食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話 作:名無し
正義の味方の北上様だよ〜
衝動的に明石と夕張を助けちゃったけど…正直どうなるかも想像がつかないんだよねぇ…
ほんとに助けて良かったのかな?
あたしにはまだわからないけど…でも、やってからする後悔は…まだマシだと思うよ
北上「早霜、変わるよ」
早霜「そう言って、私の前も北上さんでした」
北上「…何かあった時、制圧しなきゃいけないからね、連れてきた責任は取るよ」
早霜「この怪我です、夕張さんの方も、身体を強く打っています、しばらくまともに動けません。
明石さんは歩くことも難しいでしょう」
北上「…でも」
早霜「阿武隈さんに聞きました、確かめたいのは、この人たちが撃たれるに至った経緯、ですよね?」
北上「……本当に、悪いことしたのなら…」
早霜「その時は大淀さんにでも引き渡しましょう」
北上「…今引き渡そうとはしないんだ?」
早霜「ええ…大淀さんにも迷惑ですし…何より北上さんが納得してないようなので」
北上「……みんな大淀に懐いてるもんなぁ…嫉妬しちゃうよね」
早霜「一方通行、ですね…」
北上「え?」
早霜「何でもありません」
北上(なんか含みあるな…)
早霜「…おや」
北上「お…?」
明石「……っ…ん…?」
先にこっちが目覚めたか、これはむしろラッキーかもね
北上(夕張の方は頭回るみたいだし、誤魔化されたくないからね)
明石「…ここは……」
早霜「お目覚めですか、こっちが…明石さんでしたよね?」
北上「そー、アンタよく生きてんね、さすが艦娘、頑丈だぁ」
明石「あ……そっか…」
明石はあたしの顔を見て、一瞬目を丸くした後、安心したような様子で目を閉じる
明石「…夕張から、なんとなく聞いてます…ええと…」
北上「その前に質問なんだけど、アンタ何があって撃たれたのさ」
明石「…私達、車で移動しながら今まで過ごしてきたんですけど……その、あの後、車上荒らしに出会っちゃって…。
私達の車から物を盗まれそうだったから、止めようとしたら…逆に襲われそうになって、つい、夕張を守ろうとし時に力が入りすぎて…」
北上「あちゃー…殺っちゃった?」
明石「い、いや……ちょっと強く押したから転がっただけで、向こうも死んでないです…
それで、艦娘ってバレて…走って逃げてる途中で撃たれて……」
北上「ふーん……ってか、誰に撃たれたのそれ」
明石「多分…警官だと思います、でも逃げてる時に撃たれたので…」
北上(…ふむ…早霜からの話だと正面から撃たれたりはしてないみたいだし、姿を確認してないのもおかしくはないか…)
北上「今までの話に嘘はない?あったとわかったら、アンタら処分しなきゃいけないんだけど?
有利な嘘より不利な真実言ってくれた方が…こっちとしても庇いやすいんだよね、気持ち的に」
明石「う、嘘なんてついてません!痛っ…」
北上「…まあいいや、とりあえず…顔色もまだ悪いし、寝ときなよ、いくら艦娘が頑丈だとしてもさ」
明石「…はい」
北上「何か欲しいものとかある?つらいところは?」
明石「…ちょっと、寒いですね…」
北上「早霜、毛布持ってきてあげて…早霜?」
早霜はさっきからしきりに明石の手とか脚とか触ってるけど…
早霜「…北上さん、意見を変えて申し訳ないけど、やっぱり、大淀さんにお願いした方がいいかもしれません」
北上「そんなに?」
早霜「艦娘の頑丈さ故に意識は戻ったようですが、いや…これは生理機能として正しいのでしょうか…」
大淀「脚、肩、腕、3発撃たれてるんですよ?常識で考えてください、みんながみんな先輩程バケモノじみた生命力をしていません」
早霜「大淀さん…?」
北上「なんでいるのさ」
大淀「ニュースになってますよ、艦娘を助けようとバスを停めたヤツがいるって…
