食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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目標

大淀「…お待ちしてました」

 

暁「久しぶりね」

 

アイオワ「Hello 時間をとってくれてありがとう」

 

大淀「おや…?複数人で来るとは聞いていましたが、肝心の夕張さんの姿が見えませんね」

 

阿武隈「それが…その、ちょっとトラブルと言いますか…夕張さん、最近はこもりきりで…」

 

大淀「…艤装のプレゼンのために来たのに、その開発者本人が不在ですか…」

 

阿武隈「すみません…」 

 

大淀「構いませんよ、夕張さんも馬鹿な人ではないことは知ってますから、明石さんあたりに様子を見てきてもらいます…おや、その方は?」

 

荒潮「……あの…」

 

満潮「今ウチで面倒見てる子よ」

 

如月「報告は…」

 

大淀「はい、聞いています…しかし…」

 

大淀(…痛々しいですね、髪を引きちぎった痕に、引っ掻き傷だらけ…)

 

如月「会いたい人が居るらしくて…」

 

荒潮「…お願い、します…」

 

大淀「構いませんよ、案内の者を後でつけましょう」

 

川内「ところでさ、質問なんだけど」

 

大淀「川内さんに神通さんまでこちらに?」

 

川内「そりゃ、高速バスなんかわざわざ出してきたらみんな乗るでしょ、全員乗っても余裕なんだし」

 

大淀「かもしれませんね」

 

川内「で、北上は?」

 

大淀「北上さんですか…実は昨夜、私の友人の家に泊まったのですが…その際に寝込みを暴漢に襲われまして」

 

暁「殺しちゃった?」

 

阿武隈「流石にそこまではやらないですよ…」

 

川内「ねえ、そこは北上の心配しない…?」

 

大淀「まあ、皆さんの予想通り簡単に撃退、したは良いんですが…実に面倒なことになってしまいまして」

 

阿武隈「面倒?」

 

大淀「その暴漢というのが、ヤクザの手のものでして、しかもその家主がヤクザに狙われていて、那珂さんがヤクザに手を出しちゃいまして」

 

川内「ええ…?」

 

大淀「まあ、とりあえず無事は無事です、厄介ごとにはなりますけどね

しかし…どうして先輩はいつもいつも騒動の渦中にいるのでしょうか」

 

暁「望んでる訳じゃないのよ?」

 

阿武隈「大淀さんも結構巻き込む側な気が…」

 

大淀「…そうでしたね、さて、これだけ戦力がいるなら…色々やれそうですね」

 

川内「…なんのつもり?」

 

大淀「パーティーでもしますか?ゲームに、料理のデリバリー…なんて、雰囲気ではないですよね?」

 

暁「楽しそうね、大淀さん」

 

大淀「ええ、上手くいかないことだらけなもので.会議室にどうぞ、国家機密を赤裸々に語るにはここではちょっと」

 

暁(よっぽど煮詰まってるのね…)

 

 

 

 

 

大淀「みなさんが新型艤装のプレゼン及び、観光や何かしらの目的をもってここに来たのは別に構いません、ですが、先に私の話を聞いてもらいます」

 

アイオワ「…どういう話?」

 

大淀「これからのプランについてです」

 

川内「プラン?」

 

大淀「深海棲艦を、拒絶しましょう」

 

アイオワ「拒絶って…?」

 

暁「…わかりやすく言えば、差別よ」

 

阿武隈「へ…?」

 

大淀「相変わらず、話が早いですね

そうです、深海棲艦を差別します、今、法的に、武力的に深海棲艦を追い出すことはできません、この人間社会において、深海棲艦は認められてしまった存在ですから」

 

川内「差別で追い出す…か」

 

アイオワ「……うまくいくの?」

 

暁「結果は重要じゃないわ、要するに…戦争を起こす前準備だから」

 

大淀「……」

 

川内「ああ…要するに少しでも反感を生み出せればそれでいいんだ?」

 

