食うに困った艦娘が頑張って生きようとする話   作:名無し

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信頼

夕張「完成…かな、とりあえず」

 

大淀「…これで、脳の電気信号を操作するんですか」

 

夕張「うん、全く非人道的な手段だけど」

 

空母棲鬼に取り付けられた機械に電源が入る

 

大淀「……起動、しますか」

 

夕張「でも、これ、先に原種を殺さないと意味がないんじゃない?」

 

大淀「それはそうですけど…」

 

夕張「……残ってる原種、どれだけいるかわかってる?」

 

大淀「少なくとも3体、古めの情報にはなりますが、棲家までは把握しています、しかし、2体は太平洋です」

 

夕張「残り1匹は」

 

大淀「大阪です」

 

夕張「えっ」

 

大淀「ただ、すでにもぬけの殻でした」

 

夕張「…そういう事、売られたのバレてたのね」

 

大淀「戦艦棲姫を始めとした、艦娘を再生しながら食べ尽くすという最低な行為を繰り返していた連中の一体です

呼び名は、海月(クラゲ)

 

夕張「クラゲ?…ふーん…」

 

大淀「戦艦棲鬼、空母棲鬼に(なぞら)え、海月姫…幻想的過ぎますね、深海棲艦と分かる様に、深海海月姫と呼称します」

 

夕張「……で?その深海海月姫ってのは、追えてるの?」

 

大淀「いいえ、しかし、空母棲鬼の信号に反応するのではと睨んでいます、なので…」

 

夕張「……横須賀に集めるにしても、処理し切れる?特に、地下プールに集まるなんて上手く行くの?」

 

大淀「わかりません、何もかも未知ですから」

 

夕張「…随分と分の悪い賭けが好きなのね」

 

大淀「でも他に選択肢はないでしょう」

 

夕張「増幅器なしで実験しよう、うまくいったら、次は本番」

 

大淀「…勘付かれるリスクはありますが…その方が良さそうですね」

 

夕張「…意外と素直に受け入れてくれたわね」

 

大淀「……自分に自信が持てなくなっただけですよ」

 

夕張「大淀、あんたは人任せにする方が合ってるよ」

 

大淀「えっ」

 

夕張「北上なら言いそうじゃない?」

 

大淀「……追加で、「事務仕事だけしてな」って付け加えたら完璧です」

 

夕張「そこまで冷血じゃないって!あはは!

…はぁ……さて、本格的にやらなきゃね」

 

大淀「深海棲艦の対処にあたらせている部隊を全て横須賀に集めます、少し時間をください」

 

夕張「……あー…うん、わかった」

 

大淀「それと…明石さんについてなのですが…」

 

夕張「…あー…その、私が覚えてないって人?」

 

大淀「……どうにも行方が掴めないんです」

 

夕張「え、大丈夫なの?それ」

 

大淀「彼女は生体ユニットについての研究で、開発者をも超え、第一人者となった人です」

 

夕張「凄い人じゃない…」

 

大淀「……今後、生体ユニットを利用した艤装を開発する予定はありませんが、優秀な研究者、ましてや部下を失う訳にはいきません、なので…捜索させているのですが…」

 

夕張「ですが…?」

 

大淀「…足取りが掴めないままなんです、東京駅のカメラに映ったのが最後だそうです、その後は情報が無いと」

 

夕張「……誘拐された?」

 

大淀「その前提で捜索してました…が、タイミング悪くあの騒動で捜索どころでは無くなってしまいました」

 

夕張「…それは、確かにタイミング悪いけど…探せって話?」

 

大淀「……どこか、思い出の場所とか…覚えてたりはしませんか?」

 

夕張「…何も」

 

大淀「そうですか…わかりました」

 

 

 

 

 

瑞鶴「了解…横須賀ね」

 

葛城「先輩?」

 

瑞鶴「横須賀に移動、包囲網は解除するわ」

 

葛城「えっ…大丈夫なんですか!?」

 

瑞鶴「後は自衛隊に申し送りをすることになるらしいから…」

 

葛城「は、はあ…深海棲艦の相手できるのかなぁ…」

 

瑞鶴「多分…」

 

 

 

川内「今から横須賀ぁ!?…冗談でしょ…」

 

神通(…武装の手入れもできてないのに…)

 

川内「……これからどうなるんだろ、あのレ級も結局消えたし…相手の目的も動きもまるで読めないよ?」

 

神通「……」

 

川内「…北上がやられてから、全部がメチャクチャな方向に進んでる気がする

マジでどうなんのこれ」

 

神通(姉さん、落ち着いて)

 

川内「落ち着いてるよ、那珂もどこで遊んでんのかな…ちゃんとやる事やりに戻ってこないと…後でお仕置きだから」

 

神通(…すみません、やはりあの時拘束しておけば)

 

川内「そもそもが神通の仇討ちに出たのがバカなんだよ…!あーもう!早く気付いてれば止めてたのに!