動画も出回ってます、一躍有名人ですよ、先輩」
北上「…マジ…?」
早霜「それより、大淀さん…」
大淀「ええ、そちらの2名は…国が身柄を預かります」
明石「く…国……?そんな、貴方達…って…」
北上「…違う、
大淀「そう冷たい事を仰らずに、それに…留置所に入れたりしませんよ、まずは病院、その後取り調べ室です」
明石「そんな……何の為に、私たちは逃げて…」
北上「大淀、手荒なマネしたら承知しないよ」
大淀「するつもりはありませんよ、私は」
北上「大淀!!」
大淀の胸ぐらを掴み、壁に押し付ける
大淀「…先輩、スキンシップにしては激しくないですか?それとも…」
全身を装備で固めた兵士が2人、入ってくる
大淀「8名編隊なので、後6名控えています、やりますか?」
北上「っ……」
大淀「先輩、何も意地悪したいわけじゃありませんよ?でも、こうしなきゃいけなくしたのは貴方ですから…北上先輩」
大淀から手を離し、一歩下がる
大淀「用が終わればここに戻しますよ」
北上「どうだか…!」
大淀「明石さんでしたか」
明石「は、はい…」
大淀「私のところに来れば、治療は受けられます、2人とも完治するまで面倒を見ましょう…どうですか?」
明石「どう…って」
明石が助けを求めるようにこちらを見る
でも…確かにここにいたってまともな治療はできない
北上「…自分で選んで、手は尽くすけど、あたし達見ての通りだし」
明石「……なら、行きます」
大淀「すぐに手配しましょう、すみません、連絡して周辺の病院をどこか」
明石「でも、夕張は置いていってください…」
大淀「おや…どういう意味ですか?」
明石「…そのままの意味です」
北上(確かに、夕張はそこまで重症じゃないみたいだけど…)
大淀「仕方ありませんね、ではそれでいいでしょう……運び出しなさい」
明石が兵士に背負われ、運ばれる
そして入れ替わりに5人…
北上「なんのつもり」
大淀「抵抗されては困りますので…先輩相手には、このくらいの抑止力がないと」
早霜「…夕張さんも連れて行くんですか?」
北上「嘘吐き…」
大淀「検査だけ受けさせて直ぐに返しますよ、だから、今は見逃してください」
北上「……」
指先一つ動かそうものなら、引き金を引け
そう言われてるかのような緊張感が銃口を向けられているこちらにまで伝わってくる
…ダメだ、この距離じゃ動けない
夕張も、見送るしかない…
夕張まで連れ出され、兵士が出て行く
北上「アンタは帰んないんだ」
大淀「私の車は彼女達を帰らせるのに使いましたから、迎えを待っています、それより、今日はお食事、ご一緒しても?」
北上「ウチには何もないけど」
大淀「では、持ってきたものは無駄にならなさそうですね、良かった、評判のいいお弁当を買ってきたんです。
この前の報酬、いくら待っても結局何も連絡してくれませんでしたから」
北上(最初からそのつもりか…)
早霜「それでお弁当、ですか…?」
大淀「ええ、早霜ちゃんも、皆で食べましょう?」
大淀「どうぞ、召し上がれ」
阿武隈「うわぁ…美味しそう……」
暁「大淀さん、お弁当もだけど…保存食まで、本当にいいの?」
大淀「構いませんよ」
北上(…わざわざこんなモノ…)
ちょっと高そうで、無駄に見栄えいいのが腹立つ…
大淀「食べてくれませんか?北上さん」
北上「……あぐ」
…上品だなぁ…
阿武隈「こう、食べて直ぐ美味しい!ってなるんじゃ無くて、じわじわくるこの…なんていうんですか!?
この感じ、すごく…えーと…」
早霜「優しい味、とか?」
阿武隈「そう!それ!」
北上「………ご馳走様」
早霜「もう食べたんですか…?」
北上「うん、お腹いーっぱい」
阿武隈(機嫌悪いなぁ…)
大淀「どうでしたか?東京で有名なお店なんですよ」
北上「……美味しかったよ」
大淀「……はぁ…」