大淀「結局のところ今の私たちに必要なのは、大義名分です

戦争にはそれが必要ですから……避ける為にも、ですが」

 

川内「避ける?」

 

大淀「……国の方針は伝えました、ここからは私的な意見になります」

 

暁「大淀さんの?」

 

暁ちゃんが目を丸くする

 

大淀「…私は、もう北上さんを戦わせたくありません、なので、戦争をできる限り避けるつもりです」

 

阿武隈「北上さんを…?」

 

暁「……どうかしたの」

 

大淀「北上さんは、原種、および覚醒種の深海棲艦と交戦しました、その際、左腕を欠損、再生したものの…手首から先の感覚を失ったそうです」

 

川内「…北上が、か…」

 

暁「そう、とうとうなのね…」

 

阿武隈「とうとう?」

 

暁「…過剰に使用し過ぎた結果よ、アイオワさんがそうなったように、用法要領を守らなければそうなる…戦いを続けた以上、なるべくしてなったとしか言えないわ」

 

大淀「北上さんは、今後の戦いにおいて銃弾1発による失血ですら命を落としかねない体になりました…

これ以上は、戦わせたくありません…」

 

阿武隈「っ…そんな…」

 

暁「そう言う事なら、喜んで手を貸すわ…私達も、何度命を救われたかわからない」

 

川内「待って、大前提忘れてない?」

 

大淀「前提ですか」

 

川内「…あの狂ってる北上を止めるなんて、あたしはとても…無理だと思うなぁ…それこそ縛りつけてても何するかわからなかったしさ」

 

大淀「でしょうね、ですから…より強い力で押さえつけるしかありません」

 

川内「暴力的じゃない方法は?」

 

大淀「…北上さんの事、聞いたんですよね?」

 

川内「…まあ」

 

大淀「今の北上さんは、自身の根幹を忘れていますが…恨みだけは残っています、感情を論理で説き伏せたところで…止められるかは別問題です

となれば、確実に止めるにはより強い力しかありません」

 

川内「…それが解決になるとは思えないけど」

 

大淀「私もです、しかし、何を差し置いてもまずは…北上さん達をあの街から出さなくては」

 

暁「街を、出す?どう言う意味?」

 

大淀「面倒ごとから逃すためです、すでに手を打ちはしましたが、効果はまだ出ません」

 

暁「何?そのファイル」

 

大淀「那珂さんが深海棲艦と取引していた人間達から奪った顧客リストです、これのコピーを郵送で公安局に送りました」

 

川内「公安?…って、警察を取り締まるってあの?なんで?」

 

暁「…そう言う事でしょ」

 

大淀「取引の内容はかなり複雑でして、その中に金銭のやり取りも含まれました、この地域の警察上層部の人間と同名のものもいくつか」

 

川内「……なるほど、それは、“助け”がいるね?」

 

大淀「そう言う事です、どうでしょうか?」

 

暁「…北上さん達は自分から街を出るの?」

 

大淀「今のところそのつもりのようです、なので、撤退の支援を行います

と言っても、気づかれずにです、その方が後から捕縛するのが楽なので」

 

川内「捕縛て」

 

大淀「そうしないと、バレたら絶対に暴れますよ?後、舌を噛んだ自殺するとか言い出しても無視して構いません、目的がある以上死んだりしませんから」

 

川内「自殺て」

 

大淀「それと、協力してくれるならウチの一個分隊を川内さん達にお預けします、北上さんを確実に仕留めてください」

 

川内「北上の事なんだと思ってるの?レイドボス?」

 

阿武隈「左手がダメになってるなら、そんなにしなくてもいいんじゃ…」

 

大淀「…バカ言わないでください、今の北上さんは前程余裕がありません、手負いの獣ほど恐ろしいものは無い」

 

川内「獣扱い…というか撤退戦は成功する前提…か」

 

