夜襲もてっきり女の子の一人暮らしを狙った何かだと思って気に留めてなかったけど…
ホントに守ってよかったの?青葉って人、ホントにカタギ?)
春雨「…強いです…北上さんみたい…」
山雲「うん…」
那珂「ありがと!でも、北上さんみたいって言われるのは…うん、あんま嬉しくないかも」
山雲「あ、あらら…」
春雨(絶対に食性の部分がイメージ落としてる…)
那珂「…さて、警察来る前に逃げようかな…っていうか、流石に遅すぎない?」
最初の発砲からかなり時間が経っている
…なのにサイレンも聞こえてこない
都合はいいけど、これは…
那珂(…なんか変かも、それに…さっきの男達が追いかけようとしてたのは…)
春雨「…あの、青葉さんを追いかけませんか?」
那珂「…そう言えばそうだね、確かめなきゃ…どっち行ったかわかる?」
山雲「確か、向こうのほうに…」
那珂「よし、行こう」
少し走ったあたりで、悲鳴…というより、絶叫する様な声が響く
那珂「…!」
春雨「近いです!」
那珂(声が聞こえる…でも、さっきと違う…?まるで、怒ってるみたいな…っていうか、この声…)
那珂「居た…って…」
春雨「っ…!」
山雲「ぁ…」
青葉「……」
…何…?
なんで、槍を振り上げたまま止まって…
龍驤「…いつまで、待たせんねん…さっさとやれや」
青葉「……」
槍が音を立てて地面に落ちる
青葉「…なんで?…どうして…?」
青葉がゆっくりと立ち上がる
青葉「おかしいよ…なんで許すの…?…こいつ、悪い奴だよ…?たくさん傷つけられたのに…
青葉…ダメだよ…おかしいよ…」
那珂(この人…何言って…?)
青葉「……良いの、良いんだよ、ガサ…私はもう大丈夫だから、だから、もう頑張らないで」
青葉が龍驤の方に手を伸ばす
青葉「立てますか…?ごめんなさい…こんな事になって…」
龍驤「…何言うとんねん…お前…」
青葉「本当にごめんなさい…その…私、知ってます…龍驤さんが優しいの」
青葉が龍驤の体を抱き起こす
龍驤「やめろ…触んな…」
青葉「…本当は、私を助けようとしてくれたんですよね…?…殺すつもりなら、動けなくするつもりなら…簡単にできましたよね?」
龍驤「違う、ウチは…」
那珂「ねえ、外野が口出して悪いんだけど」
春雨「警察来てるみたいです…!」
山雲「…どうしますか?」
那珂「話がしたいなら場所を移してからでも良いよね?」
青葉「はい、私も…皆さんとお話がしたかったんです…私の部屋まで来てくれますか?」
那珂「いいよ、その人貸して、運ぶから」
龍驤「やめろ!離せ!」
那珂「ちょっと寝ててね、きゅっ」
春雨(く、首を…)
山雲(…し、死んでるみたい…)
青葉「戻りました」
那珂「ただいまー…って…何やってんの」
…クローゼット開いてるし、他の収納も開いてるし…
北上「いや、こっちのセリフ、なんでそんな血まみれなの」
青葉「……あ…」
青葉が寝ている朝霜のそばに行き、座る
天龍「おい…」
…静かに、頭を撫でる
何度も、何度も…
青葉「…おかえり…」
北上(……違う、今朝と)
天龍「…こりゃ、疑いようも無ぇな…」
青葉が立ち上がり、北上さん達の方に向き直る
青葉「朝霜ちゃんを連れてきてくれて、ありがとうございました…ご迷惑をおかけして、すみませんでした」
深々と頭を下げてのお辞儀
北上「…あんたが青葉、か…てっきり隔離されてるのかと」
青葉「…わかるんですね、すごいです」
那珂「なになに?話が見えて来ないんだけど」
春雨「二重人格…って事ですか?」
青葉「そう思ってください、その…みなさんも、面倒ごとに巻き込んでごめんなさい」
北上「そういや、那珂は何をおぶってるの?死体?」
那珂「多分死んでないよ、なんか…ガラ悪い元艦娘」
北上「ふーん……どっかで見たような気もするけど」
天龍「知り合いか?」
北上「……よく思い出せない」
青葉「あの」
北上「ん」
青葉「…体調が悪いのはわかってるんですけど…それでも、早くここを出て行ったほうがいいと思います、ここは危ないので」
天龍「お前はどうするんだ」
青葉「…自首します」
那珂「自首?」
青葉「…実は、人を…殺してしまった事があるんです」
北上「どう言う意味」
青葉「なりゆきです、ただ、私は誤ったことをしてしまった、なので…」
北上「朝霜は」
青葉「…連れて行ってあげてくれませんか…?
私は、もうそばにいてあげられません…危険な目に合わせたくないんです」
那珂「さっきみたいな、って事?」
青葉「…私は、その…いわゆる、ヤクザに手を出してしまったんです…そう言う組織に手を出したら…真っ当に生きるのは…無理です」
天龍「驚いたな…お前にそんな度胸があるようには見えねえのに」
青葉「…だから、なりゆきなんですよ」
山雲「…どうしますか?」
那珂「北上さん決めていーよ」
北上「え、あたし?」
那珂「那珂ちゃん疲れちゃった、そっちの2人に責任持たせるには酷だし」
山雲「あー…」
春雨「えーと」
那珂「天龍さんに任せるのはなんだかなー」
天龍「どう言う意味だコラ」
那珂「…どうする?これから」
北上「……どうするったって…どうしよう…」
那珂(…もしかしたら…だけど…どうかな?)
北上「ねえ、青葉、あんたの中にいたのは衣笠ってのでいいんだよね?」
青葉「はい、まだ居ます」
北上「……話させてくれる?」
青葉「……わかりました」
青葉「何、衣笠さんに何の用?文句でも言いたい?」
北上「いや、なんだかさ、色々引っかかってさ…
でも、やっぱり…うん、アンタら似てるんだなって思った」
青葉「……」
北上「青葉を助けたかったんでしょ?1人にしたくなかったんだ」
青葉「…何、それ」
北上「だって…青葉のフリをして振る舞う理由なんて他にないでしょ、あんた自分が消えるつもりだったんだ
あの時、天龍が入ってくる前に言いかけた事…「
青葉「……意味わかんない…なんで…」
北上「衣笠」
衣笠がゆっくりとこちらを見る
北上「あたしは今、衣笠と話してる…アンタを見てる…だから、言ってみなよ…アンタがどうして欲しいのか
青葉じゃなくて、アンタから聞きたい」
青葉「…助けて、青葉を…青葉の人生を不幸にしたくない…!私は…青葉を幸せにしたい…!」
天龍「衣笠…」
北上「…おっけー、あたしは助けるよ、そうすれば朝霜も青葉と一緒にいられるじゃん?」
那珂「さっすが、カッコいいなぁ…」
春雨「で、でも!どうするんですか?」
北上「…この街出るしかないんじゃない?いいよね?」
衣笠が頷く
北上「朝霜拾ったのは
青葉「…わかりました」