1人で行く必要ないじゃんかさぁ…」

 

 

 

 

 

 

暁「え?…私たちは…そう、わかった…

阿武隈さんと?…うん、曙、だけでいいのね…うん、私達は…護衛?…違うの?……あー…」

 

北上「…?」

 

暁「…義手と義足はどう?」

 

北上「…わかんない、ちゃんと立ったりもできないし…」

 

暁「…慣れてないから仕方ないわよ、早くても2ヶ月かけて歩ける様になるらしいし…」

 

北上「長いね」

 

暁「長いわ、でも、ここは危ないから、病院を移ってもらう事になるの」

 

北上「危ないって?」

 

暁「…とにかく、迎えが来たら従ってね」

 

北上「え…暁は?」

 

暁「私達はここまで、さよならよ」

 

北上「や、やだよ!待って!?私これからどうしたら…!」

 

暁「退院したら、学校に行ったり…働いてみたり、好きに生きなさい」

 

北上「学校…そうだ!一緒に行ってくれるんじゃなかったの!?」

 

暁「生きてたらね」

 

北上「…っ…嘘つき!私は…!」

 

暁「ごめんね」

 

 

 

 

暁「ってわけで、北上さんは安全な場所に移すから」

 

睦月「……北上さん、大丈夫?」

 

暁「…心配無いわけじゃないけど…北上さんならきっと…1人でも生きていける、北上さんの強さは物理だけじゃないのよ?」

 

曙「アタシと阿武隈さんはどうすればいいの」

 

暁「横須賀で戦いに備えて」

 

曙「アンタらは」

 

暁「大湊の艤装を持ってくるわ…アレに頼りたくはなかったけど…で、龍驤さん?」

 

龍驤「……なんや」

 

暁「ついてきてくれるかしら」

 

龍驤「…青葉探しに行きたいんやけど」

 

暁「時代遅れの旧式艦載機も、しっかり残ってるの…使えるのはあなただけよ」

 

龍驤「…ウチは…ウチは……」

 

暁「来なさい」

 

龍驤「……」

 

暁「戦争、終わったと思ったのに…何も終わってなかったわね」

 

睦月「にゃしぃ…」

 

暁「……こんな筈じゃなかったのに…」

 

 

 

 

北上「……」

 

看護師「車椅子に移しますね、体こっちに傾けてください」

 

北上「はい…」

 

看護師「持ち上げますね、1、2、3」

 

車椅子に体を移される

 

北上「…私は、どこに行くんですか?」

 

看護師「ええと…東北の方に移りますね、福島にある病院に移ってもらいます」

 

北上「福島…遠いですよね」

 

看護師「少し遠いですど、すぐに着くので大丈夫ですよ」

 

北上「はい」

 

北上(……暁…)

 

北上(…私…暁にもう会えないのかな…?

暁に嫌な思いさせる様なこと…したのかな……私……暁以外の人の、名前すら知らないのに…

…誰が“私”を見てくれるんだろう、この世界に、暁と同じ目で私を見てくれる人、いるのかな…?)

 

暁の私を見る目には、最初こそあった憐れみなんてもうなくて

1人の人間としての目を向けてくれた

 

そんな目を向けてくれる人が果たして他にいるのか

 

北上(……次会う時までに、ちゃんと…ちゃんと、歩ける様になって…一緒に歩いて、学校に行ける様にならなきゃ!)

 

 

 

 

 

 

 

明石「……ねえ…そろそろ、何か口にしないと…私死ぬんだけど」

 

ネ級「喋ル余裕ガアルナラ平気ダ、ソレニ艦娘ノ丈夫サハ知ッテル…ソノ辺ニ転ガッテル人間ガ飢エデ死ンダラ、ソロソロ不味イッテ証拠ダ、ソノ時ハソノ肉ヲ食ワセテヤルゾ?」

 

明石「…わー…楽しみ……はあ…」

 

…どうしてこうなったのか

夕張の様子を見に行くはずが、囚われて、その上…ラボの位置までバレてて…

ラボも制圧された、非常信号を送るどころか、警備員たちは1発の銃弾も撃てなかった

 

明石(…なんでここがバレてるのか、とか…なんで私なんか狙うのか…とか、色々気になるけど…それよりも…)

 

多摩「……」

 

明石(コイツ、間違いなく…)

 

ネ級「運ガ悪カッタナ、オ前ハ道具ダ、アノクソゴミ軽巡ヲ殺ス為ノナ」

 

明石「軽巡〜…?……北上さんのことかなぁ……

…はあ…無理だと思うけど」

 

ネ級「違ウ…アノ、メロン頭ヲ殺ス」

 

明石「夕張を…?…は……ったく…」

 

明石(私の命は…夕張にかかってるのね…)

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