大淀「はい、結局は警察が動くまでの間、時間を稼げばいいので…公安局が素早く動いてくれれば今頃は解決してる問題なのですが」

 

暁「…どうするの?」

 

大淀「向こうの動きに合わせます」

 

 

 

 

 

 

北上「…装備はこれだけか…あぐ」

 

拳銃のスライドを(くわ)え、顎の力で引く

 

那珂「何やってるの?」

 

北上「んぇ?…ぷはっ、いや、実戦でもこれでいけるかなって、左手は包丁か何か持とうと思って…」

 

天龍「絶対にナイフ持ちながらでも左手で引いた方が早いだろ」

 

北上「そうかなぁ」

 

那珂「…まあ、予備弾倉も無い、拾い物だから…最悪捨ててもいいけど、DNAつけるのはやめて欲しいなぁ…」

 

北上「ああ、確かに、ごめん」

 

天龍「それに、ただでさえ命中精度悪いんだ、ちゃんと狙えるように両手で握れよ」

 

北上「必要ない、片手で充分だよ」

 

天龍「えらく自信があるな」

 

北上「あたし、艤装も全部マニュアル制御だったし、余裕だよ」

 

那珂「……へっ…?…ええ!?生体ユニットのサポート入れてないの!?」

 

北上「うん、だって使いにくいし、力を借りてたのは水に浮くくらいかなぁ」

 

天龍(こいつほんとに規格外だな…)

 

北上「だからあたしにとっては拳銃も主砲も同じ、射撃の精度もそこそこ自信あるんだ、任せてよ」

 

那珂「…良いけど、でも無闇に撃たないでね…」

 

天龍「あくまで目的は遠くに行く事だからな、殲滅じゃない」

 

那珂「それと…身体は大丈夫?」

 

北上「ん、だいぶんマシだよ?」

 

那珂「解熱剤飲んだだけでしょ…?無理しちゃダメだからね」

 

北上「ちょっと熱出ただけだって、鼻も通ってるし問題ないよ」

 

天龍「…時間かけるわけにはいかねえし、動ける奴が1人でも多い方がいいのは確か…か」

 

北上「さて、寝てる2人はどうする?というかそもそもの移動手段は?」

 

青葉「え、あ、えーと…」

 

那珂「…ま、そりゃ徒歩だよね…」

 

青葉「……少し離れてますが、駅まで行けば電車に乗れます、電車賃ならなんとか…」

 

北上「それしかないか、ねえ、そこの血まみれの人の顔なんかでくるんでよ」

 

天龍「あー…しゃあねえな…ってか、こいつなんなんだよ」

 

那珂「よくわかんない」

 

春雨「襲ってきた人の1人ですよね…?」

 

北上「そうなの?」

 

那珂「でも、あの時…周りの奴らが、先ず、その人を追いかけようとしてたように見えたんだよね」

 

山雲「そうなんですか…?」

 

那珂「まるで、その人が逃げ出す事、織り込み済みだったみたいな感じでさ」

 

青葉「……心根(こころね)は、悪い人では無いはずです」

 

北上「連れて行くで良いんだね、じゃあさっさと行こう、時間をかけたくない」

 

天龍「先ずは、駅だ」

 

 

 

 

 

大淀「駅に向かうそうです」

 

川内「じゃ、作戦開始と行こうか」

 

神通(こくり)

 

大淀「任せましたよ」

 

川内「阿武隈、暁、ちょっと待ってて」

 

阿武隈「は、はい…はあ…嫌だな…怖い…」

 

暁「覚悟決めなさい、実戦運用のテストも兼ねてるんだから」

 

川内「…しっかし、馬鹿げてるね」

 

暁「昔からそうなのよ」

 

川内「…大淀、そっちもちゃんと誘導してくれるんだよね?」

 

大淀「ええ、空母棲鬼を目標地点に誘導します」

 

神通(……)

 

川内「……上手くやろう、そしたら、終わりに一歩近づく」

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